熱狂の復習―5月3日(土)

c0060659_21352791.jpgホテルを出ると本降りの雨。。でも夕方には晴れてきた。

【232】5/3 1130-1215 ホールB5〈テレーゼ・グロープ〉
●マティーカ:フルート、ギター、バリトンのためのノットゥルノ
●《おとめ》 D652
●《夜咲きすみれ》 D752
●ハウシュカ:ソプラノ、バリトン、ギターのためのカンツォネッタ
●メルツ:ギターのためのエレジー
●《糸を紡ぐグレートヒェン》 D118
●《水に寄せて歌う》 D774
●《彼女がここにいたことは》 D775
●ロッシーニ:歌劇《タンクレディ》~〈こんなに胸騒ぎが〉
⇒リチェルカーレ・コンソートのメンバーによるアンサンブル
   セリーヌ・シェーン(S)、ジョルジュ・バルテル(Fl)
   サビエル・ディアス=ラトーレ(Gt)、フィリップ・ピエルロ(Br)


「ピエルロ(Br)」、歌ではありません。綴りが違う。バリトン Barytonという古楽器です。
6弦のヴィオールの指板裏に共鳴弦が張ってあって、ヴィオールの音を出しながら同時に共鳴弦を爪弾くことができる、という変態な楽器。エステルハージ侯爵が大好きだったらしく、ハイドン作の厖大なバリトン三重奏曲が残されているのですが、、ついに実物を聴くことができました。ちょっとゴツめで田舎くさい、でもチェロとは明らかに違うヴィオール属の音なんすよ。どんな楽器かはこのクリップ(YouTube)で見られます。

すらりとした長身のシェーン、大胆な歌い崩しを挿みながら豊かな表現でシューベルトを攻略します。同じシューベルトでも室内楽やソロだと濃い味つけはちょっと鼻につくんですが、歌はそんなこともないんだよなあ。
そのシェーンを支えるのが、残り三人の不思議なアンサンブル。誰の編曲なのかわからないんだけど(作曲家自身ということもないだろうし)、コンサートホールで正装の演奏者に料理されるようになる前の、未分化だったころのエネルギッシュなシューベルト像に新鮮な印象を持ちました。シューベルト以外の、今は名前を聞かない(でも当時はこの編成を知悉していた)作曲家たちの作品も、野卑で俗で面白かったなあ。オシャレ系古楽アンサンブルの彼らだけに、野卑も俗も全部ポーズなのが憎い。。来年はバッハのモテットとかやってね!

【253】5/3 1330-1415 ホールD7〈ヒュッテンブレンナー〉
●VnとPfのためのソナチネ第1番ニ長調 D384
●同第3番ト短調 D408
●《華麗なるロンド》ロ短調 D895
⇒久保田巧(Vn)+佐藤卓史(Pf)


初のD7。エレベータ付近におけるスタッフさんたちの手際の良さが光ります。
今回のLFJで僕が唯一聴けた佐藤卓史の公演ですが、いやはや《華麗なるロンド》の重厚な演奏にすっかり引き込まれました。いつもの美音もさることながら、主部に入ってからラプソディックな音型(こういうベートーヴェンみたいな顔をしたシューベルトは怖い)を鮮やかに紡いでいく様子には、彼の表現の幅広さが改めて窺えたわけです。
久保田さんは、、ちょっとお疲れムード?

【215】5/3 1915-2015 ホールA〈シュパウン〉
●ミサ曲第6番変ホ長調 D950
→谷村由美子(S)、ジャッキー・カアン(A)、
  クリストフ・アインホルン(T)、マティアス・ロイサー(T)、クリスティアン・イムラー(Bs)
  ローザンヌ声楽アンサンブル
⇒ミシェル・コルボ/シンフォニア・ヴァルソヴィア


アンチメジャー志向ゆえに、LFJ4年目にして初のコルボ体験。
これはこの作品をジュリーニの演奏で楽しんできたせいなのかもしれないけど、コルボがこの作品の中に動的な流れを作ろうとしていることが少々意外でした。〈キリエ〉に明解なアクセントを付け、〈グローリア〉でかっ飛ばし、〈クレド〉に凹凸を形作る…。僕が勝手に熟成させてきたイメージに反し、けっこうモダンな元気爺さんなのかも。。
ローザンヌの合唱は安定していたし、シンフォニア・ヴァルソヴィアも侮れない。
ソプラノの谷村さんが突出と言ってもいいくらい声を前方へ飛ばしていたです。僕は1階の14列目に座ったのでちょっとやりすぎに聞こえましたけど、あのホールAのことを考えれば当然の音響設計だったのかもしれません。
ホールAの椅子はどうしてあんなにふかふかなんだろう。

【228】5/3 2230-2315 ホールB7〈ショーバー〉
●Pf三重奏曲第2番変ホ長調 D929
  ○アンコール ショーソンさん:Pf三重奏曲から
          ハイドンさん:Pf三重奏曲から(詳細不明)
⇒トリオ・ショーソン


引き続き変ホ長調ナイト。山尾さんオススメのトリオ・ショーソンでした。

いや彼らは凄いよ!一晩でファンになっちゃったよ!

真面目そーぅなメガネ男子3人がトコトコ歩いてきたと思ったら、目配せしていきなりダンスを始め、それに巻き込まれちゃって気がついたら一緒に踊ってたーみたいな感じ。あのワクワクドキドキする空気、表現したい意志と表現する内容の濃さでヒリヒリするくらい充実した空気、彼らの演奏が聴けたのは今年のLFJで最大の収穫です。
運よく最前列の中央付近に座れたんですが、あの異常に緊密なアイコンタクトが彼らの快演の秘密かなあ。天性のアンサンブルってああいう動きをするんでしょうね。3人ともすげえ楽しそうに弾いてるしなあ。いやはや。
2330を回ろうとしているのに拍手と歓声の収まらない客席に応えて、2曲のアンコール。それぞれ「ショーソンさん!」「ハイドンさん!」の日本語アナウンスつきで(笑)
by Sonnenfleck | 2008-05-10 21:43 | 演奏会聴き語り
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