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自由が丘 カフェ・アンセーニュ・ダングル

適度にこぢんまりとしていて居心地がよいので、自由が丘という街にはなにかと立ち寄ることが多いです。渋谷から東急東横線で10分、「いかにも東急沿線」然としていながら、街の造りにはけっこう雑多な雰囲気もあって面白い(商業施設がゴタゴタ詰め込まれた駅ビルがないのがいいのですよ)。人々は目的の場所に分散し、群衆が一箇所に集中することがないので過ごしいいわけです。

そんな自由が丘で一休みするのに最適なのが、カフェ・アンセーニュ・ダングル (Cafe Enseigne D'angle)
駅の正面口から右折して大井町線の線路と平行に直進、最初の踏みきりを横目に通り過ぎてすぐのところに、暗い煉瓦風の外壁が見えてくる。
敷地面積はわりと広いはずなんですが、柱や壁によってランダムに区切られた店内はちょっとした隠れ家的ゴミゴミ。内装にも煉瓦を用いて、赤暗い間接照明と落ち着いたフロアスタンドとともに、閉鎖的(カフェにおいては最高の誉め言葉!)な雰囲気を醸しています。および、空気のように静かに立ちまわる良くできたギャルソン。
そしてなにより珈琲がとびきり美味い!フレンチローストを謳うだけあって、ブレンドからして凛とした強い苦みとストレートな芳香が広がります。昨日は初めてマンデリンを注文してみましたが、とりどりの香りが積み重なった豪奢な重量にしばし恍惚。自宅じゃ絶対に追体験できない類の快楽ですねえ。ここの珈琲は本当に大好きです。ただ本当にヘヴィーなので、濃い珈琲が苦手な方はご注意。

無休・10:00-23:00。自由が丘以外にも原宿と広尾に店舗があるらしい。
by Sonnenfleck | 2005-10-31 21:21 | 日記

優しい闘士

c0060659_1121865.jpg起き抜けにいただいた銘菓・鶴ヶ島最中。美味しゅうございました。

さてここ何日かはまっているのが、高橋悠治による新ウィーン楽派ピアノ作品集。このピアニストが先年リリースした《ゴルトベルク変奏曲》はあまりのグニャグニャ改変ぶりに到底ついていけませんでしたが(あのような旋律/リズムのぶつ切りは、ロマンティック、とも違う)、この70年代の新ウィーン楽派作品集は非常に魅力的です。

なんといっても音が消えていくさまが美しい。これはたとえばグールドのシェーンベルクにはない魅力だし、またポリーニのような直線的な消え方とも異なる。音符のひとつひとつが円やかに連結して、やがて穏やかに拡散して消える…といいますか。
しかもそれはシェーンベルクの麻薬的な無調時代に限ったことではなく、20年代の硬質な十二音作品にも当てはまっている。こういう棘のない滑らかさは本当に貴重な美質だと思うのです。三里塚闘争も水牛楽団も僕ぁよく知りませんが、こうして表現主義的な激しさに頼らず、彼のように上品な穏やかさのうちに新ウィーン楽派を聴かせるというのは至難なのでしょうね。(作品25の第3曲ミュゼット!)
併録のベルクのピアノソナタも絶品(炎のように燃えるエマールの対極。しかも高橋悠治は冷たいのではなく「優しい(!)」)。新ウィーン楽派はギスギスしてて嫌だわっというあなたに、オススメです。
by Sonnenfleck | 2005-10-30 12:03 | パンケーキ(20)

小澤征爾/N響:<こどものためのプログラム>

c0060659_20111625.gif小澤のコンサートはいつも高すぎて到底聴けるもんではなく(そしてそんな高額でも瞬く間に売り切れてしまうので)、実は彼の実演を聴くのはこれが初めてだったりします。しかも相手が因縁のN響とあらばテンションも上がってしまいますね!

上がってしまいますか?

