<   2007年 05月 ( 28 )   > この月の画像一覧

急告▼チケット差し上げます!

本日発売のサイトウキネン2007、9月8日(土)の幻想交響曲プロを狙ったのですが、下位の席種はあっという間に売り切れ。18K以上をセイジさんのために支払うのは嫌だったので、ドロップアウトしました。デュティユーの委嘱新作が聴いてみたかったであります。
で、それとは別件。
6月9日(土)に豊田市コンサートホールで開催される、ジュリアード弦楽四重奏団のチケットを一枚押さえていました。しかしこの日どうしても避けられない用事が発生、無駄にしてしまうのも忍びなく…そこでこのチケットをいつも当ブログをご覧になっていただいている皆さまにプレゼントしようと思います。
【2007年6月9日(土)14:30開場/15:00開演 豊田市コンサートホール】
<B席 L1列10番>
●バルトーク:弦楽四重奏団 第3番 Sz.85
●バルトーク:弦楽四重奏団 第1番 op.7 Sz.40
●シューベルト:弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D.810 《死と乙女》
⇒ジュリアード弦楽四重奏団
もらってやってもいいゼ!という方は、チケットの送付に必要なお名前・ご住所を明記の上、
dsch_1906◆yahoo.co.jp(◆=@) までご連絡下さい。
応募の期限は、ただ今より21日(月)の23:59受信分までといたします。応募多数の場合は厳正な抽選の上、当選者を決めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
by Sonnenfleck | 2007-05-19 17:18 | 演奏会聴き語り

ドホナーニ/北ドイツ放送交響楽団@名古屋

c0060659_6491530.jpg【2007年5月17日(木)18:45~ 愛知県芸術劇場】
●ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 op.90
●同:同第1番ハ短調 op.68
  ○アンコール ドヴォルザーク:スラヴ舞曲ホ短調 op.72-2
⇒クリストフ・フォン・ドホナーニ/
  ハンブルク北ドイツ放送交響楽団


何が凄いかというと、昨日の夜は何が凄かったのかということを言葉にできない点。強いて言えば、あれはブラームスのイデアとでも表現しようか。ロマン派オーケストラ合奏芸術の理想が繰り広げられていたような気がする。
…という感じでエントリを終わりたいんですが、埒もないのでもうちょっとだけ捻り出します。

当日の昼まで、行こうかどうか迷ってました。
でも、5月7日にハンブルクのライスハレでドホナーニ/NDRを聴かれた方のエントリを偶然拝見して、心を動かされたのですよ。そうして今あるのはこの方が書かれているのとまったく同じ感想、すなわち今、聴いてみたい、理想のブラームスがそこにはあったという巨大な充実感なんですね(転載ご容赦)。今後ブラームスの交響曲を思い浮かべたら、きっとこの演奏が脳内で再生されるだろう、と。
「既存のイメージ」とどこかしら食い違う箇所を提示して聴かせるのが最近の流行りだとすれば、ドホナーニがやったのはその「既存のイメージ」を極限まで磨き上げる方向。ヴァントが同じオケを振って遺したブラームスにある孤高・質朴といった個性(この文脈では「臭み」と言ってもいいかもしれない)すらここには存在しなくて、まさに大阪公演を聴かれたtakさんが指摘されているとおり「観念の世界の音楽」であったわけです。リズムの設計・和音の構築・バランスの取り方といった価値だけを究極的に信頼した、恐ろしく精密で非人間的な120分。。インテンポ、ロマンティックな余韻はばっさりカット。それでも興奮してくるオケを、暗譜+打点の鋭い指揮で完璧に統率するドホ氏。

端的な例を挙げるとすれば、第1の第2楽章終盤で、コンマスがObとClを従えてソロを張る局面…あそこで聴こえた3者のバランスはたぶんこの先もずっと忘れないと思うし、第3の第4楽章の最後で弦から聴こえた気泡のように儚い響きは…悶絶モノでありました。
いやはや。
関東圏の方々は今日明日でツィクルスが聴けるわけですよね。度肝、抜かれますよ。。
by Sonnenfleck | 2007-05-18 06:51 | 演奏会聴き語り

