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常設展「日本画の諸相」@豊田市美術館

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土曜のお昼。オルガンプロムナードコンサートを聴いた後、せっかく豊田まで来たのに美術館に寄らないのはもったいないなと思って、常設展を見にいくことに。
でもそのまま直行すると、14時からのギャラリーツアーにかち合う。。それは嫌だな。
結局、コンサートホールの階下にある豊田市中央図書館に立ち寄って、吉田秀和全集を手に取り、ソファで読みつつうたた寝することにしました。気持ちいい…。

先月のエントリでここの常設展に触れたときには国外作品のことしか書きませんでしたが、もちろん国内作品も素敵なものが多く展示されている(展示室5)。
3月18日までの期間は「横山大観からフジイフランソワまで」と題して、近現代日本画の秀作を並べてます。気に入ったのをいくつか。

●日高理恵子:《樹を見上げて I》、《樹を見上げて II》(1989)
はろるどさんyukihiroさんのエントリに詳しいです。上にUPした写真をそのまま絵に写し取ったような特異な作品。近づいて見ると岩絵具の天然ラメがゴリゴリして面白い質感。

●フジイフランソワ:《池のこい図》(2002)
→池のカップルたち。でも中央に描かれた潜水帽だけは無機質で孤独なのです。

●速水御舟:《鯉》(1922年) →ハイパーリアリズム。隣のフジイ作品との対比が鮮やか。

●山本丘人:《海の微風》(1936年) 
→いつからこういう和風の牧歌風景に惹かれるようになったのだろうか。。庭から広く入り江を望む風景に、海が匂ってくるような生っぽさ。なのに庭は奥行き感がなくてリアルじゃない。

●村上華岳:《山澗含春図》(1936年)
→太く和らいだ線と淡い色彩。白い雲からはっとするようなスカイブルーが覗いている。墨絵に色を入れるのは卑怯です。美しすぎる。

+ + +

同時開催のトリエンナーレ「とよた美術展'07」は、全国を対象にした公募展。
ちょっと覗いてみたらどれも意外なほど面白くて、しっかりと見て廻ってしまいました。
この美術館がやるから意味があるんだろうなあ。
入賞を逃した作品の中では、滝村隆氏の《genji》という平面と、杉山雅之氏の《断崖のヤブカラシB》という立体に惹かれた。前者は源氏物語絵巻の線と色彩によるパラフレーズ、後者は凍ってしまったヤブカラシの静謐な時間、どちらもはっとさせられます。

この日は少しだけ賑やかだったけど、やはり信じられないくらい人が少ない。
僕は最高にいい気分で見て廻るのだけど、豊田市的にはどうなのか。
by Sonnenfleck | 2007-02-28 06:47 | 展覧会探検隊

現代っ子だから。

c0060659_2110614.jpg食事感覚で摂れるバランス栄養食「カロリーメイト®」ブロック(ポテト味) 4月10日新発売 (大塚製薬)

僕ぁこの日を待ち望んでいました。
350mlコーンスープ缶やしょっぱいガムがどうして存在しないのかという積年の不満へ、一筋の光明が射し込みますよ。嬉しいなあ。今こそ立ち上がれ塩味。負けるな塩味。
by Sonnenfleck | 2007-02-26 22:32 | ジャンクなんて...

ツナ+タマネギは立派な料理

c0060659_19355258.jpgいまや空前のベストセラーに成長してしまいましたが、もともとこのマンガってそんなに万人受けする作風じゃないと思うんですよ(特にパリ編になってからは)。「説明の必要なし」と作者が判断した事象については、たとえそのことで幾通りかの解釈が生まれることになったとしてもお構いなく、超ドライなまま何の説明も与えられないわけで。

以下ネタバレ―
ついに千秋父登場ということで、ビターめな空気が全体を覆う第17巻。
常任デビューコンサートはニールセンの《不滅》で大成功(この不安定な曲でブラヴォを浴びまくる千秋の才能が怖い)。そのころ真一のアパルトマンに現れた父・雅之は、息子に対する静かな憎しみを顕わにしてそこを立ち去る。痛烈な窓の描写。
しかし千秋はマルレ・オケの第2回公演、
●チャイコフスキー:幻想序曲《ロメオとジュリエット》
●バッハ:Cem協奏曲ニ短調 BWV.1052
●ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 op.60
で客席に父の姿を見つけてしまい、動揺のあまりベートーヴェンの演奏中に指揮者自ら「落ちる」という最悪のミスをやらかす。
いっぽうコンクールをオクレール先生に禁止されたのだめは、猛練習に励むものの、千秋とはすれ違いの日々。。そんななか千秋がバッハで弾き振りする姿を見てはっきりと嫉妬を覚えてしまい、彼氏なのか音楽家としてのライヴァルなのか、共演したいのかそうでないのか、いじけてるのは自分なのか千秋なのか、、混乱してしまいます。

そうして、千秋雅之のリサイタルを聴きにいってしまったのだめ。
●バッハ:パルティータ第2番ハ短調 BWV.826
●ブラームス:Pfのための6つの小品 op.118
●ベートーヴェン:Pfソナタ第32番ハ短調 op.111
まるでリヒテルのようなプログラムを弾く千秋父の背中から、のだめが感じ取ったのは「ピアノだけ」―。彼が温かみを出せるのは「ピアノだけ」なのかという悲しいのだめの表情。
コンマスとオケの自然なフォローを受けて、千秋は立ち直る?のだめはいつ暴発する?