【2005年10月27日(木)19:00〜 NHK音楽祭2005/NHKホール】
●ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 Op. 67
●ガーシュイン/マーカス・ロバーツ編曲:Pf協奏曲ヘ調
→マーカス・ロバーツ・トリオ
 マーカス・ロバーツ(Pf)、ローランド・ゲリン(Bass)、ジェイソン・マルサリス(Drums)
●千住明:《日本交響詩》(2005、NHK放送80周年記念委嘱作品・初演)


どうですこのプログラム!
チケットを買った時点ではベートーヴェン5番と《ラプソディ・イン・ブルー》だけだったんですが、その後プログラムは変更され、しかも思わぬ伏兵の登場となりました。そっかあ…小澤+N響+千住なんて一生に一度の経験だろうなあ…なんて考えながら開演前にプログラムを眺めておりますと、年端もいかぬお子さま方が歓声を上げながらそこらへんを走り回っているのが目に入ります。これは「こどものためのプログラム」なんだよ?我慢しなさいよ自分?

小走りに小澤が登場し、万雷の拍手。1曲目。
冒頭の4音モチーフを二回繰り返して…あれ、、休符がすげえ長いぞ??フルヴェンっすか??と思ったら、小澤がくるりとこちらへ向き直って「…とまあこんな感じです」とスピーチを始める。4音モチーフが曲中に潜んでいることを楽しく説明しつつ、楽器の違いについて解説し(「堀さん(コンマス様!)と店村さん(Va首席)並んで楽器挙げてみて!」には笑ってしまった^^)、会場を盛り上げます。この辺は本当にすごい人だなあと恐れ入りました。いつもこういうことをやっておられるからでしょう、教育プログラムへの戸惑いが全然ない。
演奏自体にも、驚かされましたですよ。
Kb8本の巨大な編成でどう料理するのかしらんと思っていましたら、本当に何も起こらないのです。重いソースも、軽妙なスパイスもなく…塩ゆでと言ったらいいんでしょうか、出過ぎた味つけは一切なしに、こちらの予想をまったく裏切ることなく、堂々として苦悩から歓喜に至ってしまいました。これが名高い小澤の「スーパードライ(マルC宇野功芳)」なんでしょうか。確かに非常に丁寧でキレイなテクスチュアで、ここまで清純に、滑らかにベートーヴェンを聴かせるのがどれほど難しいか、敬服します(皮肉でもなんでもないですよ?)。これが彼の個性なんでしょうね。素直に拍手したい。

後半は指揮台の横にピアノ、ベース、ドラムが登場。それらの音を拡大するスピーカーも用意され、お堅いファン(とかコンマス様!)を怒らす準備はばっちり整いました。
マーカス・ロバーツによる編曲はかなり自由なもので(まさに「ガーシュインに基づくインプロヴィゼーション」)Pfソロに絡むベースとドラムのノった感じは、「美しく整った」前半との違いを際だたせる。ジャズは聴かないんでよくわからんのですが、きっとスマートなプレイだったのだと思います。見ていると小澤の指揮は実に気持ちよくリズムにノっているのですが、オケのほうは自在に伸縮するソロパートに辟易といった様子もチラリ。でもN響のベッタリ甘々な様子を聴けたのは収穫です(思ったよりギチギチしていない)。

最後は千住明の新作。
ものすごくベタな民謡コラージュ(…ですらないか。ところどころちょっとだけ大胆な和音を作ったりしていますが、基本的に「NHKみんなの童謡」路線)です。《故郷》《最上川舟歌》に始まり、《花笠音頭》《佐渡おけさ》《ソーラン節》《五木の子守歌》…《てぃんさぐぬ花》で日本列島の南北に気を遣い、《金比羅船々》《阿波踊り》と。最後は「NHK歌謡コンサート」ばりに客席がライトアップされ、こちらを向いた小澤の指揮で《さくらさくら》の大合唱
ああ…両隣のおばあちゃんも向こうのガキもみんな歌ってるよ…

、、追風に帆かけて シュラシュシュシュ(ボソ)
by Sonnenfleck | 2005-10-28 20:21 | 演奏会聴き語り

等々力渓谷散歩

c0060659_22164629.jpg「まるで東京じゃないみたーい」という発言はあまりにもしばしば見受けられて、その価値の目減りはもはや甚だしいかと思われるのですが、今回ばかりは僕も叫ばせてもらいました。東京じゃないみたーい。

