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c0060659_6484044.jpgショスタコーヴィチのお弟子さんの中では、保守的な作風で知られるボリス・チャイコフスキー。彼が音楽院時代に作曲した交響曲第1番を含む、初期作品集がNaxosからリリースされました。

スヴィリドフやヴァインベルクよりは一回り若く、ティシチェンコやシュニトケよりは一回り年配。1925年生まれのボリチャイが22歳のときに書いた交響曲第1番は、響きの肌触りこそ師匠の第8交響曲に似ているものの(盛り上がりに伴って打楽器を「枠」として付加し、テクスチュアを固めていくやり方なんかはそっくりすぎる)、第1楽章で旋律的な抒情をばっさりと切り捨てたそのシリアスさにはちょっとビビリましたね。しかしここまでは中期ショスタコの「英雄的な文脈」の中。
ところが第2楽章の木管属に、ネオン街のように不健康な旋律が突然現れます。ショスタコなら「本気を出して」かっこよく疾走させちゃうところで、末生り瓢箪のようにヘロヘロといじけたスケルツォを書いてしまう…。これが独特の才能でなくてなんだというのか。
第3楽章ラルゴは沈んだ雰囲気ながら響きが薄く、全然心がこもってなくて面白い。
第4楽章アレグレットになっても、人を小馬鹿にしたような脱力パッセージの応酬。盛り上がるかと思ったら盛り上がらず、いつまで続くのかなあと思っているといきなりペッとコーダが付いて終わってしまう。実に変な才能であります。もし1947年にこれを発表していたら、翌年のジダーノフ批判ではボリチャイも槍玉に挙げられていたことでありましょう。。
セーロフ/ヴォルゴグラード・フィルも、味気ないくらい整然とした演奏。

カップリングの組曲《舞踏会のあとに》は、レフ・トルストイの短編『舞踏会のあとに』をラジオ劇にした際の劇伴らしいです。この短編、ロシア語を勉強したときのテキストだったのでなかなか懐かしい。「惚れた娘のオヤジが残酷すぎてマジ引いたわ」という軽いお話だったはずなので、交響曲とはまったく方向の違うライトな雰囲気にも納得です。でもちゃんと第6曲《行進曲》にグロい旋律を当ててるのが鋭いなあ。

なお非常にインパクトのあるジャケットですが、作曲家の持っていた白黒写真にわざわざ彩色したものみたいです。このへんも脱力するポイント(笑)
by Sonnenfleck | 2007-05-31 06:49 | パンケーキ(20)

【アニメ】のだめカンタービレ第18話

c0060659_6484323.jpg【2007年5月31日(木) 東海テレビ(予定)

第18話は演出の完成度がなかなか高かったです。
ネタはLesson40(鬼千秋再来)Lesson41(R☆Sオケ本番その1)でしたが、随所にアニメならではのこだわりが感じられました。これまでの18週間分ではもっとも満足できる部類に入ると思う。

鬼リハ
リハーサルの場面、指揮だけは相変わらず止め絵ながら、久っしぶりに各人の弓が動いていました。原作どおりVaの(嬉しいことにちゃんと「音が合ってない」)分奏があったり、千秋が自らVnを弾いてオケメンバーを仰天させるシーンのゴーストさんもずいぶん気合が入ってて、音響の演出も◎。ぶっ続け5時間の練習にぐったりする面々の描写も含め、原作に巧く肉付けした面白みがありましたねー。

サクラチル
折られた指揮棒と指揮台のアイキャッチを挟み、BパートはR☆Sオケの本番その1。シューマン《マンフレッド》序曲から(練習シーンがなかったので省かれるかとヒヤヒヤしました)、くろきんのモーツァルトOb協奏曲ハ長調にかけては、けっこう長い時間を費やして曲を聴かせます。前者なんか序奏から主部の入りまでちゃんとやってくれて大満足!
後者に関して言えば、Obソロにかぶせてホールに吹き上がる花びらをCGで描写するという、いくぶん常套的ながら効果抜群の映像エフェクトがよかった。悶える大川先生も。

今週のクラヲタポイント
・ヴェルトラウムホールでしたっけ?原作ではワインヤード式のホールとして描かれてますが(バルコニーの張り出し方を見ると、元ネタはきっとみなとみらいの大ホール)、アニメでは作画の手間を省くためなのかRAやLAに相当するステージ脇のバルコニーが描かれず、おかげでワインヤードなのかシューボックスなのか判別できない謎の空間になってましたよ。。あのP席ってどこから入るんだろう(笑)
by Sonnenfleck | 2007-05-30 06:49 | on the air