千秋雅之のリサイタルは、これまで作者が書いた演奏会のシーンの中でも白眉だったと思います。台詞も音符もなく、構図と表情とスクリーントーンでここまで表現するんだな…。そして何より選曲が…バッハのパルティータも第2番というのが実にロマンティックで。
あと1052の第2楽章は本当に難しいと思います。トゥッティをどう捌くか。
by Sonnenfleck | 2007-02-25 19:36 | 晴読雨読

オルガンプロムナードコンサート@豊田市コンサートホール

【2007年2月24日(土)12:00~ 豊田市コンサートホール】
c0060659_19502738.jpg●バッハ:《トッカータとフーガ》ニ短調 BWV.565
●リスト:《バッハの名による前奏曲とフーガ》
  ○アンコール バッハ:《パストラーレ》ヘ長調 BWV.590
              同:《幻想曲》 BWV不明
→ユルゲン・ヴォルフ(Org)、椎名雄一郎(解説)


名古屋地区最高の呼び声高い豊田市コンサートホール。初体験してきました。
キャパ1000席のこのホールは、同じく1600席の東京オペラシティよりも巨大なオルガンを持っています。楽器の性能に意匠の良さも加えるなら、オペラシティやみなとみらいのオルガンは敵ではないだろうなあ。それを生かさない手はないですから、ほぼ月に1回くらいの割合で休日の昼に100円コンサートを開催してくれてるんですね。

今回のオルガニストは、ライプツィヒの聖ニコライ教会のカントルであるユルゲン・ヴォルフ。
解説の椎名氏も言っていたけど、バッハの遠い後輩にあたるわけです。
(*聖トマス教会のカントルだったバッハは、同時に聖ニコライの監督もしていたらしい)

《トッカータとフーガ》ニ短調は冒頭のパッセージに派手な装飾を付けたり、極端な緩急を志向したり、かなり劇的な造形でした。
…しかしなぜか…YouTubeにこの人の演奏がUPされている(1/22/2)。。どうも自分のとこのオルガンを弾いてるみたいでして、今日の演奏もまさにこういう感じ。オルガンってあまり聴かないのでよくわからないんですが、これっていわゆる「爆演」ってやつなんでしょうか?

こういう演奏を聴いてちょっとドギマギしているところへ、リストの《バッハの名による前奏曲とフーガ》。生で聴くのは実は初めてなんですが、すげーカッコイイですねえ。
何度も大音量で炸裂する「BACH」主題の半音階に、ちょっとした畏怖の念を抱くのは簡単なんです。でも低音からじっくりと登りつめていくフーガの冒頭、ここはオルガンの神秘性をこれ幸いと最大限に利用したリストの作戦勝ちですね。演奏効果抜群なわけで。

アンコールの平和な《パストラーレ》では、オルガンの上部に取り付けられた☆が演奏に合わせてクルクルと回転する楽しい趣向も。おっかないリストとの落差に微笑んでしまいます。
ホールの特性については保留ですかねえ。オルガンじゃよくわかりません。

+ + +

さて「入場料100円」には裏があって、未就学児入場可だったんです。このコンサート。
キャパ1000席のホールでオルガンですから、けっこうな轟音なんですよ。
そりゃ年端も行かない子どもは泣くわなあ。。
次回4月1日公演のゲストオルガニストは大塚直哉さんなのでぜひ聴きに行きたいのだけども、迷いどころではあります。。100円で45分間のイライラを買うのか。
by Sonnenfleck | 2007-02-24 20:19 | 演奏会聴き語り

るつべデビュー、ならず。

c0060659_6444991.jpgRuTube(http://rutube.ru/)

ロシア版YouTubeとのことで、インターフェース他すべてが完全にパクられてます。
ロシアローカルのお宝映像がアップされてたら凄いなあと思い、潜り込んで探したんですが、クラ系の映像がいっこうに見つからない。