【アニメ】のだめカンタービレ第16話

c0060659_6542223.jpg【2007年5月17日(木) 東海テレビ(予定)

おととい発表された「有料会員制導入テスト」はニコニコ動画がお先真っ暗なことを示してますし、そうなったら絶対に黙っていないであろう○ャスラックのことを考えると憂鬱になります。今のところはたった100万人限定のクローズドなサービスに留まっているから灰色のまま放置されてるけど、いつか必ず訪れるXデーには壊滅的な打撃が予想されるわけですよ。気楽に「ニコニコ使ったよん」などと書いている僕もオナワ頂戴かもしれませんね。

クラ的にはミッチー+大井氏の《シナファイ》やガッティ/ウィーンの《モーゼとアロン》抜粋、ポゴレリチの《スカルボ》などが、ヲタク保守本流の萌えアニメ群に混じって普通にUPされてるのが大変興味深いのですが(笑)
そんなわけで第16話、Lesson36(いぶし銀からピンクへ)Lesson37(ハリセンの妥協と和解)をカバー。つなぎ回らしく消極的な感じ。

いぶし銀からピンクへ
ドラマ版では演出のおかげで特徴的なシーンに仕上がっていた「恋するくろきん」ですが、原作ではそんなに面白おかしい部分ではないので、原作に忠実なアニメ版はあれと比べられてしまうと不利ですね。
それにしても今週は本当にクラ曲が少なく、登場したのはK.314とバッハの無伴奏Vnパルティータ第2番だけだったので、ちょいと欲求不満になってた耳には心地よく響きました。Obの接写は相変わらず高品質、オケのカットになると低品質。(モーツァルトのオケ作画、いくらなんでも奏者間が離れすぎでは…。)

食玩の帝王
ハリセンがのだめを釣るために、コンビニでプリごろ太フィギュアを大人買いする場面が追加。
オリジナルエピソードですが、引いた笑いが原作っぽくてGJ。

今週のクラヲタポイント
・今週は特になし。来週流れるであろう《もじゃもじゃ組曲》終曲に期待してオリマス。
by Sonnenfleck | 2007-05-17 06:56 | on the air

多重戦隊アヴェマリアン

c0060659_6562180.jpgGounod(YouTube)

初期の「突き抜け感」は影を潜めましたが、そのかわり高位安定で信頼できる作品が増えてきたYouTube界の巨匠、wzauscher氏。今度はグノーの《アヴェ・マリア》を多重録音して、あのハーモニーを再現してます。ていうかヴィオラまで弾くのかこの男は…ひとりだけ蝶ネクタイしてるのが可笑しい。

著作権のある音源を使用したエアーコンダクティング作品はもう出してくれないのかもしれません。《レニングラード》とか振ったら絶対面白いと思うんだけどなあ。。

でも、たまには違う服を着てね(笑)
by Sonnenfleck | 2007-05-16 07:01 | 広大な海

あのような裂け目ではなく、快楽を。

c0060659_6253066.jpgお待ちかね、ヤーコプス/フライブルク・バロック・オーケストラの新譜。今度は《プラハ》《ジュピター》ということで、これはもう期待せずにいられようかという。先日幸運にも中古価格で入手することができたので、さっそく聴いてみましたよ。

まず《プラハ》の序奏、Tpの咆哮に応える弦のフレーズに奇妙なスラーが付いてて実に浅薄、楽しすぎます。何が精神性だ。何が崇高だ。さあ、音楽が始まる―。
仔犬が遊んでほしくてうずうずしながら走ってくるように、愛嬌を振りまいて転げまわる第1主題。サクサクとして後ろを振り向かないリズムがまったく快感です。推移部に向かってFl・Ob・Hrがふんわりと交錯しながら浮かび上がり、Fgがバターのように憂鬱な第2主題へ。
展開部ではVcとKbにスポットライトが当たって、次々に繰り出されるエピソード群を枠にはめ込んできりりと引き締めます。再現部は豊かに破裂して、それがコーダ目掛けて螺旋を描きながら再び収束していく様子は…第一級の音響芸術ではないですか。。

