【2008年9月13日(土) NHKホール】
<第1625回定期公演 Aプログラム> ●バッハ:管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068~〈アリア〉 (→名誉指揮者ホルスト・シュタインを悼んで献奏) ●デニーソフ:《絵画》 ●マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調 ⇒ハンス・ドレヴァンツ/NHK交響楽団 (2008年9月13日/NHK-FM) ショスタコーヴィチに非常に近しい人物であり、かつ、後に師の保守性を否定して離れていったシベリア人、エディソン・ヴァシーリエヴィチ・デニーソフ Эдисо́н Васи́льевич Дени́сов(1929-1996)。N響の新シーズンの幕開けには、デニーソフのブーレーズ風小品が置かれました。今度のシーズンは一気に意欲的な作品が増えたN響ですが、いい選択でしたね。点描的な肌触りの非常にカラフルな作品で、心地よいソロも多く、洒落た感じ。確かに1970年時点でのショスタコーヴィチとは大きく違う方向へ舵を切っているなあ。 最近名フィルばっかり聴いてましたが、久しぶりにN響聴くとやっぱ巧いんスよね。。 ハンス・ドレヴァンツという人はダルムシュタットでずーっとオペラのシェフをやっていた方らしく、昔はN響にもたびたび来ていたみたいですね。僕は世代的に存じ上げません。 7月に亡くなったシュタインとはギムナジウム時代に同じ寮に住んでいたらしく、一緒にサッカーをやったこともある間柄だとか。冒頭の献奏は昔ながらのドイツ巨匠風バッハで、指揮者もオケも胸中に浮ぶことが多々あったことでしょう。合掌。 で、その79歳の老匠によるマーラーの第5交響曲です。 最近の「繊細過敏で傷つきやすい」マーラーに比べて、なんと大らかに構えた演奏でしょうか。第2楽章と第4楽章のぶっとい音の綱には驚かざるを得ないし、楽観的な第5楽章の響きも独特です(ドタバタしてトムとジェリーみたいなコーダが面白い)。属性が設定されておらず色合いも何もないような局面も確かに多いんですが、これはこれで新鮮。ザンデルリングに似ているという指摘を拝見しまして、なるほどという感じ。 + + + 【1973年2月5日 東京文化会館】 ●モーツァルト:交響曲第29番イ長調 K201 ●R. シュトラウス:交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯》 ●ワーグナー:《ニュルンベルクのマイスタージンガー》~第3幕への前奏曲 ●同:楽劇《ジークフリート》~〈森のささやき〉 ●同:《神々の黄昏》~〈ジークフリートのラインへの旅〉 ●同:同~〈ジークフリートの葬送行進曲〉 ⇒ホルスト・シュタイン/NHK交響楽団 短いプログラムだったので番組の尺が余り、アーカイヴからシュタインの指揮が掘り出されてまいりました。1973年、初共演当日のプログラムを山田さんが読み上げてくれたんですが、厳ついプログラムですね。そこからワーグナーが3曲、再び電波に乗った次第。 3曲ともにオケの立ち上がりこそ今よりずっと貧弱なものの、途中で現在のN響からは想像もつかないような強靭な響きになり、たまげること夥しい。こんなに太くて豊かな音のするオケだったというのも驚きだけど、シュタインの剛直なスタイルにも新鮮なものを感じる。 〈葬送行進曲〉、、絶品だなあ。これは。。
by Sonnenfleck
| 2008-09-14 07:58
| on the air
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Comments(2)
こんばんは。TBありがとうございます。
ドレヴァンツは私も存じませんでした。大らか、まさに仰る通りかと思います。こと細かにあれこれひねる最近の演奏とは一線を画すような、良く言えば正統派のマーラーだったかもしれませんね。 >途中で現在のN響からは想像もつかないような強靭な響き このところのN響、弦もかなり平べったくなってしまいましたね…。(デュトワ時代のふくよかさとはまた別の意味で。)もちろん巧いのですが、何かこう突き抜ける演奏というのが減ったような気がします。やはり巷で言われるように低迷期なのでしょうか。
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Sonnenfleck at 2008-09-18 22:28
>はろるどさん
ドレヴァンツですが、以前の客演ではやはりマーラーの第7番や第10番のアダージョ等、なかなか挑発的な曲をプログラムに乗せていたみたいですね。今回の第5番のような方法でこれらの込み入った作品をやると、一体どのようになるんでしょう。。 ああ、、「平べったい」という表現はまさに同感です。あの平べったい状態で聴いたシューベルトなんかは独特の味わいがありましたが、マーラーには向かないですよね。デュトワ時代の最後の何公演かは「突き抜けて」いたという確信を持って思い出すことができます。そろそろN響にも腰を落ち着けて鍛えてくれる指揮者が必要かと。。
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