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この世はいたって平穏無事なのだろう

朝起きると家族はみな朝食を済ませていて、慌てて冷や飯をかきこむ。
一息ついてから、年賀状の書き残しを片づけつつ、ベルギーのクラシック専門局Musique3に接続してみます。マイナス8時間の果てから届くプレイエルのサンフォニーやケクランの《ペルシャの時》をぼんやりと聞き流していると、いつの間にかお昼。外は晴れている。

午後はソファに寝そべって、京極夏彦の『塗仏の宴—宴の支度』を読了。
春先に買って以来手がつけられなかった一冊をようやくねじ伏せました。京極本は分厚いけど、いや分厚いからこそ時間をとって一気に読み通したいので、帰省の時期にはもってこい。不毛で贅沢な暇つぶしなのです。
京極堂シリーズ初の分冊、その上巻。ここまで順にシリーズを読み進めてきて、最大の衝撃を受けます。。そんな…900ページ目で後へ引っ張られても…このフラストレーションはどこへぶつければいいのですか京極先生。うおー。

余韻に浸っていると、母親がやってきて犬の足を押さえていろと言う。
奴らは足の裏の毛が伸びるとフローリングで滑って関節を痛めるんですな。実家の犬はそろそろ年なので母親も心配するところなのでしょう。案の定くすぐったがる犬を押さえ込んで毛を切ってから、午後の陽光を浴びてゆるんだ雪の中を散歩。

夜は父親の晩酌に付き合っているうちに紅白…ではなく、裏番組の「N響第九」→「モーツァルトイヤー2006ハイライト」の時間になってしまう。
宇野功芳が上岡敏之のことを「シューリヒトの再来といえよう」とべた褒めしているのがなんとなく納得できる感じです。第2楽章のリズムが(古楽的なアプローチに接近せずに!)妙にくっきりと浮き出ているので驚いてしまった。前に読響とショスタコ第10をやったときにもこの人は実力があるなと思ったのですけど、これからはますます要チェックだなあ。
最後はアーノンク−ルの《ジュピター》で年越し。

* * *

本年も当ブログにお付き合いくださってありがとうございました。よいお年を!
by Sonnenfleck | 2006-12-31 23:46 | 日記

本日の雪もペザンテ

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昨日から実家に帰省してます。名古屋を出発する時点ですでに雪だったので(!)冬らしさは幾分新鮮味を欠きましたが、吹雪いてるときの風の独特の匂いはやはり田舎ならでは。

実家に帰ったときはCDじゃなく進んでLPを聴くんですけど、今日は何やらプレイヤーの様子がおかしく、ターンテーブルが回らない。。
寿命かなと思いながらも恐る恐るプレイヤーを開けて、テーブル下のゴムをいじること四半時…。いつも音盤の神様に多額の寄付をして功徳を積んでいるおかげでしょう(笑)無事に回転してくれまして、思わず嬉しくてプレヴィン+コステラネッツの《ラプソディ・イン・ブルー》をかけちゃいました。
この曲の刷り込み演奏、何度聴いてもプレヴィンの鋭いピアノとコステラネッツ楽団の洒落た音に惚れ惚れする。このセンスの前ではバーンスタインはどうしようもなくトロいし、プレヴィン本人の後年の再録音ですら霞む感じです。CD復刻はされてるのかしら…。

さて予告していた2006年回顧・DSCH編ですが、下書きを名古屋のPCに入れたまま秋田に帰ってきちゃいまして。再構成するのも面倒なので、作曲家生誕101年を間抜けに祝うエントリとして年明けにUPしようと思います。。

さーて今夜も飲むぞっ。
by Sonnenfleck | 2006-12-30 17:42 | 日記

あやしうこそものぐるほしけれ

c0060659_0192392.jpg胃のあたりがずっしりと重くなるくらい、ある音楽が無性に聴きたくなる。昔大好きだったけどずっと忘れていたものが、ある拍子に脈絡もなく現在とつながって、こういう発作的な感情を呼び起こすのだろうと思いますが、今回はケンプが弾くブラームスがとにかく聴きたくなった。クリスマスとか師走とか、そんなのは全然関係なく。

《3つの間奏曲》op.117の第1曲変ホ長調と、《6つのPf小品》op.118の第2曲・イ長調の間奏曲、これをケンプの優しい音で聴くのが、昔は本当に大好きだったのです。一見そっけない身振りなのだけど、そこにある深々とした叙情がなんともいえない豊かな香りを放っている。