第41番は、史上初の「Gが体感できるジュピター」ではないかと思います。
第1楽章の冒頭からしてすでに、「巨大さを眺めて楽しむこと」は真っ先に表現すべき価値ではなく、伸縮しながら機敏に運行する運動体に乗って楽しむ感じが優先されます。全身の血液が音によって引っ張られるような。。第2主題以降は、盛大な減速が行なわれてワルター/VPOみたいにレトロなテンポになったのち、滑らかにギアチェンジを行なって急加速するという仕掛けがあちこちに現れます。素晴らしい。
反対に各方面レガートの応酬が美しいのは第2楽章。艶やかな響きのFBO高性能弦楽が生きてますねえ。展開部のロマンティックな歌い口など―何度も繰り返しますが―ここに至ると古楽/モダンの弁別などどうでもいいのです。
第3楽章になると再び重力加速度が生まれるのですが、起伏は第1楽章よりさらに洗練されて、慣性を無視しない自然な流れに感動を覚えるくらい。
しかし面白いことに、フィナーレのジュピター音型が突然、ベームのような偉大さを取り戻します。守旧派への配慮か…と思いきや、その組成の色彩感たるや並でなく、コリント式の大柱に近寄って上を見上げたら柱頭のアカンサス模様がとんでもない解像度、みたいな感じ。コーダ直前の繊細なテクスチュアを聴いてみてください。。

ところでミンコフスキと聴き比べてみると、フライブルクとルーヴルの明確な違いに気づきます。あちこちが奔放に育って豪快なルーヴル(弦の急激な上行音型なんかまさにラモー)と、極限まで彫り込まれてトゥッティの柔らかい繊維質まで覗くフライブルクと。
いずれにせよ、ヤーコプスとFBOがここでやっている快楽主義的なスタンスを、僕は遠ざけることができません。…何しろ気持ちがいいのです。
by Sonnenfleck | 2007-05-15 06:27 | パンケーキ(18)

【アニメ】のだめカンタービレ第15話

c0060659_19224921.jpg【2007年5月10日(木)26:05~26:35 東海テレビ】

そんなわけでオンデマンドに頼らない第15話、扱っているのは原作のLesson34(三善家その3)Lesson35(のだめ×ハリセン/R☆Sオケ初顔合わせ)。今週も大変誠実な作りで、ストーリーはどうぞ原作を参照してくださいとしか言えませんが。。

トラウマの体罰
のだめが初めてハリセンにしばかれるシーンで、例の防音室の扉のカットが一瞬挿入されるので(この演出は原作にはない)、このへんは先週の千秋のトラウマと同じでわかり易くリライトされてるなあという感じ。なお大川弁ブチ切れシーンは…ドラマ版の上野樹里に軍配が上がりそうです。ただ「おまえ言うな」だけは変な凄味があった。

◇今週のクラヲタポイント
・「ゲロンティアスの夢」という言葉が民放で流れたのはこれが日本史上初では(笑)
・R☆Sオケの結成飲みで、またもや「ショスタコー!」の絶叫が。随喜。
・《もじゃもじゃ組曲》はシンコペが特徴、機嫌のいいヤナーチェクみたいな作品として作曲されていました。「もじゃ木がささやく」から「まぁ大変」までのくぐもった旋律がなかなか面白く、あれで幼稚園児を教育するというのもオツなもんです。
by Sonnenfleck | 2007-05-13 19:24 | on the air

健全なるアウトドア精神(何ら問題ない)

c0060659_17561443.jpg日の出ごろに起床、仕事仲間と一緒に知多半島の先っちょにある浜でバーベキューをしてきました。大きめのあさりに醤油でちょちょっと味つけして網で焼く、そんなのがえらい美味かったですよ。お、このブログには珍しくアウトドアな感じだぞ。
しかし腕は、時計の痕を残して全面に赤黒く日焼け。恐ろしいことになっているのです。こんなに焼けたのっていつぶりだろう…毎日チャリチャリしていた高校生のころを思い出しますね。。