等々力渓谷は東京都世田谷区等々力にある23区唯一の渓谷。渋谷から東急東横線→東急大井町線でわずか15分のところに、こんな場所があるんですね。最寄りの等々力駅からは徒歩5分、林が突然視界に入り、深い裂け目が現れます。木々に遮られて渓谷の中は昼なお暗く、ひんやりと涼しい。

c0060659_22171527.jpg渓谷の全長は約1キロですが、谷底に降りると周囲の住宅は完全に視界から消えるので切れ込みなかなか深い。谷を流れる谷沢川に沿って歩いていくと、7c後半〜8cの横穴式古墳、「等々力」の名前のもととなったとされる不動の滝役行者(=役小角)が修行したとされる霊場。現在水量はわずかですが、行場らしい清冽な雰囲気を確かに残している)に辿り着きます。
さらに滝の横の階段を上っていくと、途中に役行者がこもったといわれる岩屋があり、等々力不動尊が見えてくる。明るい境内はもう周囲の台地と同じ高さなので、突然現実に戻ってきたような感じです。

等々力駅を始点にごくゆっくり往復しても1時間半の道のり。紅葉が始まったらもう一度行ってみようかな。
等々力渓谷ホームページ
by Sonnenfleck | 2005-10-27 22:17 | 日記

ミネラル・鉄分・チャイコ分の補給に

c0060659_2232176.jpgオラの家に来てロマン派さ聴くべかー(戯画第一村人風偽訛)
最近あまりにもバロックばっかり聴いてるような気がして、久しぶりにショルティ/シカゴ交響楽団の《悲愴》を取り出してみました。

この《悲愴》は彼らがコンビを組んで間もない1976年の録音。名高いマーラーの5番(1970年録音)とともに【ショルティ+シカゴ】初期の大名盤のひとつだと思います。
リズムがすっきりしていて、アンサンブルは完璧、メタリックで派手な音響がひたすら格好いい。まったく、それだけでいい。この作品に思わせぶりな「翳り」や「深み」や「精神性」を求める聴き手には到底理解してもらえないのでありましょうが、そんなものなくても別にかまわぬ質なので大いに気に入っています。
ショルティの忘れられ方はあまりにも気の毒ですよね。涙が出る。この人の全部が好きとは言いませんが(ショスタコなどどれもあっさり行ってしまうのでちょっと^^;;)、彼の振ったR.シュトラウスやブルックナーが持つ力強いフォルムには惚れ惚れしますね。大編成のオケを聴く気持ちよさの極み。
by Sonnenfleck | 2005-10-25 23:26 | パンケーキ(19)

クルージングの途中だが、さらばじゃ!

テレビ朝日の(関東ローカル?)名物深夜番組「虎の門」。毎週金曜深夜(土曜未明)の1時間半を生放送でぐだぐたと消費するしょうもない番組なのですが、数ヶ月に一度くらいの割合で突然放送される「虎の門/しりとり竜王戦」という企画、これが猛烈に面白い。

ルールは簡単。
参加者は毎回出題される「せつない言葉」「最近のジーコの寝言」「あいまいな言葉」といったテーマに沿って、一単語には拘らずにしりとりをしていきます。スタジオの審査員は各解答に得点をつけていき、制限時間内に最多得点を上げた参加者が勝ちとなる。
単純にテーマから想起されることを言っていく場合もありますが、やっぱり参加者のセンスが如実に表れるのは解答に「○○だが××」「△△風◇◇」「〜より…」などの縛りが加えられるケースですね。参加者は毎回若手中堅の芸人ばかりなのですが、おっ!と思うような解答が積み重なることもしばしばあり、就寝直前の弱った脳には強烈に染みわたるのでありました。
わけても板尾創路@永世竜王の天才的なセンスには毎度敬服しますね。俳句詠ませたりしたら最高なんじゃないかと。こちらのブログで詳細なレビューをしておられます。興味のある方はぜひ。

ここで楽しいのは「普段は滅多に隣り合わないであろう単語が並列される」という状況なのですよね。これは詩作においてはひどく基本的かつ重要な要素で、視点・意識を日常世界からほんの少しずらすことによって読者をドキリとさせられたら、その作品は成功なのだと思います。(*「枕詞」という技法はもともとそのためにあった、という説明には確かに納得。)

踏み切り風電車@藤崎奈々子。やられた。
by Sonnenfleck | 2005-10-24 22:14 | 日記

鈴木秀美/オーケストラ・リベラ・クラシカ:次男坊の爆発

c0060659_12242942.jpg【2005年10月21日(金)19:00〜 第13回定期公演/浜離宮朝日ホール】
●カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ:Vc協奏曲イ短調 Wq. 170
→鈴木秀美(Vc)
●同:管・弦楽の交響曲ヘ長調 Wq. 183/3
●同:管・弦楽の交響曲ニ長調 Wq. 183/1
●ハイドン:交響曲第12番ホ長調 Hob.I.12
 ○アンコール ハイドン:交響曲第9番ハ長調 Hob.I.9 〜第1楽章