生の反対

c0060659_6523670.jpgさすがに昨日は、人が死ぬことについて考えました。
ニコニコ動画で《マイフレンド》のクリップ見てたら泣いちゃったですよ。。いつもはひどいコメントの嵐なのに…。合掌。

ところでインマゼールのCD、何枚目だろう?
シューベルトのヴァイオリン・ソナタ集。
昨年の新譜なのですが、例のラヴェルやラフマニノフの後ろに隠れてあんまり目立たなかった気がします。蔵吉さんのエントリで「名駅の新星堂が50%オフのセール」というトンデモ情報を知り、駆けつけたところ偶然にも1000円にて捕獲いたしました(マジ感謝です)。

ミドリ・ザイラーは言うまでもなくアニマ・エテルナのコンミスであり、インマゼールのよき同僚として多くの演奏を支えているはずであります。しかし彼女のソロを意識して聴くのはこれが初めてなんですよ。
そんなわけでイ短調ソナタ D385の第1楽章、まずは松脂が飛び散るような情念たっぷりのボウイングを聴かされてドキドキします。おそらく弓の圧力をかなり強く設定しているためにヒステリックな音が出ており、特に古楽器がこれをやるのを嫌がる向きも多いでしょうが(少なくともいわゆる「美音」ではない)、続く第2楽章との間に大きなギャップを作り出すという意味では非常に有効でありましょう。
抑制の効いた細身の音で奏でられるアンダンテはしっとりと濡れて、伊予柑でもほおばるような清々しさがあります。でもそれでいて主題はどことなく空しさに侵食されている。パッセージを収め方、というより潔い放り投げ方が、ここではとても魅力的。。
by Sonnenfleck | 2007-05-29 07:07 | パンケーキ(19)

名古屋フィル 第336回定演

【2007年5月26日(土)16:00~ 第336回定期/愛知県芸術劇場】
●バッハ:Vn協奏曲第1番イ短調 BWV1041
●ヴィヴァルディ:《和声と創造への試み》op.8~《四季》
●メンデルスゾーン:交響曲第3番イ短調 op.56 《スコットランド》
⇒ジェイミー・ラレード(Vn)/名古屋フィルハーモニー交響楽団


アメリカ人ヴァイオリニストのラレード、弾き振りによる1041と《四季》ということで、いっそ巨大編成で金ピカのゴージャスバロックをやってくれと期待してました。伝説のマールボロ音楽祭管メンバーなだけに。
実際は比較的まともな中編成だったんですが…そこから出てきた音楽は絶滅したかに思われた20世紀中盤スタイル!ヴィブラート過多、総レガート、フレーズ毎のリタルダンドはお約束で、描写性はゼロ。パートの中でヴィブラートの扱いが統一されてないのも目立ちます(特にVcの対応があまりにもまちまちすぎる/首席の太田氏は右手のスピードで表情をつける「古楽型」、トップサイド氏はオルゲルプンクトにまでヴィブラートをかける「20世紀型」)。なーんか「オレの音を聴け!伴奏は素朴でいろ!」という感じなんだよなあ。。
だいたいソロのラレード自体がポルタメント入れまくりの甘甘、確かに質の高い美音なのは間違いないですが、速いパッセージでは年齢相応にヨレヨレと…。全体的に「NHKスペシャル<ギアナ高地の生きた化石>」みたいな感じです。
しかしこの先、こういうスタイルの新録音が出るとは到底思えず、耳にする機会も激減なわけで、《夏》が終わる頃には何やら愛おしさが…。寅さん映画みたいですね(笑)

後半のメンデルスゾーンは…個人的埒外作曲家の埒外曲なので軽く。
全般に軽いテンポ、Kb7人Vc8人とは思えない明るい響きがしていて、「善良であった」としか表現できません。非常にメンデルスゾーンらしい曲運びだったのではないかな。よくわからんですけど。
ただし第1楽章コーダ直前だけは、「《さまよえるオランダ人》種本」的なあらくれが主旋律主導で現れていて、面白かったデス。いささか大らかすぎ、野放図すぎる感じはしたけど。。
あとクラリネットの老人氏は、いい加減ツバ抜きやめれ。第2楽章の頭のソロなんか全然指が回ってないし、その上平気で騒音を撒き散らすとすれば、害悪としか思えないですよ。。

