知的音楽講座第1回 深遠なるバッハ・カンタータの宇宙

【2008年8月2日(土) 15:00~ しらかわホール】
●スザート:《ダンスリー舞曲集》より *
●プレトリウス:《テレプシコーレ》より *
●ペーツェル:《組曲》より *
●リュリ:劇音楽から3曲 +
●バッハ:カンタータ第12番《泣き、嘆き、憂い、怯え》 BWV12~シンフォニア
●同:同第151番《甘き慰め、わがイエスが来られる》 BWV151
●同:同第110番《われらの口には笑いが満ち》 BWV110
  ○アンコール 同第147番《心と口と行いと生きざまもて》 BWV147~コラール
→三宮正満とショームバンド(*)
  三宮正満とオーボエバンド(+)
⇒鈴木雅明/バッハ・コレギウム・ジャパン
  藤崎美苗(S)、青木洋也(A)、藤井雄介(T)、渡辺祐介(Bs)


「講座」の名にふさわしいガッツリ系レクチャーコンサートでした。

まずは総勢9人のショームバンドによる、開幕の音楽。
サントリーホールの前のパイプオルゴールを髣髴とさせる派手かつ古雅な音響。

続いて雅明氏が颯爽とステージに登場します。
16世紀における教会の内の宗教音楽と、その外に広がるマルクトの世俗音楽の話からスタートし、音楽への世俗の侵入、シュタットプファイファーの系譜、ユグノー戦争で国外へ逃れたフランス人音楽家、と続いたので、いったいどこからどのようにバッハへ持っていくのかと勝手に心配になる。でも最後になって俯瞰して見ると、バッハのカンタータ成立史が1時間の中にコンパクトに纏められてて、構築感のある講義ってこういう感じだよなあと感心。

でもけっこう専門的な内容がポロポロ出ていて、涼しいところでバッハを…と思って聴きに来たお客さんの中には「ついてけんでかんわ」な人もいたんではないかな。僕の隣のおばちゃんは爆睡しとったです。三宮さんたちの甘~いバロック・オーボエでまさかのリュリまで聴けてお得感満載だったし、個人的にはすっげえ面白かったけど。

後半はカンタータ。今回はBCJのメンバーは心なしかいつもより若い方たちが多くて、爽やかでした(いつもがしつこいと言っているわけではありませんよ)。
2曲とも僕の耳には地味な作品として聴こえましたが、その中でテノールの藤井さんとバスの渡辺さんの存在感が光る。二人とも若々しく張りのある声質で、アリアもレチタティーヴォも引き締まります。特に渡辺さんはBWV110のレチタティーヴォがよかったなあ。浦野さんともコーイとも違った雰囲気をお持ちなので、いつかはイエスやペテロを聴いてみたい。

カーテンコールの最中にCemの優人氏とOrgの今井さんが入れ替わったので、なんかあるなあと思ってたら、雅明氏が「お定まりを...」とひとこと。なるほど《主よ、人の望みの喜びよ》のコラールでしたが、豊かな起伏もあって気持ちがいい。
講義のおしまいに、先生がよく冷えた水ようかん(つぶあん)を出してくれたような感じ。
by Sonnenfleck | 2008-08-04 06:29 | 演奏会聴き語り
<< ヴィオラ・ソナタ 鉄でできた墓銘碑 >>