行きの車中ではモーツァルトのト短調弦五を聴いて暗シックに浸りましたが、晴れ渡る太平洋の空と潮風の下ではそんなものは無意味でありました。自分のメンタルシーは無生物的に曇っている日本海なのにね。

疲れたな。こうして僕のNML最後の日はあっという間に過ぎてしまった。といいつつ、最後にウィグルスワース/オランダ放送フィルの《バービィ・ヤール》(BIS)を聴いているのでした。オケは聴かせるけど(同じ指揮者の10番の出来とは大違いだ)、この曲で男声合唱の発声が全然ロシア語っぽく聞こえないのはかなり問題かなと。適当すぎる。

そういえば、アシュケナージのショスタコ全集がついに完成するらしいですね。彼の10番だけはついにバラ売りを見つけられなかったので、たぶん買ってしまいます。
(クラウス・ペーター=フロールとホルヴァートの第10を譲ってくださる方、いらしゃいましたらご連絡下さい。。)
by Sonnenfleck | 2007-05-12 19:32 | 日記

ボレイコ応援プロジェクト、その後

c0060659_6512049.jpg2年前に未知の指揮者として取り上げたアンドレイ・ボレイコですが、東京のオケへの度重なる客演と、今年はPMFオケを振っての全国行脚、そしてこのたびhänsslerからショスタコの第4交響曲をリリースするに及び、ついに「期待の人」として知られるようになったようであります。
継続的に録音してきているシルヴェストロフのシリーズを除けば、ほとんどメジャーデビューと言ってもよい録音。そこにタコ4を持ってくるというのが大胆不敵です。オケはシュトゥットガルト放送響。

まず、第1楽章冒頭の破滅的な響きをあえて強調しないのが面白い。
確かにどでかい山を最初に遠慮なく築いてしまうと、それ以降にたくさん現れる大小の起伏群がその魅力を減じる可能性があるんですよ。これまで聴いたどの4番とも違う、全体のフォルムへの細やかなこだわりは驚異的です。
プレストに突入する直前数分間における木管のキャラクタづけの妙技を、プレスト頂点での総ユニゾンによるずり上げを、再現部へ至るカウントダウンがキラキラと光っているのを、じっくりと聴いてみてください。これほど贅沢に手間暇かけて彫塑された4番なんて、他にありましたか?勢いに任せて表現主義的に鳴らすだけがタコ4の解法ではない。。

第2楽章は、美音やグロさで聴かせるのではなく、ただひたすらに構造を提示することに専念する(素晴らしく無表情で灰色のレントラー…)。こういう単純なリズムを刻ませると、ボレイコはどんどん冷たく醒め切っていくのです。ここではシュトゥットガルトの魅力的な木管さえモノトーンに染まって、不思議な世界が見える。

…はっ。と気がつくと、甘い表情がついたFgのソロ。第3楽章はちょっと4番とは思えない、もっと言えばショスタコらしくないくらい鮮やかな手管が披露されて、《ペトルーシュカ》の謝肉祭のような目まぐるしい転換がフルカラーで目の前に広がります。これはいかにも亀山郁夫が喜びそうなユーフォリアではないか!たとえ「直伝」の鋭い響きでないとしても、これがショスタコがイメージしていた1920年代のソヴィエトの雰囲気にかなり近いと僕は思う。
その途中でいくつか差し込まれる破局(わかり易いのはテューバの闖入でしょう)は残念ながらいささか唐突すぎる印象を与えるけども、2台のティンパニを的確に捉えた録音とともに、フィナーレの金管コラールは狂熱的で大変素晴らしいです。この速さは一体どうしたことだ。。

チェレスタの跳躍を最後にほんのちょっとだけ待つ彼のセンスが好きです。
併録の《マクベス夫人》組曲は…残虐なアンコールピースとしてもっと評価されるべき。さっき調べたらすでにNML内に存在していましたので、アカウントをお持ちの方はぜひお聴きになってみてください。
by Sonnenfleck | 2007-05-11 06:52 | パンケーキ(20)