CPEバッハの、しかもチェロ協奏曲が生で聴ける機会なんていうのは10年に一度くらいなんじゃないかと思い、喜び勇んで出かけてきました。
OLCの定期公演にはなぜか今まで縁がなく、これが初めての生体験。デフォルトはVn1stと2ndが4人、Vaが2人、VcとKbとCemが1人ずつ、2曲目以降はFlとObとHrが2人ずつ、Fgが1人加わるという小さな編成です。これだといつものレパートリーである後期ハイドンやモーツァルトには小さすぎる…?ので、ほかの公演はたぶんもう少し大きめの編成でやってるんじゃないでしょうか。A=430Hzでの演奏です。

1曲目、CPEのVc協奏曲(1750年)。
まずは初っ端からソロの秀美氏の圧倒的なパフォーマンスに度肝を抜かれました。そもそもの曲調の激しさももちろんですが、先日の親父バッハの無伴奏全曲演奏会のときのようなある種の質朴さのようなものはすっかり消し飛んで、かわりにひたすらアグレッシヴな音符が飛んでくる。トゥッティ(猛者揃い!)も含めて弓のアタックをかなりきつく刺々しくすることで、聴き手を挑発するCPEという人の独自な様式がビリビリと伝わってくるわけです。それを指揮者なしの「弾き振り」形態でやってしまう(といってもソロは客席を向いてずっと弾きっぱなし、、それなのにあの高密度のアンサンブル…)。日本の古楽層の厚さには本当に驚かされます。今これ以上のCPEが世界のどこで聴けようかという感じですよ。

2曲目、3曲目も秀美氏は通奏低音の位置から弾き振り(彼のみスコアを繰ります)。
Vc協奏曲から時代は下って1775年前後に作曲されたCPEのシンフォニアですが、1763年に作曲された後述のハイドン作品が律儀なソナタ形式なのに対して、ここでもCPEの奇抜な作風はまったく衰えることを知らず、ものすごく「変な」(!)ことになっているのです。えっっ…と思うような転調、大胆なシンコペーション、劇的なフォルテなどを十全のアンサンブルで提示されるので、こちらとしても始終ドキドキしまくり。管楽器が入ることで響きはより豊饒になり、酩酊感さえ感じられるような音の洪水でありました。ああCPEってすごい。。

4曲目のハイドンでCemが抜けます。
昨日のチェンバリストは、先日の《チェーザレ》でもCemを担当された鈴木優人氏
(*TBありがとうございました。あんな勝手放題の感想文に…恐惶至極です)
譜面上でCemが果たす役割は、CPEにおいても時代とともに少なくなってしまいます。ただCPEは通奏低音の重要性を生涯考えていたと思うし、昨日の公演でトゥッティの響きが薄くなったところでのCemによる力強いフォローは実に印象的でした。
このハイドンの交響曲は3楽章構成で、ソナタ形式に沿った模範的な作品。しかしCPEと並べて聴くと、通奏低音系楽器(Fgも含む)の背景化、Vn1stへの旋律集中などなかなか対比的で面白い。オケの皆さんも如実にアタックを柔らかくして、奏法面でのコントラストをつけます。…自分はやっぱり古典派よりバロックに愛を感じるなあ(という無責任な感想で許してください^^;;)

ところがアンコール、ハイドンの第九(1762年)はCPEを髣髴とさせる非常に激しい音楽で、驚いてしまった。若き日のハイドンがどれほどCPEを尊敬していたか、なるほどという思いです。
by Sonnenfleck | 2005-10-22 12:25 | 演奏会聴き語り

