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水無月晦日/ミャスコ

c0060659_21532224.jpg今日で6月もおしまいですね。今年の梅雨はなんだか今までになく辛いです。食欲ないし。
んで今日みたいなアンニュイな気分のときに内向的な音楽を聴くとどうなるかと思い、あえてミャスコフスキーを取り出してみました。でもこのCD、ずっと前に一度だけ聴いたきりで、どんな曲が入っているのかさえ思い出せない始末。

交響曲第1番ハ短調 Op. 3 (1908) は全3楽章構成、第1楽章は中期のショスタコみたいな真面目落ちこみ系序奏から始まります。ロジェヴェン大先生の陽気なジャケット写真も寒々しく見える。ところがその直後、突然長調に転調して歓喜の大爆発…。これは面白いぞ(笑)。第2楽章ラルゲットは糖分70%カットのラフマニノフみたいな感じで、非常に慎ましやかかつ美しい(ただし想像以上に半音階スパイスが効いてます)。文化省オケの木管奏者たちが張り切って吹いてらっしゃるのが微笑ましいですね。終楽章は主題があからさまにブラームス狙いだけど、素直にかっこいい。

続いては交響曲第5番ニ長調 Op. 18 (1918) 。ニューグローヴを見たら「第一次大戦での悲痛な経験が云々」とのことでしたが、、ぜんぜんそうは聞こえんです。曲全体をぽわわーんとした明るさが支配していて、後期プロコ作品のような不思議な浮遊感があります。初演が1920年らしいので、もしかすると革命記念だったのかな…。とにかくこの作品が忘れられるのはもったいない。後期のプロコ/新古典期のストラヴィンスキーが好きな人には絶対的にオススメですね。スラヴ全開の第3楽章と終楽章の皮肉な空騒ぎには、彼が蒙っている不当な扱いを振り払うだけの魅力があります。

何年かぶりのミャスコフスキー、驚かされました。内向的な「だけ」っていう印象は、今日をもって廃棄。この作曲家がすっかり忘れられてしまうのは惜しいです。でも…作品が多すぎるのが彼の不幸の一因なんじゃないかと。どっから聴いたらいいかわかんないし●これからもうちょっと追ってみようかな。
by Sonnenfleck | 2005-06-30 22:48 | パンケーキ(20)

廻る廻るバトンは廻る・その2

はろるどさんから「Reading Baton」をいただきました。「Musical Baton」と同じスタイルの企画です。それではさっそく。

■質問1:お気に入りのテキストサイト(ブログ)
→「Favorite Links」に登録させていただいてるブログ、ほぼ毎日拝見してます。そして「六国峠@ドクター円海山の音楽診療室」さま、、わたくしめは「クラシック招き猫」草創期からのあなたのファンです…。

■質問2:今読んでいる本
→カフカ『城』(新潮文庫)。なかなか読み進められませんです。

■質問3:好きな作家
→基本的にフィクションしか読まないので、偏りまくりっす。以下順不同で。
 まずゴーゴリ、チェーホフ、ブルガーコフ。外せません。日本人では泉鏡花、三島由紀夫、森鴎外、森茉莉、森博嗣。
 全員華麗な文体の持ち主ですねえ。

■質問4:よく読むまたは、思い入れのある本
→冊数制限がないので、勝手に5冊に絞り込みました。これも順不同です。
(1)ミハイル・ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』(群像社ライブラリー)
〜ソヴィエト・アヴァンギャルドの夢。生涯座右に置いておきたいです。
(2)三島由紀夫『天人五衰』(新潮文庫)
〜当ブログの名前はここから。お恥ずかしい。ラスト数行の何たるパワー。
(3)泉鏡花『草迷宮』(岩波文庫)
〜この異常な美は誰にも真似できない。『高野聖』と迷いましたがやっぱこっちで。
(4)ニコライ・ゴーゴリ『死せる魂』(岩波文庫/品切れ)
〜『鼻』も『外套』もいいですけど…ここにはゴーゴリの全部が詰まってます。未完がなんだ。
(5)森博嗣『スカイ・クロラ』(中公文庫)
〜砥石本。

■質問5:この本は手放せません!
リチャード・ブローティガン『西瓜糖の日々』(河出文庫)
 何かにつけて読み返してしまいます。なんでだろうなあ。あの閉鎖的な世界がたまらない。

■質問6:次にバトンを渡すヒト3名
→「Musical Baton」のときと同じように、ここで勝手にゴール。はろるどさんごめんなさい!
by Sonnenfleck | 2005-06-28 22:02 | 日記