熱狂報告3―おしまい。レンダリングへ続く。

c0060659_6593296.jpgのだめの15話がYouTubeにもニコニコにも上がってきません。。頼りすぎるとダメなんだなあ。どうせ名古屋は関東の一週間遅れなので、リアルに録画することについては問題ないんですけど…違法パッチを当ててごまかしていた地域間格差が再び。

で、ラ・フォル・ジュルネ2007感想文最終回。手短にいきます。

【5/4(金)1200-1245 ホールB7〈マラルメ〉】
●グリーグ:Vnソナタ第3番ハ短調 op.45
●ラヴェル:Pf三重奏曲 イ短調
⇒パスキエ(Vn)、ピドゥ(Vc)、ペヌティエ(Pf)

パスキエの意外な荒々しさに舌を巻くグリーグ(しかしちょっと睡魔に負けたグリーグ)。
ラヴェルはペヌティエが終始リストのような轟音でB7を満たしていたけど(音響の特徴を掴んでなかったのだろうか?)、パスキエとピドゥは巧妙な落差をあちこちに設けて静けさと苦々しさを聴かせます。第1楽章の結尾部は奇跡的だった。

【5/4(金)1430-1515 ホールA〈ドストエフスキー〉】
●ドヴォルザーク:Vc協奏曲ロ短調 op. 104
→アレクサンドル・クニャーゼフ(Vc)
⇒ドミトリー・リス/ウラル・フィルハーモニー管弦楽団

あの巨大なホールAで拡散すらせず、ひたすらクニャーゼフは演歌の人でした。あのコブシは嫌がる人も多かったろうなと思う。少なくとも指揮のリスは嫌だったろうなあ。

【5/4(金)1800-1845 ホールC〈カフカ〉】
●グリーグ:2つのノルウェーの旋律 op. 63
●ドヴォルザーク:Pf協奏曲ト短調 op. 33
  ○アンコール グリーグ作品(作品名不詳)
→ミシェル・ダルベルト(Pf)
⇒葉詠詩/香港シンフォニエッタ

ロマン派直球勝負で、正直かなり辛い演目。グリーグは香港シンフォニエッタの弦楽が楽しめたのでよかったけど、ドヴォルザークは最後まで入り込めませんでした。この日の夜、巨大匿名掲示板ではこのコンサートでのダルベルトの軽やかなタッチを褒め称える書き込みがいくつも見られたので、きっと僕が鈍いだけなのだろう。。盛期ロマン派ムズい。。

【5/4(金)1945-2030 ホールC〈カフカ〉】
●バルトーク:2台のPfと打楽器のためのソナタ Sz. 110
●ストラヴィンスキー:バレエ・カンタータ《結婚》
⇒キャロリン・サンプソン(S)、スーザン・パリー(A)、
  フセヴォロド・グリヴノフ(T)、デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(Bs)
⇒マルクス・ベルハイム、フルーデリーケ・ハウク、
  ユルゲン・クルーゼ、ベンヤミン・コプラー(以上Pf)
⇒ダニエル・ロイス/カペラ・アムステルダム&ムジカ・ファブリーク

おととしのミサ・ソレムニスで目覚しい演奏を提示してくれたロイスとカペラ・アムステルダムが今度はモダンを聴かせてくれるわけで、僕としては本命中の本命なのでした。
結果、僕がこれまで聴いてきたストラスブール・パーカッションの演奏との著しい差を見せ付けられます。これはムジカ・ファブリークの鋭角的な楽器の扱いに起因していると思われ、実に刺々しくメタリックな音響美を体験させてもらいました。かてて加えて合唱と4人のソリストは決して一線を越えない上品な歌い口を堅持しているので(特にアルトとテノールは引っ込みすぎかというくらい)、「土俗」や「野生」といったキーワードを検索したのち、Google Earthでツンドラを見て廻るような仮想的興奮がアリ。これは面白かったです。

