on the air:ハーディング/東フィルのマラ6

c0060659_6593691.jpg明日あたり感想をUPしますが、このFM放送の前に、老獪なハイティンク/シカゴ響を先に聴き込んでしまったのは失敗だったかも。

【2008年2月14日 東京オペラシティ】
●マーラー:交響曲第6番イ短調
⇒ダニエル・ハーディング/東京フィルハーモニー交響楽団
(2008年5月11日 NHK-FM)

第1楽章。身振り手振りでとにかく何かを伝えたがっている印象が、まずは強い。
各旋律線は一本の太い綱にまとめられて、皆で動揺し、皆で伸縮しています。一糸乱れず「推進していく」統一感という点では、シカゴよりこの東フィルの方がずっと上ですね。オケの方ですっかりやる気になっているというか、指揮者のカリスマに中てられているというか…。よくここまでオケのポテンシャルを引き出したなあと(嫌味でも皮肉でもなく)素直に感心しています。全曲を通じて最も高く評価したいのはこの楽章でした。

第2楽章にアンダンテ、のパターン。清涼感があったけど、それはハーディングもオケも一途に素直に突進していっているのが伝わってくるせいかもしれないなあ。

それでは居並ぶ要素の弁別は?第3楽章スケルツォはラトルそっくりで、つまりグロテスクさを強調し切るのです。そうするとグロテスクなパッセージは効果的に強く浮かび上がるけど、そうでないパッセージは光り輝くグロテスクを目立たせるための「地」になってしまう。。

第4楽章は高血圧気味で、冒頭の和音は物凄くいきり立った響きをしていたけど、この方向で行くとオケの疲労がそのままトーンダウンに直結してしまって、縦の線にいくつもズレが生じ、最後は膨張し切れずにしぼんでしまったような印象。「しぼむ」と、直前に膨張していたときの「皮」みたいなものがヘタレてまつわりついているのが聴こえてくるようで…。

まあこれは夕食後に自室でまったりしながらFMを聴いてるからこそ細かい点が気になってくるだけであって、僕ももしその場に居合わせたら、きっと激しい緊張に苛まれていたことでしょう。大詰めの破綻(これは素晴らしい一撃でした)の後、30秒以上に及ぶ静寂を守った東京の聴衆にこそブラヴォでしょうね。

このマーラーはストレートでした。
ハーディングはそれでもなお、正体のわからない指揮者のひとりです。
シェフを務めるスウェーデン放送響とのライヴがネット上にたくさん出始めたので、拾って聴いていかなくては。個人的にはラヴェルとかベートーヴェンが見極めポイントかな。。
by Sonnenfleck | 2008-05-15 07:00 | on the air
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