ケンプというとこういう話があります。
晩年のケンプはアルツハイマーの進行により老人ホームに暮らしていて、もう自分がピアニストだったことも忘れてしまっている。そんなある日、かつての弟子がケンプの元を訪ねたのだけど、もちろんこの客が誰なのか老人は理解できない。彼は「信じられますか?私は昔ピアニストだったらしいのです」と弟子に語る。
しかしそのあと、老ケンプは嬉しそうにバッハのコラールを弾きだすんです。自分を忘れてもついに音楽を忘れることはなかった師匠を見て、弟子は涙が止まらなかった、、と―。

ベタな話です。伝聞なので真偽も定かでない。でもそれでいいんだと思う。強く思う。
by Sonnenfleck | 2006-12-29 01:09 | パンケーキ(19)

しんとしてゐるランキング'06 <ディスク編>

<コンサート編>に続きまして、2006年に購入した音盤の中から強い印象を残したものを10枚セレクト。ちょっと悩んだんですが、ここでは中古か新品か、旧譜か新譜かは問わずにやってみようと思います。順位は参考程度に。

10位■野入志津子 ザンボーニ:リュート・ソナタ集(Regulus) 
→芯が通った健康的な響き。ヤーコプスの《メサイア》でリュートを弾くのは彼女です。

9位■ジュリーニ/シカゴ響 ドビュッシー:《海》&ブリテン:声楽曲集(DG) 
→ジュリーニへの認識が完全に改まった。昔の彼は恐るべき構築力を持っていたんだ。

8位■センペ L.クープラン:クラヴサン作品集(Alpha) 
10月4日のエントリ。センペのおかげでやっとルイが理解できたような気がします。

7位■ミンコフスキ/ルーブル宮音楽隊 モーツァルト:Sym#40&41(ARCHIV) 
6月12日のエントリで触れた演奏。新モーツァルトまたは音楽のドラッグ。

6位■ベルティーニ/ケルン放送響 ラヴェル:管弦楽曲集(CAPRICCIO) 
9月5日のエントリでご紹介。音に飲まれる快感は彼のいくつかのライヴを髣髴とさせる。

5位■ピオー&ルセ/レ・タラン・リリク ヘンデル:アリア集(naive) 
1月9日のエントリ参照。今年のバロック&声楽萌えの嚆矢となった音盤。

4位■ロジェストヴェンスキー/レニングラードpo プロコ:Sym#5(BBC LEGENDS) 
6月24日のエントリにて。ロジェヴェン先生の秘術がよく録音されており…燃える。

3位■鈴木大介 武満徹:ギター作品集成(fontec) 
→天才作曲家と天才ギタリストの交歓が刻み込まれた最高の一枚。

2位■ランペ/ラ・ストラヴァガンツァ バッハ:BB協奏曲全集(Virgin) 
12月20日のエントリで取り上げた一組。愉しいバロックをお求めなら、まずはこれだろう。

1位■アバド/マーラー室内管他 モーツァルト:《魔笛》(DG) 
5月1日のエントリでは投げっぱなしにしてしまいましたが、、文句なく今年のベスト。
日本では方方で叩かれ貶されるアバドという指揮者が、なぜヨーロッパであれほどの人気を勝ち得ているのか…。この人が作る理想的な、理想的と表現するしかない響きのブレンドに気づかずに人生を終えるのは、あまりにも惜しい。すべてのクラシックファンに。

以下選外ながら特に印象深いもの。
○ヤーコプス/フライブルク・バロック・オーケストラ ヘンデル:《メサイア》(HMF)
○ラインスドルフ/ボストン響 プロコフィエフ:Sym#2&6(TESTAMENT)
○マンゼ/イングリッシュ・コンソート CPEバッハ:シンフォニア集(HMF)
○インマゼール/アニマ・エテルナ ラヴェル:管弦楽曲集(ZIGZAG)
○ブリテン&ピアーズ ブリテン:カンティクルズ(DECCA)
○ショル&ダントーネ/アカデミア・ビザンティナ セネジーノのためのアリア集(DECCA)
○湯浅卓雄/都響 山田耕筰:長唄交響曲《鶴亀》(NAXOS)
○KLEZMORIM First Recordings 1976-78(ARHOOLIE)


「絶対聴かなきゃ!」という新譜がかなり増えてきたのと、ちょっと前では考えられなかった偉大な名盤の覆刻ラッシュ。まったく嬉しい誤算ですよ。従って今年は例年に増してCDへの支出が嵩んだ一年でした。。誰かのアニヴァーサリーでもあったし。
その「誰か」がごっそり抜けてるのは、、専用のエントリを考えておるからです。後日。
by Sonnenfleck | 2006-12-27 22:02 | 精神と時のお買い物

