【2002年10月? サル・プレイエル?】
<2002年ロン・ティボー国際音楽コンクール> ●ショスタコーヴィチ:Vn協奏曲第1番イ短調 op.77 →アンドレイ・ビエロフ(Vn) ⇒ジャナンドレア・ノセダ/フランス国立管弦楽団 (2003年1月26日/NHK-FM) 手許にあるMDには、5年前の筆跡で「'03 1/26 タココン1 ロン・ティボー2位(ノセダ/ONF?)」と書いてあります。基本的に情報はすべて書き込むことにしてるので、このような走り書きは自分のライブラリの中では珍しい。 MDにエアチェックをしていたころは、気に入らない演奏はすぐに消して別のライヴを上書きしていました。こうした「走り書き」系のMDは真っ先に上書き対象になるんですが、このショスタコーヴィチだけはどうしても消せずにここまで来てしまった。 ショスタコーヴィチの第1協奏曲はシンフォニア・コンチェルタンテ的な破天荒なマチエールに目がつけられやすいけど、その枠は断然保守的だと思う。 鉄壁の名盤とされるオイストラフとコーガンの演奏は、凄まじいテンションと超絶技巧の陰で、この曲の(実は保守的な)枠組みが泣いているような気がするんですよ。彼ら巨人ヴァイオリニストたちにとってショスタコはホンモノすぎ、また真実すぎたんじゃないだろうか。全体の枠組みを念頭に置くよりも、もっと効果的な(同じ時代を知っている人間にしかできないような)方法を用いて曲と自分を同化させたほうが楽だし、きっとナチュラルだったんだろうなあ。 ちょっと話がずれましたが、ここでショスタコを弾いて2002年の第2位になったアンドレイ・ビエロフという青年は、枠組み内での力配分が実に巧妙なんです。 音楽家だって人間だから、彼ら彼女らなりのキャパシティがあると思います。その数値をどの局面へどのようにどれくらい分割して配置するかが、「巨人時代が終わった後の」ソリストたちの腕の見せ所でしょう。 たとえば、若いヴァイオリニストであれば恐らく興奮してしまう第2楽章の、さらりさらりとした語り口。晴れた日に自転車でも漕いで川べりを走りながら、歩いているエピソードたちをスイスイ抜かしていくような、そんな何気ない運動性を感じる。上手く惰性に乗って無駄な力を込めることもない。トリオの重音からマーチにかけてのしっかりした技巧と粘りの少なさは、巨人たちと鮮やかな対比を描いています。 一方で第3楽章では、歌い口の中で抒情をストレートに追及していて心地よい。 でもそれは悲劇的英雄的沈鬱を表現するためではなくて、たとえばバッハの協奏曲の緩徐楽章のように、「沈鬱なムード」を出すためみたいなんだよなあ。過度に重くしたり音を汚したりすることを絶対にしないのが、その証拠じゃないかと。 第4楽章、今度は「飛ばすこと」にたくさんのポイントが消費されてて、スポーティ。 + + + で、今日は夕方からT. フィッシャー/名フィルの名曲シリーズに出かける予定です。 ドビュッシーの《夜想曲》→ショスタコのVn協奏曲第1番→ベートーヴェンの第5、という、そんなに名曲名曲していないのがフィッシャー親方らしいプログラミング(たとえばこれがコバケンだったら、《フィンガルの洞窟》にブルッフの協奏曲という感じだ)。 21時からは教育テレビで親方の就任コンサートの様子が放映されるし、今日は名フィル三昧といきましょう。天気もいい。
by Sonnenfleck
| 2008-08-31 09:57
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