シュトックハウゼン来日記念演奏会:異質なものに包摂されること

c0060659_033750.jpg【2005年6月26日(日)16:00〜 <東京の夏>音楽祭/天王洲アートスフィア】
●シュトックハウゼン:《リヒト=ビルダー》(2002)
●同:《天使=行列》(2000)
→スザンヌ・スティーヴンス(バセットホルン)、
 カティンカ・パスフェーア(Fl)、
 フーベルト・マイアー(T)、マルコ・ブラーウ(Tp)、
 アントニオ・ペレス・アベラン(シンセサイザー)
 カールハインツ・シュトックハウゼン(サウンド・プロジェクション)


今年の<東京の夏>音楽祭の目玉は、何といってもシュトックハウゼン28年ぶりの来日でしょう。前回は大阪万博のドイツ館で自作を披露、そして今回はオペラ《リヒト》の第7夜〈日曜日〉の第3場の日本初演を仕切るためにやってきたシュトックハウゼン。ミーハーな僕は、ホール三階の椅子に腰掛けながら、現代音楽ファンでもないのに「あの《リヒト》もついに完結か…」などと不遜な感慨に耽っておりました。
そこから見下ろすと、一階平土間の中央付近にミキシングブースが設営されているのが見えます。そこには白人男性が座って機器のテスト中で…って本人じゃんっっ!きさくな作曲家77歳、ホール中の視線を釘づけにしながら悠々と開演を待つの図

前半は件の《リヒト=ビルダー》演奏会形式での日本初演です。
舞台には四人の演奏者が(上手からトランペット♂、テノール♂、フルート♀、バセットホルン♀)全員70年代のSFのような原色の衣裳を身につけ、横一列に並びます。テノールの歌唱(シュプレッヒシュティンメ風…って言っていいのかな)に、残りの三人が濃密に絡む。彼らが出すのは楽音にとどまらず、舌打ち・笑い声・楽器を吹きながらのしゃべり、など音楽外の要素が満載です。シュトックハウゼン自身はスコアを繰りながら、彼らの演奏にさらに電子音をミキシング。でも…思ったより面白くないってのが本音です。総じて聴きやすいし、ところどころ響きがめちゃめちゃに美しかったりしますが、こういう音楽はもう他にたくさんあるような気がする。かといって斬新なコンセプトで聴かせるわけでもなし、何もこれをシュトックハウゼンに求める必要はないような。他の人々はいったいどう感じたのかしら。。

後半は《リヒト》の第7夜〈日曜日〉の第2場〈天使=行列〉を、テープ録音にて上演。
たくさんの合唱隊が客席を含むホール中を移動しながら演奏する作品なので、生でなければ楽しさ半減かなーと思っていましたが、さにあらず。
聴衆がみな席に着くと、最低限のものを残して照明がすべて消され、ホールは闇に包まれます。唯一の視覚的演出が、舞台の後景に照射された丸い円(月?)。
さてここでその威力を発揮するのが、アートスフィアのスピーカ群なのでありました。音源の微妙な移動、そこから生まれるザラザラした空間を見事に再現(というか人間の合唱隊じゃあここまでできないですよ)。さらにこっちは視覚情報から遠ざけられてるので、否応なく聴覚に神経が集中します。言葉で表現できないのが悔しい…異様な音響体験、としか書けないです。いまコンサートホールで「純粋に新しい体験」だと感じられるものと遭遇することは(少なくとも自分は)ほとんどないのですが、昨日のあれは、まさしく未体験の何かでした。きっとしばらく忘れられないです。

終演後は当然のごとく盛大なスタンディング・オベーション。ただ、ひとり猿のように興奮したヲタが叫びまくってみんな引いてましたが(笑)作曲家はかなり満足気でした。サイン、ゲットです(根がミーハーなのでね)。やたっ。
(掲載写真は©Rolando Paolo Guerzoni)
by Sonnenfleck | 2005-06-27 23:57 | 演奏会聴き語り

ベルリン国立バレエ団来日公演:変容できてへんよ

…夜型生活へシフト。まずいです。ギャグも冴えます(死)