って…ラレードってハーンの先生なのか!(ミーハー)
by Sonnenfleck | 2007-05-27 08:31 | 演奏会聴き語り

朝からルーセル。

c0060659_7152248.jpg「からるー」の部分が発音しにくいな。
今週はどうも疲れの抜けない一週間であったです。

そんな土曜の朝から何を聴いているかというと、デュトワ/パリ管《バッカスとアリアーヌ》なのであります。
「バカアリ」には幾多の名盤がどどどんと聳えていて、優れて健康的な交響曲全集を残したさすがのデュトワも、この曲の録音においてはちょいと目立たない存在。検索してみても、どうやら8年前に発売されたULTIMAシリーズを最後に現役盤は出ていない。

このバレエ音楽についてはそれほど多くの聴き比べをしているわけではないんですが、いざ「バカアリ聴きTEEEEEEE」と感じたときに、なんでクリュイタンスでもマルティノンでもなく、比較的目立たないデュトワの演奏に手が伸びるのかなあと思うわけですね。

おそらく、この演奏に魅力を感じ取るとすれば、ルーセルの書いた管弦楽の独特の柔らかみがストレートに刻印されている点に尽きるんじゃないかと。打楽器や金管が突出することもないし、第2幕の終盤でガツガツすることもなく、デュトワが最低限のリズムを確実に整えた上にパリ管のふんわりとした響きが乗っかっている。微温的だと言われると…ううむ…反論できないところはありますが、マルティノンが刺激的なスパークをあちこちにちりばめているのとは対照的に、この穏やかさはやっぱり捨てがたいのですよ。

で、2005年に録音されたエッシェンバッハ/パリ管の演奏は、第3の方向として「エロまっしぐら!」なのではないかと思われますが^^;; 聴かれた方、いかがでしたか?
by Sonnenfleck | 2007-05-26 08:08 | パンケーキ(20)

ふりだしにラヴェル。

c0060659_74431.jpg自分が出会った最初の「クラシック」は、マゼール/フィルハーモニア管《ボレロ》《亡き王女》なのであります。
今でも、リズムのはっきりしない、感情に惑溺したような演奏が好きじゃないのは、初めに毎日毎日毎日毎日このラヴェルを聴いていたせいなんだろうと思う。これがカラヤンでもなくクリュイタンスでもなく、メタリックな若いマゼールの演奏だったのが運命的です(旧友S氏に感謝)。

今は「ユネスコ・クラシックス」という間抜けな形態でしか手に入らない録音なのだけど、クレンペラー時代末期(たぶん)のフィルハーモニア管が、40歳のマゼールに思いっ切り絞られて、物凄い人工美を発散しています。こんなに膨張しない《ボレロ》は他に知らない(遅れがちなTbソロや、得てして気持ちよく歌われがちなVn軍団へ、スネアが涼しい顔で遠慮なく攻め込むのです)。
もっと正確に言えば、自分にとってはこれこそが完璧なスタンダードであって、肉のついたラヴェルは邪道なのだよなあ。マゼール自身は後年、肉の魔力に取りつかれてしまったけども。久しぶりに聴き返してつらつらと考える。
by Sonnenfleck | 2007-05-25 07:12 | パンケーキ(20)

Google先生がダークサイドに…

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いつのまにかYouTubeへのリンク(サムネ付)が直に表示されるようになっている。すげ。
なおこのパガニーニを見ると、ハイフェッツがなぜ魔人なのかよーくわかります。。
by Sonnenfleck | 2007-05-24 06:54 | 広大な海

c0060659_22253214.jpgなんだかんだとブログを2年以上続けてきて、これまでのアウトプットに見合う分だけのインプットを自分は得られているのか、いつの間にか形成されてしまった「ブログ人格」とこの先どんなお付き合いをしていくのか、ぼんやりと考えています。

何かどっしり疲れたので今日はもう寝ようと思いますが、寝る前にシューベルトを聴こう。
彼の音楽には、こっちがそれに対して何かくどくど言ったとしても、まったく取り合ってくれない冷淡さがあります。気分がぼんやりしているときは、「シューベルトに縋って無視される」という手順が意外と有効だったりする。あの完璧に閉じた繭の中に入れなくても、繭を外側から覆うようにして自分を成形し直すと。

コラールと、デュメイと、ロデオンで、変ホ長調のPfトリオ。
3人ともやりたいようにやってるのがいい。
by Sonnenfleck | 2007-05-22 23:01 | パンケーキ(19)

【アニメ】のだめカンタービレ第17話

c0060659_653783.jpg【2007年5月24日(木) 東海テレビ(予定)

