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シュトラウスの味

シュトラウスの味_c0060659_5524693.jpg【PHILIPS=TOWER/PROA-161】
<R. シュトラウス>
●《アルプス交響曲》 op.64
●交響詩《死と変容》 op.24
⇒ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

タワーレコード×ユニバーサル系レーベルのシリーズはどれも目の付け所が素晴らしくって、懐具合が許せば全部買ってしまいたいくらいなのです。あのシリーズでドホナーニの廃盤が復活したら、どんなにいいかと思う。きっとあんまり売れないんだろうけど(モーツァルトの後期交響曲集なんかどうでしょう>塔)。

さて、古典派から後期ロマン派にかけての作品(特にオーケストラもの)がメインフィールドの方、たくさんいらっしゃると思います。そんな皆さんからしたら、このブログの書き手は野菜や豆腐やビタミン剤だけで音楽的生活を紡いでいるように見えるかもしれません。しかしそんな書き手でも肉をガッツリ食べたくなるときがあります。
外面的な焼肉。大勢で楽しみながらでないと食べられない。タレも大概はしつこい。
生姜焼きは内向きな食べ物であって、派手さはないが気取らない味で腹も心も満たす。
シュトラウスの素直な旨味が…落ち着いた響きのオケと極上の録音で楽しめるとしたら?
そんなシュトラウスの生姜焼き。ハイティンク+コンセルトヘボウのアルプス交響曲です。
神様塔様のおかげで覆刻されました。

オケそのものの響きを味わうのに、これほど適した作品がありましょうか。
(って同じことを許センセが書いていたような気がするぞ)
小難しい解釈とか、作曲家の言いたいこととか、そんなものはどうでもよろしい。
この録音を聴いていると、本当に伸び伸びと鳴り切ったときのコンセルトヘボウがどれほど素晴らしいか、改めて噛み締めざるを得ません。〈頂上〉での大爆発など、まさにモダンオケを聴く醍醐味の最たるものではないでしょうか。トロンボーンとホルンが後方でX字を描いて交錯し、手前でフルートとオーボエが螺旋を描きながら上昇して、そして前方で深々と弦が鳴っていて、本当にいいオーケストラってこういう音がするんだよなあ。。満たされる。。

そこから〈太陽が次第に薄れる〉〈悲歌〉にかけて、譜面の上では不安を演出し始めているにもかかわらず、堂々とした余裕を漂わせながら遷移するんですよ。ここがまさにマジェスティック。〈雷雨〉も整然とした響きで焦らない。この3分44秒のトラックだけで、いかにハイティンクとコンセルトヘボウが名コンビであったかがわかるというもの。
by Sonnenfleck | 2008-04-04 05:52 | パンケーキ(20) | Comments(0)
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