【2005年6月24日(金)17:00〜 来日公演/東京文化会館】
●ワーグナー/ベジャール:楽劇《ニーベルングの指環》にもとづく変容の物語


金曜日、ベルリン国立バレエ団の来日公演を観てきました。
実はバレエ公演に行くのは今回が初めてです。前々から本格的なバレエを観てみたかったんですけど、何から入ればいいのかわからない。そこでバレエ通の友人に聞いてみると「あなたは古典よりコンテンポラリーのほうがいいかもねー」との助言(たぶん当たってる)。さっそくチケットを手に入れて、上野へ急行しました。いつもと客層がぜんぜん違うぞ…。

《指環》全曲を、ベジャールの振り付けと演出で4時間強に再構成したのがこの日の演目。ストーリーは自然とわかりにくくなりますが、そこで案内人として(≒主人公として)登場するのがローゲなんですね。もともと原曲でもローゲは四部作を貫いて存在しているので(最後の最後でブリュンヒルデが突っ込むのもローゲの炎だし)、この演出は非常に真っ当でしょう。そのローゲを演じるのは、ベルリン国立バレエ団の芸術監督であるヴラディーミル・マラーホフ。たぶんとってもすごい大スターなんだと思います(周りのおばはん連の反応を見ると)。

音楽は生オケではなく、テープ(たぶん、、ショルティの録音)。聴きに行く前はかなりがっかりしてたんですが、幕が上がると確かに納得。というのも、舞台上には「グランドピアノ」と「演技を伴うピアニスト」が出ずっぱりで、ストーリーの進行に合わせてライトモティーフを自由に変奏するんです。ピアニストとテープはコラージュ風に組み合わされて、なかなか巧い効果を上げてました。ピアノ5割、テープ4割、無音1割といった感じかな。さらに登場人物たちの心象を代弁する弁者が加わって、かなり情報量は多いです(でも事前にストーリーを予習してない聴衆(普通のバレエファン、と言い換えてしまっていいでしょうね)には多くの部分が意味不明だったんじゃないかなあ)。

以下、箇条書きにて気になったところを書き出してみます。ネタバレです。
■《ラインの黄金》部分
・後景に高い煉瓦壁、上手に二階建ての建物の外壁。ピアノ。
・ヴォータンが槍を手に入れるエピソードから開始。音楽はピアノによるライン河の描写。
・神々の自己紹介。ここでなぜかヴォータンが二人になる(たぶん本音/建前の二人なんでしょう)。
・ここでローゲが「俺はほかの神さんたちと一緒に生ぬるく生きるつもりはねえ」と反逆。ほかの神々は戦前のバイロイト演出みたいな仰々しい衣装でヴァルハル入城。

■《ワルキューレ》部分
・エルダと「本音」ヴォータンの交情場面から開始。ブリュンヒルデと妹たち誕生。「本音」ヴォータンが双子を育てる場面あり(説明過多?)。
・フンディングが死なない。
ブリュンヒルデがノートゥングを折るくだりは、非常に秀逸。歌詞に縛られた普通の状態ではああいう理にかなった演出はできない。バレエの強み。
・魔の炎の場面ではローゲ大活躍。

■《ジークフリート》部分
・ミーメがおかまっぽく演出されていて不憫。さすらい人(「本音」ヴォータン)がなぜかローゲとともに現れる。ローゲはノートゥングを鍛えるのに力を貸す。
森の小鳥が張りぼてで、さすらい人やローゲが動かしている。

■《神々の黄昏》部分
なんとグリームヒルトが登場!妖艶な様子でアルベリヒと絡む。ハーゲン誕生(やっぱり説明が煩い)。
・ノルンたちがギービヒの館まで出ずっぱり。ハーゲンの夢の場面にまで登場し、おまけに最後まで綱が切れない(意味不明です)。
・忘れ薬〜結婚式〜ジークフリートの死までがめちゃめちゃに短縮されている(10分くらい?)。
・葬送行進曲の中間部あたりでやっとジークフリートが刺されます…。遅いよ(笑)
・「自己犠牲」ブリュンヒルデが神々しく登場、美しい踊りとテープによる感動が高まっていく、、と思いきや、なんと音楽が停止、静寂、上手の建物が崩壊。後景の煉瓦壁に亀裂が入り、二つに割れます(まあきっとベルリンの壁なんでしょう。白々)。
・最後、登場人物が無音で全員舞台に座り込むなか、音楽はなんと《パルジファル》の第1幕前奏曲。亀裂の間に立つ「本音」ヴォータン。弁者がヴォータンの気持ちを訥々と代弁するには、「悟りを得たものだけが救われるのだ、云々」。。これはさすがに酷い。このエンディングはありえない。キッチュ。