のだめカンタービレ最終回【P席...】

【2006年12月25日(月)21:00~22:09 東海テレビ】

20時58分くらいからベト7に合わせて東海地方の天気予報が流れる。3ヶ月前の第1話放送時、ドキドキしながらチャンネルを合わせたところでベト7が流れ出したときは心から感激したものでしたが、今ではすっかり「はいはいベト7ね」と増長。テレビにクラシックが氾濫してるのが当然と思うようになっちゃってるんですね。これは恐るべき陰謀だ。
そんなわけで、月9放送終了とともに来週からはまた社会の日陰者に戻ります。そうだよクラヲタなんて阿漕な趣味だったじゃないか…。

土手上のツンデレ
僕は抱擁@土手のシーンがラストを飾ると思い込んでいたので、開始20分弱でこの場面になったのは意外でした。この「敗走→野田一家→のだめ復活→山場」という流れ、原作では思いのほか台詞が少なく、音楽もシューベルトだけに刈り込まれ、空気に独特の透明感があるのですが、ドラマ脚本では児童用リライトのように小奇麗に演出されてしまったのが少し残念。こういうときは泰西古典名曲のBGMが憎らしくなります。
それでも、いい雰囲気を遮ってのだめ父登場とか、普通のラブコメとしては十分すぎるくらいの高品質を保ってたとは思いますけどね。ちょっぴり感動してしまった自分が悔しい(笑)

今週の高橋くん
真澄ちゃんに縛り上げられながら見せた悦楽の表情に…ホンモノを見た。

サントリーホール
R☆Sオケのサントリー公演。シュトレーゼマンが正面入り口前の「金のかまぼこ」を横切るのを見て、あーマジであそこでロケを張ったのかと感慨もひとしおです。
1曲目のサラサーテから朝比奈に飛ぶような太いブラヴォが何本も聴こえてきたのは笑っちゃいましたが、役者さんたち、わけても玉木宏の指揮マネが本当に巧くなっていたので…斜に構えてもなお見ごたえのあるカットになってましたよ。初めのころ4拍子を律儀に振るだけの様子を見て落胆させられたのがウソみたいな。

今週のクラヲタポイント
・コンサートで頭を揺らしたり指揮マネをすると、いっせいに睨まれますので要注意(復習)
1月から始まるアニメ版の感想文なんか書き始めた日には、クラヲタとアニヲタの二重苦が確定です。でも結局月9は全話レビューしちゃったし、もはや毒も食らわば皿までか。。

11週間、おつきあいありがとうございました。とりあえずこれにて終演。
by Sonnenfleck | 2006-12-26 20:18 | on the air

世界的行事と名古屋的プレゼント

c0060659_18483643.jpg日本語で表示されるウェブの、それもごく一部の界隈では、バレンタインのときと同じようにクリスマスも中止にすべきとのシュプレヒコールが弱々しく上がっていたようでしたが(サンタクロース逮捕!とか)、皆さまにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

僕はとりあえず1年に1度しか取り出さないカラヤンのクリスマス・アルバムを聴きながらこれを書いております。しかし曜日配置的に考えると今年は天皇誕生日に重点を置いた人が多かったのではないかしら。カレンダーによって超克される降誕節。

そんなわけで、明日の朝目覚めたら枕元にAlphaのCDが積み上がってたりしないかなと妄想しながらウェブをウロウロしていたら、いつもお世話になっているmarutaさんのSEEDS ON WHITESNOW別館、SEEDS ON HATENAのエントリを拝見してしこたま吃驚です。

◆来年三月、名古屋に室内楽専門「宗次ホール」がオープン

ほええ。。全然知りませんでした。。公式サイト
これは「むねつぐほーる」と読むらしく、経営するのはどうやら「CoCo壱番屋」の創業者・宗次徳二氏が代表を務める会社のようです。名古屋のクラヲタはみなココイチへ行こう(笑)
場所は栄のやや東、愛知県芸術文化センターの近く。席数310というとトッパンホールよりさらに小さい、かなりインティメイトな空間になりそうです。でもこの席数で2層構造ってことはかなり傾斜がきつそうですね。2階の奥とか音が飛んでこなそうな気もしないではないですが…まずは杮落とし公演の五嶋龍のリサイタルに行ってみる価値はありそうです。

marutaさんも書いておられますが、チェンバロやリュートのリサイタルだったらここで聴いてみたいなあ。もし音響がよくて、もっと宣伝が巧くなって、それなりの評判を獲得するようになれば、席数700のしらかわホールにとっては強大なライバルになるかも。少なくとも席数395のザ・コンサートホールは大ピンチかもしれませんねえ。
by Sonnenfleck | 2006-12-24 21:50 | 日記

