第11回市民会館名曲シリーズ 名フィル吹奏楽コンサート

【2008年6月14日(土)16:00~ 中京大学文化市民会館】
●コープランド:《市民のためのファンファーレ》
●ホルスト:吹奏楽のための組曲第1番変ホ長調 op.28-1
●ヴァイル:Vnと吹奏楽のための協奏曲 op.12
→後藤龍伸(Vn)
●<2008年度全日本吹奏楽コンクール課題曲>
  (1)内藤淳一:《ブライアンの休日》
  (2)糸谷良:マーチ《晴天の風》
  (3)浦田健次郎:《セリオーソ》
  (4)片岡寛晶:《天馬の道》~吹奏楽のために
  (5)井潤昌樹:《火の断章》
●ヒンデミット:吹奏楽のための交響曲変ロ調
  ○アンコール コダーイ:《孔雀》による変奏曲~フィナーレ(吹奏楽版)
⇒高関健/名古屋フィルハーモニー交響楽団


6月の定期はワーグナー+(デュティユー)+ブルックナー。けっして超絶難解なプログラムではないにもかかわらず、4月5月とクラヲタ路線を突き進んだ影響だろうか、、見たところ集客の面では微妙な感じでした。
しかーし!この名曲シリーズでは、小中高のブラバン小僧ブラバン娘たちが市民会館の広い会場を完全に埋め尽くしたのです。彼らの動員力たるや凄まじく(聴衆の半分以上は18歳未満だったんじゃなかろうか)、前売券は完売してしまって、当日券が発売されたのは元から枠が用意されているユース席だけだったみたい。

プログラムをご覧いただきましょうか。
こってこての作曲家の隙間に、ブラバン小僧と娘たちにとってはこの上ないサーヴィスとなる「コンクール課題曲」の「模範演奏」が挟まっております。課題曲はどれも5分くらいの小品で構成も単純だったですが、《セリオーソ》はその名前に恥じぬ不機嫌なナンバーで、プチオネゲルといった趣き。これを女子高生たちが(いや、紅顔の男子高校生でもいいんだが)演奏するとはなあ。指導するセンセが一番大変だろうなあ。
周囲を制服姿の小僧たち娘たちに埋め尽くされて、はっきり言って音楽がまともに聴ける環境ではなかったけども、課題曲を目の当たりにしたときだけは彼らも目を輝かせ、ときには運指の仕草を見せたりして微笑ましい。これは名フィルの名前を彼らに刻み付ける重要な機会だし、将来の聴衆づくりと考えるとまさに企画力の勝利だねえ。

最後のヒンデミット、吹奏楽のための交響曲変ロ調も完成度が高かったんですが、特筆すべきはヴァイル。
Vnと吹奏楽のための協奏曲、これは1925年の作曲ということで(プログラムにあったとおり)モロに1920年代ストラヴィンスキーを髣髴とさせる皮肉な雰囲気を湛えた曲でありました。
《夜うぐいす》とPf+管楽器協奏曲を混ぜて練り上げて天日で干したような。ね。
編成はごく小さく、というか普通のオケから弦を取っ払っただけのように見え、「Vnと吹奏楽のための」と言うよりは「Vnと管楽器のための」という感じ。Cl部隊が弦の代わりをやったりはしないので、全体の響きは一気にシリアスへ向かって急速に乾燥し、ソロVnの艶めかしさが逆に際立つ構図です。
そのせいだけではないでしょうが、最近荒れ気味に感じられていた後藤コンマスの音が潤いを取り戻していたように思います。彼、こういうブラックユーモアな旋律が好きなんだろうな。人の良さそうなホルスト後だとこうかはばつぐんだ!

Cl首席のティモシー君が、吹奏楽だとコンマスの位置に座ります。
隣に座った若いOLさんたちと思われる二人の会話を(申し訳ないなと思いながら)つい聴いていましたら、「あのクラのひと外人だよ!カッコよくない?」って言ってました。ティモシー君の表現意欲は今日も光っておりましたし、これからますます伸びることでしょう。
by Sonnenfleck | 2008-06-15 08:45 | 演奏会聴き語り
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