もっと激しい脱構築があると、芸術的な価値も開けてくると思います。説明口調という誘惑からどれくらい自由になれるかということ。小うるさいメタファが多すぎる。
肉体を楽しむ、という意味では、素人でもわかるくらいハイレベルでした。特にブリュンヒルデ役のナディア・サイダコワ、そしてなんといってもマラーホフの演技は本当に美しかった。終演後、おばはんたちの間をすり抜けながら、次は古典に挑戦してみようと固く心に誓ったのでありました。
by Sonnenfleck | 2005-06-26 04:20 | 演奏会聴き語り

ううー

c0060659_15162386.jpgやらねばならないことが山積みです。。
ジュリーニのCDもまだ買いに行けてないし。
さすがに文章書きながら音楽は聴けないので昨日今日は無音生活ですが●ふと息抜きにNKHFMをつけたら、クレンペラー/フィルハーモニアの《ロマンティック》が放送されてまして、ついつい聴き込んでしまいました。
クレンペラーのブルックナーなんて何年ぶりに聴くんだろう…。まだクラ初心者だった遠い昔に、図書館で9番を借りて聴いたことがあります。当時はブルックナーなんてさっぱり意味がわからなくて(いまでもわかってるか怪しいもんですが^^;;;;)、おまけに初めて聴く9番が不気味で、とっとと返却しちゃったことしか覚えてません。
ああー。改めて聴くとやっぱクレンペラーすごい。なんでこんなに響きがすっきりしてるんだろう。。ぜんぜん重苦しくない。こりゃTESTAMENTのウィーン芸術週間BOX、買いだな@金ねー(T_T)
by Sonnenfleck | 2005-06-23 15:41 | パンケーキ(19)

地平線上の夏

c0060659_1916594.jpg今日は夏至です。朝からぼんやりと蒸し暑く、ときおり照りつける日差しが苛烈。
さて夏至といえば、シェイクスピアの、そしてメンデルスゾーンの《夏の夜の夢》なわけです。最近ようやく周知されてきてますが、そもそもあの話は夏至祭の夜の出来事なんで、この場合Midsummer は「真夏」じゃなく「夏至」のこと。《真夏の〜》というのは誤訳です。…んーしかしメンデルスゾーンのエントリがこんなに続くとは。

ブリュッヘン/18世紀オケのGLOSSA盤を久々に引っ張り出してきました。
〈序曲〉は精妙の反対、猥雑な期待感みなぎるゾワゾワ感がたまりません。やがて猛々しいティンパニの打ち込み(18世紀オケはこうじゃないと!)。最近のスタイリッシュな古楽オケもいいけど、こういう垢抜けない土臭さもやっぱいいなあ。。〈スケルツォ〉はむしろ重々しいくらいにネットリ、金管を激しく強奏させる〈結婚行進曲〉も肌理の粗いテクスチュアが独特のエグみを醸していて好ましい。夏でも冷たい田舎の水道水のように、雑味を内包しつつ、一度味わうと忘れられない味があります。コンビニに並んだペットボトルのミネラルウォーターとはわけが違う。これを「一時の流行だった」なんて切り捨てられる人は、あまりいい水を飲んでいないか、水を味わうことすら忘れちゃってるのでしょう。
by Sonnenfleck | 2005-06-21 20:10 | パンケーキ(19)

弦楽四重奏コンサート:Deconstruct the 19th century

【2005年6月19日(日)14:00〜 サロン・デュオ】
●ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第6番変ロ長調 op. 18-6
→カルテット・マリンコニア
●メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第2番イ短調 op. 13
→カルテット・ヌル
●ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第13番ト長調 op. 106
→カルテット・ピーヴォ


友人に誘われて、密やかな演奏会に行ってきました。
会場となったのは、JR代々木駅から徒歩5分ほどの距離にあるマンションの一室を改造して作られた「サロン・デュオ」。ごく普通のマンションのエレベータを上がり、無愛想なドアを開けるとそこには隠れ家のようなサロンが…というドキドキの環境です。こちらはアルテ工房という弦楽器工房が、顧客の演奏会などに使用できるように設けたのだそう。部屋は決して広くなく、壁面にはVn属(ただし一般的でない形状)の古楽器がずらりと掛けられ、抑えめの照明がいい雰囲気。客席は40席ほどでしょうか。
出演者団体はいずれも、東京大学オケのソロ奏者たちや大学院生たちで構成されたアマチュア。しかし難曲揃いのプログラムからも窺えるように、普通のアマではありませんです。