しんとしてゐるランキング'06 <コンサート編>

もう年内は特に行きたいコンサートがないので、2006年に出かけた演奏会全36回の中から印象深いものをランキングにしてまとめておこうと思います。2005年はモスクワ室内歌劇場のショスタコーヴィチ《鼻》が第1位でしたが、、果たして今年は!(←出来レース。)

10位■T.フィッシャー/名フィルのショスタコ第12(9月)
→名フィルが本当によく鳴っていました。この指揮者はもっと注目されていい。

9位■スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン放送響のベートーヴェン(11月)

8位■鈴木大介の武満徹《森のなかで》(5月)
→あの緊張感は実に忘れがたい。来年も追っかけますよ大介さん!

7位■アンサンブル・ノマド第30回定期「20世紀の古典主義」(3月)
→ウェーベルンの協奏曲とストラヴィンスキーの七重奏曲がクールだったなあ。

6位■大野和士/新日フィルのショスタコ第4(1月)

5位■鈴木雅明/バッハ・コレギウム・ジャパンの《マタイ受難曲》(4月)
→あのJazzyなオーボエ・ダ・カッチャは今でも不思議です。

4位■Love and Soul of Toru Takemitsu(8月)
→クールな気持ちで《○と△の歌》を聴くことはもうできなくなった。

3位■アルミンク/新日フィルの《火刑台上のジャンヌ・ダルク》(2月)
→2日連続で聴きに行ってしまった公演。オネゲルの真摯な美しさに心を奪われた。

2位■クリスティ/レザール・フロリサンの《レ・パラダン》(11月)
→衝動買い万歳。原始人が自動車を見たような、そういう類のショックを受けました(笑)

1位■アーノンクール/コンツェントゥス・ムジクス・ウィーンの《メサイア》(11月)
→そして伝説へ。

以下選外ながら印象に残ったもの。
○オーケストラ・ダスビダーニャの「本当にうるさい」ショスタコ第8(2月)
○ビオンディ/エウローパ・ガランテのモーツァルト(2月)
○ボッセ/名フィルのバッハ・プログラム(6月)
○広上淳一/名フィルのショスタコ第15(10月)
○ボロディン四重奏団のシューベルト&シューマン(10月)
○下野竜也/名フィルのブルックナー第5(12月)


均すとぴったり月3回の割合で出かけてますね…。年の後半にかけて自分の中ではどんどん古楽色(および声楽曲への親近感)が強まっていったので、もし東京にいたら近江楽堂とか新大久保のルーテル教会に通いつめることになっていたかもしれません。
来年はまず1月の終わり、ブリュッヘンのシューマンを聴くための上京が決定しています。5月のドホナーニ/北ドイツ放送響のブラームス@名古屋もけっこう楽しみ。あとは2008年、バレンボイム/ベルリン・シュターツカペレの《モーゼとアロン》は絶対に聴きに行くつもりです。
来年も素敵なインプットがありますように。
by Sonnenfleck | 2006-12-23 00:11 | 演奏会聴き語り

砂の女が死んだ

岸田今日子さんが死去 劇団円創設、映画「砂の女」主演(12月20日/asahi.com)

2003年の2月20日、武満の命日に開かれた、東京シティ・フィルの「武満徹とフランス音楽Ⅰ」。休憩時間にホワイエに出たら、岸田今日子のような女性が谷川俊太郎のような男性と二人で話している。あれが女優と詩人だったのか、結局のところ今でも自信がないのです。でもきっと武満の噂話でもしていたんだろう。彼が今どうしているかとか。

若杉/都響の《弦楽のためのレクイエム》を聴いて、クレーメルの<ル・シネマ>から《ノスタルジア》を、今夜はタルコフスキーではなく彼女の追憶のために聴いて、最後は『他人の顔』の〈ワルツ〉を聴く。ハムテルのおばあさんは昔、砂の女だったんだ。合掌。

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by Sonnenfleck | 2006-12-21 00:01 | 日記

ランペ様のブラ全を聴け!

c0060659_6425099.jpgクラヲタ的な文脈からすると、「ブラ全」は「ブラームスの交響曲全集」のことを指しますよね。月9でも千秋様が「ブラ1は云々」とか言ってますから、この略称はさらに広く人口に膾炙。しかしそんな大勢に反し、当ブログで使用される「ブラ全」の8割はこれからも「ブランデンブルク協奏曲全集」のことを指し続けます(笑)