一件だけ、どこかのクラシック専用チャンネルのコマーシャル風クリップがあって、どこかのカルテットがショスタコの弦楽四重奏曲第9番の第3楽章を弾いてましたが、ちょっとねえ。
さらにダメモトで「ссср」や「шостакович」で検索しても、YouTube本家みたいなヒットがないんですね。これなんかもうロシア系クラヲタの妄想でしかないんだろうなあ。。
「日本にはゲイシャがいてほしい!」みたいな。
残念ながら激しく期待外れのようでした。コーインは通常どおり矢の如し。
by Sonnenfleck | 2007-02-23 06:47 | 広大な海

【アニメ】のだめカンタービレ第5話

c0060659_6491177.jpg【2007年2月15日(木)26:05~26:35 東海テレビ】

ほとんどのクラ系ブログさんが原作第17巻のレビューを完了されてますねえ。僕はまだ買えてませんですよ。
あとでじっくり拝見しようと思い、頑張ってディスプレイから目を逸らし続けてますが、どうもバッハの1052の存在がちらほらと窺われる。。

さてアニメ版第5話。前回、シュトレーゼマンがのだめにキスを迫るシーンで切ったLesson11の途中から、Lesson12(千秋の初指揮と挫折・シュトレーゼマンへ弟子入り)まで。ずっと重苦しい雰囲気のリハシーンが続いて、リアルに身につまされる出来でした(笑)

鬼門
指揮の作画、それを含んだオケの作画が、欲求不満。一度にたくさんの人間に別の動きをさせるのは、週一ペースで放送のアニメでは限界があるのかもしれない。。
ソロがクローズアップされるところはいいんです。今回も木管の大写しが丁寧に描写してあってよかったし(キーの厚みとか)。指揮は…うーん…せめて「指揮者アングル」のカットを作って、そこだけでも本物らしい動きをしてくれれば。

鬼巨匠
気絶から復活して、千秋のリハをじっと見つめるシュトレーゼマン。竹中直人バージョンもいい感じでしたが、アニメ版はこの姿を多く挿入してかなりシリアスなつや消し感。
オケを萎縮させた千秋に替わって指揮台に上がる箇所も、原作ではちょっと嫌味な感じがあるのだけど、アニメでは安堵感・温かみが先行するのです。声優さんの技か。

今週のクラヲタポイント
・2週連続で〈Veni, creator spiritus〉の叫びが民放の電波に乗るとは―。そのうちアイスクリームのCMに使われだして、ブーレーズの正規録音が発売されて、目出度し目出度し。
・ベト7のリハ音は微妙に遷移していた、と思う。
by Sonnenfleck | 2007-02-22 06:50 | on the air

園丁忌/高橋アキ

c0060659_23504610.jpgこの20日で、武満没後11年目が始まりました。
10年目の騒がしさは一段落したような感じですが、人々の心の暗くて柔らかい部分へ、武満の音楽は確実に染み渡ったのではないでしょうか。少なくとも僕はこの一年で、かなり武満の近くまで寄ることができるようになったような気がしています。。

この高橋アキ plays 武満徹というアルバム、友人から熱烈な推薦を受けて買ったのですが、、なるほどなあ。ピーター・ゼルキンとは全然違うなあ。ゼルキンのガラスのような痛々しさとは対照的な、包み込まれるように柔らかな表情。。全部の音符に「M」の音が付いてるような感覚ですかね。前に《カトレーン》を聴いたときはそこまでは思わなかったけど―。

c0060659_2351154.jpg双子の作品、《2つのレント》《リタニ》がそれぞれ異常に美しいです。すらりと生のままの前者より、華やかに整頓された後者のほうがアキ路線には合っているのかと思いきや、前者のほうがずっとウェットなタッチで吃驚。
しかし、何度聴いてもこれは「音楽」以外の何物でもないと思う。山根銀二には明確に「音楽以後」の素晴らしいビジョンがあったんでしょうね。きっと。

最後にアーノンクールで、《マタイ受難曲》から導入の合唱〈来たれ、娘たちよ、われとともに嘆け〉と終曲〈われら涙流しつつ跪き〉を聴く。
by Sonnenfleck | 2007-02-21 00:04 | パンケーキ(20)

秀麗無比なる鳥海山よ―ただしパロディ的に

c0060659_2111288.jpg2001年のリリース開始から集め続けているNAXOSの日本作曲家選輯ですが、手が伸びるのは段々と限られてきてます。
矢代秋雄、松平頼則、大澤壽人、どれも好きですが、たぶんいちばん多く聴いているのは深井史郎の一枚じゃないかな。

1907年秋田生まれ。
日本海の寒風吹きすさぶ明治の秋田に、稀代のモダニストが生まれたなんて…信じられません。この人は恐れ多くも高校の大先輩にあたるのですが、本当に誇りに思います。。
とにかく深井は、透徹したセンスが冴えまくっている。ラヴェルの模倣から作曲を始めた彼は、おそらく終生そこから出てくることがなかったのだろうけど(本人が「他人の影響を恐れるのは個性の貧弱な輩のすること」と言っている)、そのぶん「模倣」の精度は余人の追随を絶対に許さないレベルに達していると思います。まさに和製ラヴェルだ。