1曲目のベートーヴェンは、恥ずかしながら初聴。やはり初期作品なだけあって第1から3楽章までは古典的な調和感が支配的です。アンサンブルをリードする1stVn氏とVc氏の音楽性も、決して激することのない晴朗で理知的な様子で曲調に合致。緊張の様子も特になく、アンサンブルテクも十分。ただし、その序奏部分に「憂鬱」と書き込まれた第4楽章にはベートーヴェンの前衛性が滲み出ておりまして、続くロンド主題の明らかな躁とともに、まだ楽譜の持つ毒々しさへの掘り下げが足りないかなーと思われてしまいました。もう少し生々しい表情づけがあってもいいかな。彼らの演奏でハイドン(かラヴェル)を聴いてみたいです。

2曲目はメン2。先日エントリを書いたばっかりですね。ところがそのカルミナ四重奏団とは完璧に異なる属性、、いい意味でも悪い意味でも「熱い」「漢の」演奏でした。作品全体の鍵となる第1楽章の序奏は意外にさっぱりと始まりますが、主部に入ると2ndVn氏とVa氏が分厚い(そして大変失礼ながら汗くさい)テクスチュアを形成して、アンサンブルをがっちりとリード。しかし面白いことに1stVn氏はそれとは異なり、鋭く浮かび上がってはきつめの音を放射するタイプ。音程は犠牲にしつつもその存在感は独特で、なんだか惹かれてしまいますねー。第2楽章は抒情的な箇所に比して中間部の感情的な山場に強いアクセントが置かれ、浪漫的。すまして通り過ぎてしまうような第3楽章も、むしろその垢抜けない歌謡性にスポットライトを当てている。第4楽章序奏部の1stVn氏のモノローグは劇的な効果が十分に考慮され、4者が有機的に分厚く絡み合うというスタイルも、主部に入ってさらに一層強調されて心に迫ります。そして最後にちょっと火照った様子で最初の主題が静かに回帰する様子、、漢っすね。小さくまとまるのを避けるというのは本当に勇気の要ることだと思いますが、彼らにはそれができている。

3曲目は見事に集中力が途切れてしまってろくに聴けなかったので、細かいコメントは差し控えます。ひとりひとりの技量の高さという点ではこの団体が図抜けていましたが、前半にあんなメンデルスゾーンを聴いたあとでは、「表現したいもの」を感じさせない演奏というのはどうしても聴き劣りしてしまいます。。
by Sonnenfleck | 2005-06-20 20:02 | 演奏会聴き語り

廻る廻るバトンは廻る

あちらこちらの音楽系ブログで話題になっている「Musical Baton」。ついに僕のところにも回ってきましたです(from みー太さん)。海外のブログに端を発するらしいこの企画、音楽に関する5つの質問が回ってきたら、自分のブログ上でそれに答え、さらに5人のブロガーを選んでバトンを渡す、というルールらしい。…いいっすねーこういうの好きですよ◎

■質問1:Total volume of music files on my computer
→僕はPCに音楽を入れて楽しむ習慣がありませんので「0」。パンケーキというメディアそのものが好きなんですね。

■質問2:Song playing right now
→マーラー:交響曲第9番 カルロ・マリア・ジュリーニ/シカゴ交響楽団(DG)

■質問3:The last CD I bought
→ヴィヴァルディ:《四季》 ベルナルディーノ・モリナーリ/ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団(aura music)
 →たぶんこれです。《四季》の世界初録音盤(1942年)。ずっと探していました。渋谷のタワレコの半額コーナーで見つけて即捕獲です。

■質問4:Five songs(tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me
→これがいちばん難しい。。
(1)ラヴェル:《亡き王女のためのパヴァーヌ》 ロリン・マゼール/フィルハーモニア管弦楽団(EMI)
〜中学3年の春、この死ぬほど美しい曲に出会わなければ、自分は阿漕なクラヲタ稼業なんてせずにすんでいたのです。ああ。
(2)ストラヴィンスキー:《ペトルーシュカ》 ピエール・ブーレーズ/ロンドン交響楽団(ルツェルン音楽祭ライヴ)
〜FMのエアチェックです。高校時代、一か月ほど通学時にこればかり聴いていた時期があります。いまでもこの曲を聴くと、誰もいない駅のホームに積もった雪を思い出す。
(3)ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ロストロポーヴィチ/ウィーン・フィル(ライヴ)
〜これもFMのエアチェック。ホテル、電車の中、休憩時間、この曲を聴きまくって集中力を高めた大学入試なのでありました(どうなのよ)。
(4)コレッリ:合奏協奏曲ニ長調 op. 6-4 イ・ムジチ合奏団(PHILIPS)
〜僕をバロックの大海原に引きずり込んだ、憎いアイツです。詳細はこちら
(5)谷山浩子:《まっくら森の歌》(NHK みんなのうた) 
〜あの深沈たる救いのない曲調、立ちはだかる厭世的な美しいメロディ。世界の果ての壁です。超えられないものは確かに存在する。僕はこの曲を絶対に忘れない。

