on the air:シフ@オペラシティ

c0060659_8235427.jpg【2008年3月10日 東京オペラシティ】
●シューマン:《蝶々》 op.2
●ベートーヴェン:Pfソナタ#17 ニ短調 op.31-2 《テンペスト》
●シューマン:幻想曲ハ長調 op.17
●ベートーヴェン:Pfソナタ#21 ハ長調 op.53 《ワルトシュタイン》
  ○アンコール バッハ:フランス組曲#5 ト長調 BWV816
           シューベルト:《ハンガリーのメロディー》 D817
           シューマン:《アラベスク》 op.18
⇒アンドラーシュ・シフ(Pf)
(2008年4月18日/NHK教育テレビ)

前回のエントリで塩川悠子さんのことを話題にしたばかりですが、偶然にも昨晩の「芸術劇場」で、彼女のパートナーたるアンドラーシュ・シフのリサイタルが放送されていました。
ていうか先月なのね。来日してるの知らんかったよ。

《蝶々》は、稚気溢れるわんぱくタッチと穏やかな親御さんタッチが交錯してちょっと面白かったです。子供が砂場で遊んでいるような、しかしながらその砂場は完全に消毒されてゴミひとつ雑草ひとつ存在しないのが、シフのシューマンなのかなと思う。
したがって、雑草が砂場に落とす影や、砂に埋まったおもちゃのロボットの腕がキーになるシューマン世界においては、ちょっとキレイ過ぎかなと思われました。シューマンにキレイさを求める人がいたっていいだろうけど、僕は毒や汚れのあるシューマンが好きなので…。
対して《幻想曲》は、いちおう雑草は植えました的な感じで、浪漫性混濁にもある程度は配慮があるように感じます。第3楽章冒頭主題の後ろに何かがあったりとか。

きつい浪漫を持ち合わせるシューマンに比べると、淡い浪漫が漂うベートーヴェン2曲の方が、シフらしさが生きてました。《ワルトシュタイン》のうそ寒い第2楽章から快活な第3楽章にかけて、むやみに広がっていかない円い響きがとても心地よかった。
シフが展開しつつあるベートーヴェン全集、買っていってみようかな。

そして長ーいアンコール。
フランス組曲第5番は確かに、、絶品ですね。
タロー兄さんの弾くクープランを耳にして、モダンピアノ+バロックの可能性に改めて気がついています。拍感がソフトフォーカスになる半面、和音と残響がぐっと豊饒になるんですから、チェンバロはその面では敵わないのかもしれません(それをやってのけるチェンバリストが少数いるのがまた面白いんだけど)。
ただ、シフはバッハにおいて、モダンピアノのそういう武器を振りかざすことをしないようです。ところどころ効果的な部分で「ピアノ」を感じさせるほかは、円っこい音を基本としたストイックな路線でした。装飾も品があって素敵だったなあ。
by Sonnenfleck | 2008-04-19 09:01 | on the air
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