人気ブログランキング | 話題のタグを見る

部屋の遊戯

部屋の遊戯_c0060659_73445.jpg
【DENON/COCO-70859】
●ブラヴェ:Flソナタ集~
  op3-2 ロ短調、op2-5 ニ長調、op2-2 ニ短調、op2-4ト短調、op3-6 ニ長調
⇒有田正広(Ft)、有田千代子(Cem)、ヴィーラント・クイケン(Gam)

ここにCDを載せるときはいつも130ピクセル四方にサイズを整えるんですけど、今回はあえて250ピクセル四方にしました。有元利夫の絵が見たかったから。

先週末の「美の巨人たち」…取り上げられたのは有元利夫の《花振る日》
古楽ファンにはおなじみ、DENONのアリアーレは、有元作品をジャケットに使用した贅沢なシリーズです。番組中で、同じく有元作品を装丁に使っている宮本輝の本がずらっと並んだので、アリアーレも取り上げられるかなと思ったんですけど…残念ながらスルー。
件の《花振る日》はアリアーレ10周年の記念盤『パンの笛~フルート、その音楽と楽器の400年の旅』に、まさに満を持して登場したのでしたが、このディスクは架蔵していないのでオアズケ。とにかく有元作品と一緒に有田氏の笛が聴きたかったので、代わりにブラヴェのソナタを取り出しました。

ミシェル・ブラヴェの名前は(JMオトテールに比べれば)あまり知られていないかもしれない。
しかし、あの有田氏をして「ブラヴェという音楽家はつねに私の理想でありつづけてきた」と書かしめるその音楽は、取り付く島もないくらい完璧に造形されていて、たしかにフランスバロックの掉尾を飾るにふさわしいと思うんですよ。ブラヴェにおいては、フランスバロックに特徴的なあのポーズとしての憂鬱質が俗に堕ちない程度にスマートに咀嚼されて、しかも流行りのイタリア風の雰囲気を纏って提示されるわけですから、絶賛も頷けます。

このディスクには作品2と作品3からいくつかが抜粋されて収録されていますが、フランスバロックのスタイルを強く残す作品2に惹かれます。特にニ長調のソナタが―個人的に好きな調性ということもあって―好み。
柔らかく拡がる有田さんの音に加えて、ヴィーラントらしい丁寧な通奏低音がこんな曲にはしっくりきます。こういうスタイルの通奏低音はずいぶん前から最先端ではないし、今やギシギシした攻めのバッソが主流になって自分でもそれを楽しんでるつもりではあるけれど、聴けばやはり自分の家に帰ってきたような安心感を覚える。
by Sonnenfleck | 2007-11-16 07:03 | パンケーキ(18) | Comments(0)
<< ニアリーイコールくり on the air:エッシェ... >>