名古屋フィル 第343回定演

【2008年1月19日(土)16:00~ 第343回定期/愛知県芸術劇場】
<フレンチ・オルガン・コネクション>
●尾高惇忠:オーケストラのための《肖像》
●プーランク:オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲ト短調(※)
●デュリュフレ:レクイエム op.9(+)
鈴木雅明(Org/※および+)
  寺谷千枝子(MS/+)、三原剛(T/+)
→近藤惠子/岡崎混声合唱団、愛知県立岡崎高等学校コーラス部
⇒尾高忠明/名古屋フィルハーモニー交響楽団


畢生の名演奏だったではないですか。

尾高(兄)氏の大規模管弦楽曲、《肖像》(1993年)。
<フレンチ・オルガン・コネクション>と題された今回の定期になぜこの曲が参加しているのか?プログラムには「尾高惇忠はパリ留学時代にデュリュフレにオルガンを師事」し、「フランス的和声感と豊かな知性を彷彿とさせ」るからなのだとしか書いてないんですよ。
ただ、巨大な幅で上下するダイナミクスと、ストップ操作をイメージさせる木管の美しい重ね合わせ(まるでメシアンのように美しい)を聴くに、作品自体がオルガンを志向しているように思えてなりませんでした。藝大のサイトを見ると…ははーんこの人オルガン好きなんだな。。プログラミングは尾高(弟)氏によるのでしょうか?だとしたら天晴!
冒頭のTpアンサンブルは、12月の定期の汚名返上とばかりに不安げなテクスチュアを再現していましたよ(不安げと不安定は違う)。トゥッティの弱音はいつもよりずっと弾力があり、木管の歌いこみは豊か。繰り返しますが、非常に美しい作品でした。1階に作曲者がいたみたいだけどこちらからは見えず。

続いてプーランクの協奏曲。そういえば愛知県芸のオルガンって初めて聴くなあ。ここの「オルガン初め」は絶対にコバケンの《オルガン付き》だと思ってたけど(笑)
当然、雅明氏の演奏する20世紀音楽を聴くのも初めてなんですが、冒頭の付点音符をかなり長めに取ったり、大胆にテンポを揺らしたり、意外なほどにワイルド。。柔らかくて紳士的な音楽づくりをしている尾高氏とはいきおい齟齬が生じるわけで、なかなかにスリリングな競奏曲です。
でもですよ。この《オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲》の生の音響バランスって、圧倒的に「オルガン>>>>>>>>>ティンパニ≧弦楽」なんですね。オルガンが本気を出してしまえば、ティンパニも弦楽も簡単に塗り潰されてしまう(この作品の録音ってずいぶん恣意的に音量のバランスをいじってあるんだなー)。したがって小さな齟齬も「楽器の王」の残響の後方にうまく隠れたように思います。ただし名フィルの弦にはもうひとふんばり揃ってほしかったというのが小さな本音。

最後にデュリュフレの《レクイエム》
普段、ブログ用に言葉へ変換する作業を行ないながら音楽を聴く癖がついてしまっているんですが(我ながらこれはとても悪い癖だと思う)、この演奏はそれを許さなかった。名フィル畢生の柔らかい音と本気の合唱によって感覚をダイレクトに刺激された挙句、最初から最後まで思考停止。涙と鼻水でドロドロ。
最後の和音が減衰して、やがて消えても、拍手が始まらない。
聴衆がいっせいに息を漏らす音が聴こえる。
尾高氏がゆっくりと腕を下ろす。

響きに溺れて、ぼんやりしたまま帰ってきました。
いまPCの前に座って思い返してみても、あの雰囲気を感覚的には覚えているんですが、言葉にならない。このデュリュフレは言葉にしたくないな。。
by Sonnenfleck | 2008-01-20 08:49 | 演奏会聴き語り
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