山尾さんのエントリで拝見し、いつか聴いてみなくちゃと思って探していた、ジークベルト・ランペ/ラ・ストラヴァガンツァの《ブランデンブルク協奏曲》全集。先日ようやく御茶ノ水のディスクユニオンで捕獲しました。新品だと全然見かけなかったのでラッキー。もう1組あったのでまだ店頭に残ってるかもしれません(こっそり)

新しく買ったブランデンブルクの全集は、まずは第6番を聴くことにしてます。
第6番の第1楽章の通奏低音がつまらない演奏はたいてい他の曲もダメな場合が多い。如何にしてあの「永遠に続くリズム隊」に起伏を持たせるか、プロの誇りを賭けてそこに取り組んでくれなければ困るのです。

それでいつものようにランペも第6番を最初に聴いて、、唖然としてしまった。
どうしてこんなレベルの演奏が話題にもならずに埋もれているのだ…。

圧倒的に沸き立つリズム(古楽ファンのプライドを賭けて書きますが、ここまで愉しく弾むバッハは他に聴いたことがない!)に、セクシーな音で鳴るヴィオローネ、はらりと舞い込んで気ままな装飾をつけるランペのチェンバロ。第2楽章のVaの黒光りするような美しさ、そして第3楽章ソロVcの「ビュンビュン飛び交う弓の根元が目に見えるような」超絶技巧には、文字どおり口を開けてぽかんとするより他にない。あっという間に終わってしまった。

そして第1番と第2番。第3番~第6番とは肌合いの違う、縦方向に特化した、協奏曲のストーリーを忘れてしまった協奏曲が、こんなにも快楽主義的に華々しく鳴るなんて…誰が想像するでしょうか。
第2番第1楽章で聴かれるTp・Ob・Recはこれ以上あり得ない絶妙のバランス、しかしそれは生演奏ではおそらく得られない架空の響きなのだけど、最高の作り物に身を浸す悦びMAXで時間を忘れるほどです。音の快楽。あーなるほどObはベルナルディーニなのか…

第3番~第5番について書くとあまりにもマンセー全開になるので自重します。(第3番だけは録音状態がおかしくて本当に残念…)
10年前の録音だけど、こうした方向でこれを上回る「ブラ全」が出るとはもう到底思えないんだよなあ。お持ちでない方はどうか探してみてください。責任もって超推薦。
by Sonnenfleck | 2006-12-20 06:43 | パンケーキ(18)

のだめカンタービレ第10話【通電...】

【2006年12月18日(月)21:00~21:54 東海テレビ】

前回に引き続いて、コンクールに挑戦するのだめ。原作のマラドーナ・コンクール編の山場「《ペトルーシュカ》+《今日の料理》」で見事にコンクールの壁に激突して散るのだめと、自分の道を着実に切り開いていく千秋。コンクールの暗い不条理と、明るく破天荒なR☆Sオケとの劇的な対比を巧みに描く第10話ということで、、来週はもう最終回?

コンクールの魔とR☆S的自閉
悠人くんは全国のお茶の間から呪詛を投げつけられていたことでしょう(笑) あの強烈な頭といい、敵意むき出しの発言といい、ママといい、1位なしの2位といい、コンクールの記号みたいな描写でしたね。《パガニーニ変奏曲》があんまり巧くなかったのも「2位」の演出か。。
しかしのだめが最後に千秋に言い放つ「でも、ダメだったじゃないですか」という台詞は本当に重い。作者が「クラシック音楽」とは切り離せない「コンクール至上主義」にどう向き合うか、、ネバーランドに閉じこもるだけではどうにもならないことはいずれ原作のパリ編で示されねばならないだろう。…まあここは「夢見る月9」なんですけどね。。

「じれったいから早く!」
高橋くんをここまで正確に再現するとは…何も言いますまい。GJ。真澄ちゃんもGJ(笑)

糸の切れた人形とは誰のことか
ついにストラヴィンスキーがお茶の間の主役になる日が!
でもクラヲタとして腹蔵なく書くなら、あの《ペトルーシュカ》+《今日の料理》にはちょっとがっかり。のだめの「切れてるラフマニノフ」や峰の「ロックな《春》」の再現をやってのけたスタッフ(とゴーストプレイヤー)ならもっと次元の高い融合ができたと思うんだけど、Excelで行を挿入したみたいに単純な演奏でした。ツェンダー版シューベルトのようなエゲツナイ変容を想像しておったのですが、、著作権が絡むと勝手なパラフレーズは許されないのかな。

今週のクラヲタポイント
・ハリセンの本棚に並ぶグラウト/パリスカ『新 西洋音楽史(上)(中)(下)』に刮目せよ。
by Sonnenfleck | 2006-12-18 23:42 | on the air