代表作《パロディ的な四楽章》(1936)は、深井が心酔していたファリャ、ストラヴィンスキー、ラヴェル、ルーセルを「パロディ」として潔く表現した小交響曲。
その中で緩徐楽章に当たる第3曲〈ラヴェル〉のテクスチュアは、本家のお株を奪うくらいの「らしさ」です。いくぶん《亡き王女...》の進行に似ていて、終結部のフラジオをはじめあの曲の感傷的な雰囲気に傾きすぎているよう気もするけど、これは《マ・メール・ロア》に挿入されててもまったく違和感がない。日本人でもこういう音楽を作る人がいたんだなあ。。

《ダフニスとクロエ》に野蛮とニセ雄大のふりかけ。紀元2600年シリーズなのに醒めまくりで、国体に媚びる感じがまったくない、バレエ音楽《創造》(1940)。
「ブルックナー開始」でアルプスの霧ではなく密林の靄を描写、遠くから近づいてくる土着の民謡をねっとりと描く和製ボレロ、《ジャワの唄声》(1942)。
by Sonnenfleck | 2007-02-20 00:04 | パンケーキ(20)

造園二周年/外に出よう

c0060659_2045878.jpgブログを始めてから昨日で2年目でした。すっかり忘れてた(-_-;|||)

実は昨日、リアル世界で重要なお買い物をしてたんです。
買いましたよ。車を。
東京に住んでたときはまったく運転の必要がなかったため、これまで純粋培養のペーパードライバーとして青白く生き長らえてきましたが、名古屋は「車持タヌハ人ニ非ズ」の自動車王国。公共交通機関ではどこに行くにも不便で不便で…自分でもこの1年間よく耐えたと。

幸い職場には車好きがたくさんいて、選択に際しては色々なアドバイスをもらうことができました。そうして予算や僕の特性をよく理解してもらったうえで(笑)オススメできる存在として何人かが挙げてくれたのが、スズキのスイフトなんですね。
各メーカが揃えている同価格帯の小型車を比較したときに、特にデザインの点で頭ひとつ抜きん出ている印象がありました。内装の細かいところまで安っぽさがないし、何よりぷりっとしてヴォリュームのある尻が魅力的。走行性能とか燃費とか何の拘りもない人間なので、最後の決め手はデザインなのです。
(*実際のところいい走りをするらしいんだけど。。)

即断即決。
中古の極美品(ほとんど新古)が格安で見つかったので、思い切って決めてしまいました。
さて、最初に爆音で鳴らす曲は何にしようか(←そういう発想)。
『ペーパードライバーになってしまってからの本』って...ないんですか。ないんですね。
by Sonnenfleck | 2007-02-18 20:16 | 日記

一晩ねかせた、あのソーゲ。

c0060659_19273779.jpg《チェロのための協奏的メロディ》(チェロ協奏曲)。被献呈者ロストロポーヴィチのソロと、作曲者指揮のモスクワ放送響によるスタジオ録音が、僕の唯一のアンリ・ソーゲ体験であります。

このエントリを書くために昨晩と今晩と合わせて10回くらい聴いてようやく輪郭が見えてきました。協奏曲らしい華やかな局面、口ずさめるような単純なメロディが極めて少ない。
緩慢に流れる独特の時間の中で、旋律楽器のコンチェルトとは思えないような分厚い和音がキラキラと輝くようです。ケクランと新古典期ストラヴィンスキーの幸福な結婚という感じだけど、本人がリスペクトするミヨーとはちょっと違うし、なにしろ晦渋と言うには心地よすぎる一瞬も確かにあって…・。

つなぎ目のない単一楽章形式。冒頭3分の渋い序奏ののち、弦楽器の特徴的な律動に乗って主題らしい旋律が現れる。しかし退廃的で移り気なこの「主題」はすぐに変容してしまって、元の形を留めずに分厚い和音の中に拡散してくのです。
(*「主題」に限らず、この曲はとにかく楽句の息が浅い!ちょっと集中して耳を傾けようとするとリズムも旋律もすぐに遠くへ飛び去ってしまうので、常時欲求不満気味。ロストロに与えられた役割も目まぐるしく遷移します。)
一晩寝かせたカレーのように、スープと鍋内空気の境界は曖昧で、具はグズグズに煮崩れている。でもなぜか旨い。よくわからないのに繰り返し口に運んでしまう。。

この人の曲ってみんなこういう感じなのかしら…。熟ソーゲ。
by Sonnenfleck | 2007-02-17 20:05 | パンケーキ(20)