■質問5:Five people to whom I'm passing the baton
→ここで僕はルールを破ってバトンを床に置きます。強制力を伴っているこの企画、お好きでない方もいらっしゃるでしょうし。。悩みましたがこう解決することにしました。バトンをくださったみー太さん、ごめんなさい!
by Sonnenfleck | 2005-06-19 00:56 | 日記

ジュリーニ逝去

c0060659_9581558.jpgえーと。とりあえず今日はexciteにダメ出し
事前の説明では「鯖の大幅増強をするのでサービスを16時間停止する」とのことでしたが、復旧に手間取って再開は著しく遅延し、停止は結局27時間に及びました。空白の一日ですねえ。こんなに時間かけちゃいかんだろ。不測不測って連発されても、こっちとしては「それだば見通し甘過ぎだべ?」というコメントしかできない。スタッフの皆さんはほんとお疲れさまですが、さすがにちょっと、ね。

そうこうしている間に、exciteユーザ以外のクラシック系ブログでは、カルロ・マリア・ジュリーニ91歳の大往生という大ニュース(このソースが一番詳しいかな)が飛び交っているのでありました。合掌。
残念なことに、僕は彼の音楽がどんなものなのか判断できるほど彼の音盤を聴いていません。所持しているCDは、DGに録音したシカゴ交響楽団とのマーラー9番(+シューベルトの《未完成》)のみ。ネット上の意見や評論家の作文を目にして先入観を持ち、自分の嗜好が彼の音楽作りから遠いところにあるように信じ込んでしまっていたのは少なくとも間違いないです。今日はじっくりマラ9を聴き込んでみようと思いました。さようなら紳士の人。
by Sonnenfleck | 2005-06-17 10:05 | 日記

メン2泣けるよメン2

c0060659_22203263.jpg今日は梅雨寒の東京。水10で秋田がバカにされててくやしい。ホテルなまはげっすか…。ええそりゃ秋田にはTBSもセブンイレブンもドクターペッパーもないですけど!

さてメン2。といっても交響曲第2番変ロ長調《賛歌》ではなく、弦楽四重奏曲第2番イ短調のほうです。一時期《スコットランド》や《フィンガルの洞窟》に嫌気がさし、「メンデルスゾーンなくなってもいい」発言をして周囲の友人たちから多大な顰蹙を買っておりましたが(スイマセン)、あるときこのCDを聴いて強い衝撃を受けました。

ここに収録された第2番は、メンデルスゾーンが最初に作曲した弦楽四重奏曲で、全4楽章からなる伝統的なスタイルでかっちりと構築されています。ことさら騒ぎたてることなくすっきりと冷たく悲しい第1楽章、甘美すぎない第2楽章、懐かしい古い歌のようにそっと挿入される第3楽章。そして第4楽章は、ほかの3人の鋭いトレモロに支えられた1stVnの不安げなモノローグで開始されます(これベートーヴェンの第9の第4楽章にそっくりだな)。高揚しつつ、でもそのまま突っ走ることなく、終結部では第1楽章冒頭に置かれたイ長調の美しくゆったりとした序奏が回帰。ベタではあるけれど本当に胸が熱くなります。

演奏するカルミナ四重奏団は、ひとりひとりの粒立ち・キャラ立ちがしっかりしていて、非常に明快明晰。逆に言えば、ブレンド感というか弦楽器の厚い和音を聴く楽しみにはそれほど対応してないかな…という感じでしょうか。でも僕は彼らのこういう演奏スタンスのほうが好きですね。曲の淡泊な抒情味にもぴったりと合致してると思います。
実はカップリングの第6番ヘ短調はさらに暗黒街道まっしぐら・ド鬱の異様な作品なんですが、こんどまた改めて。
by Sonnenfleck | 2005-06-15 23:40 | パンケーキ(19)