A High Time with Lute Music 5

c0060659_6423348.jpg【2008年4月12日(土)15:00~ ミューズ・サロン】
●ピチニーニ:トッカータ第10番
●同:メルカテッロのテノル主題による変奏曲
●ヴィゼー:組曲ト長調
●ヴァイス:ソナタヘ長調 《名高き海賊船》
  ○アンコール ヴィゼー:組曲ニ短調~ジーグ・グラーヴェ
⇒中川祥治(テオルボ、バロックリュート)


大曽根にある「ミューズ音楽館」は、愛知県内では数少ない(唯一の?)ギター専門店。
お店の中にはスタジオもあって、そこで頻繁に撥弦楽器系のリサイタルをやられているらしく、注目してきました(鈴木大介氏が実は出演したりしてる)。それで今回、ついにわが愛するヴィゼーを生で聴けるということで土曜の午後に出かけたわけですが、会場のスタジオは10畳くらい、集まった聴衆は20名強といったところ。初台や新大久保より小さな閉じた空間でこっそりテオルボが聴けるなんて最高ではないですか。

中川氏は長年教員として勤める傍らリュート演奏の研鑽を積まれ、50歳にして教員をおやめになり、バーゼル・スコラ・カントルムに留学。バーゼルでは客員教授として在籍(!)しながらホプキンソン・スミスに師事され、2005年に帰国されてからは名古屋を中心に演奏活動をしておられるそうです。なんと凄い方でしょう。(ブログがまた面白いッス。)

この日は手作りのパワポをプロジェクタで投影しながらのレクチャーコンサート。
間近でまじまじと見るテオルボは巨大です。ネックは100cmを超し、ボディも存在感がありますが、14本の弦と反響板の装飾が優美な印象を付加している。

まずピチニーニはいかにも17世紀初頭らしい自由な音楽で、初期バロックはCDで聴くよりも生で聴くほうが圧倒的に楽しいということを再確認。トッカータは何せスピード感があるし、変奏曲のほうも主題がなかなかかっこよくて萌えでした。相当な超絶技巧を見てしまったような気がする。
さてヴィゼーロベール・ド・ヴィゼー Robert de Visée (c.1650 - c.1732)。
ここに重大な告白をしますが、僕がこれまでに最もたくさん聴いた音盤は恐らくバッハでもショスタコでもなく、ヴィゼーのテオルボ作品集(Glossaから出てるホセ・ミゲル・モレーノ盤)なんですよ。丸2年間くらい毎晩寝る前に聴いていたので…まあ要するに就寝導入BGMなんだけど、電気を全部消して暗闇で聴くヴィゼーは格別に美しいのです。ルイ14世はヴィゼーを枕元に呼んで楽器を弾かせていたわけですよ。
この日のト長調組曲も、典雅が極まって官能を漂わせているあの響きを他のヴィゼー作品と同様に纏っているので、初めて聴いた気がしない。身軽なクーラント、そして最後のシャコンヌでやっぱり目頭が熱くなったです。

ここで10分間の休憩とともに楽器がバロックリュートへ。最後はヴァイスのソナタ。
このヘ長調のソナタは、通しで弾くと30分は優に経過する長大な作品で、しかも感触はずいぶん古典派に近しい。中川氏も仰ってましたが、確かに聴いているとソナタ形式のような展開もどきや反復が現れるんです。ヴァイスはピゼンデルやグラウン兄を飛び越えて、しかもJSBとは違う方向から、未来に手を伸ばしていたようですね。終曲が舞曲ではなくクールな〈プレスト〉になっているのも未来志向。

中川氏はこの先も1年に2~3回のペースでサロンコンサートを開催されるとのことで、ヴァイス作品の連続演奏も考えられているとか。教師と二束のわらじを履いてこられた方だけにレクチャーも楽しかったし、次回も出かけてみようと思います。
by Sonnenfleck | 2008-04-14 06:45 | 演奏会聴き語り
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