素晴らしきニコニコ。なくならないで。。
第17話はLesson38(なぜみんな峰を笑う!?)Lesson39(くろきん失恋、押コン本選)で構成されております。この辺のエピソードはドラマ版では7話と8話に散らして配置されておりましたが(8話はフォーレとバッハの使い方が巧くて感心した覚えがある)、アニメ版では原作準拠のあっさり味で平然とストーリーが進むわけです。そう、あの原作は行間とあっさりが持ち味なのだ。

騙されません聴くまでは
押売新聞コンクール(毎日と読売に気を遣わないのはさすが天下のフジサンケイGr)を控え、気もそぞろのR☆Sオケメンバー。このオケを続けていこうと熱く語る峰を笑い飛ばした後、原作によるとブラ1の冒頭が「いきなりバラバラ」になるらしいんですが、真澄ちゃんのその台詞とは裏腹に今回あてがわれた演奏は実に整然としていて、ちょっとがっかり。第7話で「音に酔う」を再現したのと同じようなのを期待してたんですが~。

聴いてみてから
でもその直後、千秋がシュトレーゼマン/ベルリン・フィルのビデオ(ブラ1第4楽章序奏)を見るシーンでは、いかにも距離をもってテレビを見たときのようなモノラルから、シュトレーゼマンのカットが映ったところで音声がステレオに移行してました。ここはしっかりした演出だったと思う(久々に止め絵じゃない指揮を見たよ)。

今週のクラヲタポイント
・《もじゃもじゃ組曲》第12曲〈幸せ色の虹〉変ロ長調は、、第15話で流れた第1曲の出来からラヴェルの〈妖精の園〉みたいな爆発を期待してましたが、実際はもうちょっと保守的な感じ。EDのクレジットによると作曲者は大島ミチル。

* * *

チケットのプレゼントですが、、応募者がいらっしゃいません(T_T)
ジュリアードのバルトークなんてもう時代遅れなんでしょうか…。いちおう応募期限を今週末までに延ばしますので、中京圏の方、ぜひもらってやってください。。
by Sonnenfleck | 2007-05-22 07:11 | on the air

1872ファイ=315円では安すぎる

c0060659_628979.jpgピーカンファッヂの爆安@315円セールで手に入れた、ハイデルベルク交響楽団の自主制作による「ニューイヤー・コンサート2005」
「HANDSIGNIERTE EDITION」の記載どおり、指揮者トーマス・ファイの直筆らしいサインと、<1872/2005>の文字がサインペンで書き込まれておりました。中身はこの3月にhänsslerからリリースされた序曲集の音源の元になっている、2005年1月1日のライヴであります。曲目はこんな感じ。

■1 ハイドン:序曲ニ長調 Hob. la:7
■2 ヨハン・シュトラウス:《ペルシア行進曲》 op.289
■3 同:《春の声》 op.410
■4 ロッシーニ:歌劇《セミラーミデ》序曲
■5 モーツァルト:歌劇《後宮からの逃走》序曲
■6 ヨハン・シュトラウス:《エジプト行進曲》 op.335
■7 ヴェルディ:歌劇《ナブッコ》序曲
■8 ヨハン・シュトラウス:《南国のバラ》 op.338
■9 ビゼー:歌劇《カルメン》序曲
■10 ヨハン・シュトラウス:《ラデツキー行進曲》 op.228

「アーノンクールの弟子」「師匠譲りの過激なスタイル」という評判が先行して認知されてきているファイですが、現在出ているCDがハイドンとメンデルスゾーンということでイマイチ実像が掴めずにおりました(この二人は完全に守備範囲外なもので)。

しかしトラック3まではまあ普通かなーと思って聴いてたんですけど、《セミラーミデ》序曲で泡を食いましたねえ。リズムがギチギチに硬直して、ニコリともしない不穏なロッシーニ。。あーこういうところがアーノンクール似なのか。。面白いなあ。
ハイデルベルク響は古楽器混合オケということらしいですが、そのポイントをあえて押し出すこともなく、すべては寒色系の薄い響きの中で粛々と進行していきます。シュトラウスの選曲がまた硬派…、《南国のバラ》でさえここでは硬質な輝きが主。
ていうかこれってニューイヤーコンサートでしょう?元日から「2005年も勤勉に労働して貯蓄しましょう」的な真面目さが溢れていますよ(笑)

なおトラック9の《カルメン》序曲はアリアCD店主が煽っているとおり、史上最速クラスの変な演奏です。これでアンサンブルがまったく乱れないのというのがまた…。
by Sonnenfleck | 2007-05-21 06:29 | パンケーキ(19)