2006年 03月 22日 ( 1 )

凍れる大正←電氣分解(ビビビ)

c0060659_2322144.jpg伝説の飲み屋、浅草の神谷バーへ行ってきましたです。

東武浅草駅の改札を出て横断歩道を渡るとすぐ、かなり古めかしい建物が目に入ります。浅草で活動写真を見終えた庶民にとって、その帰りに神谷バーで一杯引っ掛けていくのが最高の楽しみであった…というようなことが公式サイトに書かれてますが、そんな伝説も今は昔。僕が行った夕は「この人たち何時から飲んでんの?」という(やや汚めの)爺さんグループで店は溢れかえっており、現在はまた別の社交場に変容しているようでした。

ここの飲み屋さんは、日本で初めて「デンキブラン」を出したことでつとに有名。
明治のころ、舶来の珍しいものには「デンキなんちゃら」と命名するのが流行っていたらしく、ブランデーをベースにジンやキュラソーや薬草(?)をブレンドしたこの新しいカクテルに「デンキブラン」の名がつけられたのも自然な流れです。
しかし本家のデンキブランは容赦なく甘く、そのくせ度数が普通に高い。養命酒みたいな薬草臭に騙されてはいかんでした。調子に乗って電氣ブラン・オールド(明治の昔と同じ40度)をスイスイ飲んでいたら、いかん足がふらつく。。本当はチェイサーとしてビールを飲むのが神谷バー流らしいんですが…プリーズお冷や。

ここがもうひとつ面白いのは、食券制が続いてるところ。立ち飲みとか小さなお店ならわかるけど、こういう大きなホールを持った店で混乱がないのはすばらしい。
お店に入るとまずは入り口のカウンターで飲み物を注文し、食券を買って席へ。あとはそのつどギャルソンを呼んでその場で清算していくシステムなので、飲み終えてお会計、より喪失感が少なくて済みます。ギャルソンたちが食券を切っていく仕草がまたカッコイイのでした。

つまみの「フライドポテト」は小ぶりのじゃがいもをそのまま揚げたみたいな形で、ホクホクと甘い。揚げたてで衣が香ばしい「メンチカツ」には感激。魚介ダシの効いた「おでん」ははんぺんが異常に美味い。伊達に何十年と続いちゃいませんね。

* * * * * *

その数日後、ETV特集「木村伊兵衛の13万コマ~よみがえる昭和の記憶~」を何気なく見ていたら、彼の作品の中に「浅草・神谷バー」を発見。くたびれた紳士が一人でデンキブランの杯を傾ける何気ないショットですが、その落ち込んだ肩の角度といい、虚ろな視線といい、ゾッとするような妖気が漂います。木村の天才とともに、かつてこの恐ろしい瞬間を生み出した神谷バーという場所に驚くのでした。また行ってみよう。
(*ウェブ上で画像を探したけど見つかりませんでした。残念。)
by Sonnenfleck | 2006-03-22 23:28 | 日記