ギュスターヴ・モロー展@Bunkamura ザ・ミュージアム

c0060659_22374091.jpg昨日夕刻、雨がそぼ降る渋谷へ。
元祖ニート、デ・ゼッサントも推薦のモロー展に行ってきました。

ギュスターヴ・モロー(1826-1898) は不思議な画家ですよね。彼ほど「××主義」というカテゴライズから自由な人はいないと思います。よく象徴主義の先駆とか言われますけど、「先駆」っていうのは後代から見たときにしか意味がない言葉であって、ゼロから(ドラクロワやシャセリオに師事していたとはいえ)あの小宇宙を作り上げたモローの異常な独自性はもっと称賛されてもいいんじゃないかなあ。
(*でもシャセリオのヌードを見ると、虎の巻発見!という気はします)

本展はパリのモロー美術館の所蔵作品を、年代ではなく主題によって8セクションにわけた構成。作品数ではギリシア神話系のものがもっとも多く、ついでサロメ関係、聖書世界という陣容であります。
印象深かったものをいくつか。

《プロメテウス》(1868、油彩) プロメテウスの白い体(セクシャルなものすら感じる)。後景の岩場のそっけない質感、そして対照的に細密で邪悪な鷲の描写。
《出現》(c. 1876、油彩) モロー作品の中でももっとも有名なもの。実物は予想以上に骨っぽい印象が強く、驚きましたです。洗礼者ヨハネの首から差す光は力強く直線的で、またサロメも意外に粗っぽい描線。またこの絵を特徴づける「透明に浮き上がる装飾」もかなり太くはっきりとしたタッチです。でもよく近づいてみると、サロメの纏う金の装飾品とヨハネの首から滴るどす黒い血液が妙に生々しくてゾッとするのでした。

こうやってモロー作品だけを並べて大量に見ると、意外に波のある画家なのだなあという印象を受けます。大傑作ばかりではないのが、この人の魅力のひとつなのでしょうか。
モロー美術館(なんと日本語ページあり)
by Sonnenfleck | 2005-10-20 22:40 | 展覧会探検隊

午前2時には何をするか

c0060659_21164018.jpgたまさか誕生日が同じということで、フランス・ブリュッヘンという楽人を追いかけてきました。
後世、彼の名が「18世紀オーケストラの指揮者」として残るというのは、僕には受け入れがたい。ブリュッヘンはやっぱり「笛のライオン」です。彼が笛を手にしなくなってからもう20年くらい経つのでしょうか…若き日の彼が録音したバッハのFlソナタ、ヘンデルのトリオ、テレマンのソナタ、そしてコレッリの《ラ・フォリア》などを聴くたびに、カリスマというのは本当にいるのだなあとつくづく思いますね。あのワイルドで太い音色、こちらを挑発するような好戦的な身ぶり。

このCDの録音は1993年、笛を置いて久しいブリュッヘンが、古い仲間であるリコーダートリオ、サワー・クリームの面々(ケース・ブーケ、ヴァルター・ファン・ハウヴェ)とともに15〜16世紀の多声音楽に取り組んだもの。1972年に結成されたサワー・クリームは古楽ではなくむしろ積極的に現代作品を取り上げたグループで、その演奏には不思議なアクがあって惹きつけられます。
さらにこのCDには曲に重ねるようにして鳥のさえずりがミキシングされていて(といってもヘッドホンで聴かないとわからないくらい音量は小さいんですが)、ショスタコなんかでヒートアップした耳には清冽な水のようにすーっと染みわたります。

サワー・クリームのもう一つの逸品。やはり「鳥」入り。
ヘンリー8世とムジカ・スペクラティーヴァ(DHM)
by Sonnenfleck | 2005-10-19 22:22 | パンケーキ(16→)

やめてくれ、もうやめてくれ

よくお世話になっておりますフンメルさんのドイツ音楽日記で、「STUTTGART」のカタカナ表記についてのお話がありました。シュトゥットガルトか、シュツットガルトか、シュトットガルトか…。でも来年2月のコンヴィチュニー版《魔笛》を持ってくる来日公演では「シュツットガルト歌劇場」で呼び屋さんが決めちゃったみたいです。格好悪いなあ(笑)

自分的に絶対許せないカタカナ表記はこれです。

ショスタコビッチ

別に「ビバルディ」とかなら許しますよ。でもなんですか「ビッチ」って。
…これは朝日新聞式の表記です。かの新聞は「V」と「W」に関して頑なに表記の独自性を守っていて、絶対に変えようとしないのですよ。うむむ。あと「ギュンター・バント(ロッテ、パリーグ優勝おめでとうございます)」とか。
by Sonnenfleck | 2005-10-17 23:45 | 日記