【5/4(金)2230-2315 ホールB7〈マラルメ〉】
●ファリャ:ベティカ(アンダルシア)幻想曲
●同:バレエ音楽《恋は魔術師》
→アントニア・コントレラス(Vo)
⇒ジャン=フランソワ・エッセール/ポワトゥ=シャラント管弦楽団

さすがに疲労が蓄積…でも脳ミソはギンギンに冴え渡っておりましたので、普段とは違うおかしな感覚を味わうことができました。前半は指揮者エッセールによるピアノソロ。そのいつ果てるともない荒涼とした乾きの音楽に対して、後半のコントレラス姐さんのヴォーカルがトロリと染み渡りますよ。ヤケクソっぽいリズムで跳ね回るポワトゥ=シャラントの皆さんも愛らしく、大変充実した公演でした。やっぱりレイトコンサートっていいよなあ。自分が知るところ現状ではラ・フォルだけの取り組みなので、、もっと広がってくれないかしら。

来年のシューベルト、今年弱まった古楽色が再び戻りそうです。それと同時にゲソオソポイントが急激に上昇するっていうのも素敵じゃないっすか。来年こそは「みつを美術館」等のマイナーなプログラムを押さえてやろうと心に誓うのでした。
by Sonnenfleck | 2007-05-10 07:08 | 演奏会聴き語り

終点のエール

c0060659_754966.jpgブリュッヘン/オーケストラ・オブ・ジ・エイジ・オブ・エンライトゥンメントによるバッハの《管弦楽組曲》全集。

少し前にピーカンファッヂで発見しました。フルプライスで発売されたあとしばらくは店頭にあったのに、そのとき確保しておかなかったせいで何年も探し回る羽目になったのです。。
94年の録音、マルPは97年で、ハイドンの疾風怒濤期交響曲集とともにブリュッヘンがPHILIPSに残したほとんど最後の録音ではないかと思います。…これはですね。この期に及んでブリュッヘン観を揺さぶられました。
クソ真面目で、オトコっぽくて、どろどろしてて、ダサく―ないのです。こんなに優しくて静謐な管組シリーズって他に聴いたことがないですし、羽が舞うようなという言葉はこういう演奏だけに使うべきではないかと思う。いやーたまげた。本当にたまげた。

第2番から聴き始めて、まず序曲前半の響きの薄さに仰天します。それでライナーノーツを見てみると、どうやら1パート1人で演奏してるんですよ。Fl・Vn1st・2nd・Va・VcにLtが2人、合計7人の極小編成を完璧に統率して演奏する序曲後半のフーガは、激することなく、ひたすらに感覚的で…その上全体にごく弱いイネガルがふわっとかけられて、言葉にならないほどの快感です。うぉぁ。。
ロンドは耳に馴染んだ「たーたたたー」ではなく「たたーたたー」という拍子になって、装飾的に扱われたその2拍目の弱々しい感じが、なんとも病的に美しい。
悶えるようなサラバンドブーレⅠでは結尾部でVcが消えて、Ltだけが最低音の余韻を残す。したがってある程度の速度を保っているのに強引な印象は一切なくて、ただ青白い儚さだけが伝わります。そしてバディヌリーはまったく無理なく風が一筋吹き抜けていくような感じ。よくある、楽句と楽句をつなぐBCの強調はここではなされません。

信じられないくらい繊細に作りこまれた第2番に比べると、第3番は比較的大らかであります。1パート1人じゃないですしね。
しかし序曲の雄大さは、恐ろしい落差を生み出すために設計されていたようです。長く緩やかな下り坂のように延びる最後の和音のあと、静かに始まったエールは、Vnの天国的なノンヴィブラートに、Vaの苦味がほんのちょっと効いて、Cemの優しい装飾が…聴き手の容量を軽く超えるくらい圧倒的な美しさで演奏されます。このあとに音楽が続くのは野蛮な気がするので、この先のトラックは聴いていないのです。。終点。。
第1番第4番については、気が向いたら追記するかもしれません。
by Sonnenfleck | 2007-05-09 07:06 | パンケーキ(18)