名古屋フィル 第346回定演

【2008年4月19日(土)16:00~ 第346回定期/愛知県芸術劇場】
<ツァラトゥストラ1―大いなる質問…見えない答え…>
●アイヴズ:《答えのない質問》
●B. A. ツィンマーマン:Tp協奏曲《誰も知らない私の悩み》(日本初演)
→フィリップ・シャーツ(Tp)
●ハイドン:交響曲第22番変ホ長調 Hob.Ⅰ-22 《哲学者》
●R. シュトラウス:交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》 op.30
⇒マックス・ポンマー/名古屋フィルハーモニー交響楽団


名フィル新シーズン。<ツァラトゥストラ>シリーズの幕開けです。
しかしながら、新しい親方・ティエリー・フィッシャーは19日の南西ドイツ放送響の演奏会を振っているために来日できず、代わって開幕指揮者として白羽の矢が立てられたのが、なんとマックス・ポンマーでした。実はアイスラーを録音したりしている凄爺さん。

シーズンを象徴するらしいアイヴズ《答えのない質問》
この日のコンマスは日比さんでも後藤さんでもなく、ゲストの植村くん。何かの布石かな。
さても冒頭の弦楽合奏、物凄くクリアな響きでした。2006年にフィッシャーが客演したときのブリテンに匹敵するくらい、冷たくて美しい響き。馬力に優れる名フィルですが、まずはこれで気合いがわかるというものです。
ソロのシャーツはステージに姿を現しません。下手のドアを全開にして、姿を見せないまま問いを投げかけ、木管アンサンブルがテキトーな答えをピロピロッと言い放つ。そして7回目の質問が空しく発せられたところでシャーツが静かに舞台へ進み出て、そのまま聴衆に拍手をさせる暇を与えずアタッカで《誰も知らない私の悩み》に移行してしまう。効果的な演出。

で、今回の定期で何がよかったですかと訊かれたら、ツィンマーマンと答える。
GWの新国《軍人たち》に先駆けて生ツィンマーマンが聴けたわけですが、、いやあ、、圧倒されました。アヴァンギャルドの語法とジャズの要素を一度ぐちゃぐちゃに混ぜ合わせたものを材料にして、カオスの設計に成功しているんですよ。嵐のような変拍子と苛烈な音塊の向こう側に、明らかに楽しい音楽世界が広がっているのですから、表層のゲンダイオンガク部分に引いてしまっては勿体ない!アドレナリン出まくり!ビュービュー!
シャーツは2種類のミュートを慌しく付け替えながらの超絶名人芸を披露、ポンマーは大振りなパフォーマンスで変拍子を振り分け、名フィルも「付いていくのにやっと」ではない余裕を感じさせる名演だったと思う。

案の定客席は見事に引いていて、拍手もあんまり大きくなかったですけど、こういう音楽の存在を知らしめることの重要さに思いが至る。フィッシャーはプログラムの中で「音楽はあまりにも長い間夢を見続けていた。今こそ、我らは覚醒を望む。我らは夢遊病者だった。今こそ、我らは日中の旅人となるのだ」というニーチェの言葉を引用してますが、もうちょっと敷衍すると、これこそ新シェフが「ツァラトゥストラ」シリーズでやりたいことの要約なんだろうなあという気がします。その意味でこの2作品が、まさに我々音楽的夢遊病者の強制的覚醒にふさわしい作品だったと感じられるのです。

前半最後にハイドンの《哲学者》(弦は6-6-4-3-2)。
このハイドンがまた、、ピリオド・アプローチだったんですから驚きです。凄いギャップ!
左手はフレーズの頭とお尻に最低限のヴィブラートを付けるだけ、弓の圧力やスピードで細かなアーティキュレーションを表現していて、なかなか堂に入ったものでした。これはポンマーの作戦勝ちでありましょう。第3楽章メヌエットでVc首席の太田氏がニヤリとしていたので、あのデフォルメされたリズムも指揮者の遊びかな。

後半の《ツァラトゥストラはかく語りき》は、残念ながらバテバテ。。この曲は派手な部分以外の静かな箇所が肝要だと思いますが、強奏がヤケクソになって暴発したり、弦のディヴィジがメタメタになったりしてちょっと聴くのが辛かったです。ポンマーも意外に派手好みな造形なので、余計静かな部分が目立つ…。でも前半あれだけのものを聴かせてもらったんですから、あまり大きな声で文句は言えません。
植村くんのソロ(と日比さんのアシスト)はとてもよかった。何と楽しそうに弾くことか。

ところでその1。後半の2ndテューバが元N響の多戸さんでした。どうりであの迫力。
ところでその2。オルガンはPAだったんでしょうか?ご存知の方教えてください。
ところでその3。ホワイエの4人体制はいくらなんでも多すぎだと思うんですが。。
ところでその4。山尾さんがプログラムに新連載!
by Sonnenfleck | 2008-04-20 00:18 | 演奏会聴き語り
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