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本日の雪もやはりペザンテ

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このブログでも何度か触れたことのある、ターンテーブルのゴムが劣化して回転しなくなっていた実家の古いレコードプレイヤーを、思い切ってお役御免としました。長年お疲れさま。。

父親がしまい込んでいた普及型の新しいプレイヤーを譲り受け、アンプに接続。筐体がプラなのでちょっと頼りなげですが…いつも聴いてるハンガリー四重奏団のバルトークで慣らしたのち、今年の大曲聴き納めとしてスヴェトラーノフ/ソヴィエト国立響のタコ10をテーブルに乗せました。

この演奏ねえ、、CDに復刻される気配がまーったくないんですよ。なんでかなあ。数年前に出たのはなぜかこれとは別のライヴ音源だったし。
オケを構成する楽器一台一台の「潜在的な」コクが濃厚。そしてデュナーミクの指示がとにかく派手。ほぼ同じような傾向のフェドセーエフ旧盤に比べてもずっと破廉恥…と言い切るのは失礼かもしれないけど。第3楽章がここまで明け透けに直線的に鳴り響いているのを聴くと(このホルンの絶叫ではエリミーラがまるでロシアの肝っ玉母さんである)、スヴェトラはこの曲にあんまり興味なかったんだろうなあと考えてしまいます。

第2楽章と第4楽章を景気よく楽しむためにはこれ以上ない「陽気な」仕上がり。いつか、東急ジルベスターコンサートでコバケンがこの曲の第4楽章をカウントダウンに使う日が来たら、そのときはぜひこの演奏をお手本にしてほしい。ふてぶてしいファゴット!

外は断続的な吹雪。冬らしい。
本年も当ブログへのご愛顧まことにありがとうございました。体調を壊したり忙しくて音楽が聴けなかったり、必ずしも最高の一年ではなかったけれど、毎日訪れてくださる皆さんが書き手たる僕の何よりの励みでした。来年もよろしくお願いいたします。よいお年を!
by Sonnenfleck | 2007-12-31 20:58 | 絵日記

エアコン未見

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実家に帰る途中で国際フォーラムに行ったら、抜群のタイミング、ちょうど山尾さんの司会でエアコンダクター・コンクールの授賞式でした。

…したがってなーんにも見られなかったわけです!残念!アームチェア・エアコンダクターとしてはぜひ先達の至芸に触れたかった。あとで動画を載っけたりしませんか?>公式サイト。いや、YouTubeにUPしたりしても面白いんじゃないかしら。wzauscher君と対決!みたいな。

交通会館の前、変わったなあ。
by Sonnenfleck | 2007-12-30 09:54 | 絵日記

今年はこんなの聴きましたランキング'07<ディスク編>

どう考えてもストラヴィンスキー大全集を年内に聴き終えるのは無理なので、潔く来年へ持ち越すことにしました。。仕事納めだってのに今週は忙しすぎたです。
さて<コンサート編>に引き続き、<ディスク編>もやってしまいましょう。
2007年は合計187組のCDを購入、値段は、、怖くて計算できません。

10位■ランペ 知られざるフローベルガー(MD+G)
3月9日のエントリ。チェンバロは、もっぱらこれとセンペのルイ・クープラン。

9位■ルーセル室内楽曲全集(Brilliant)
2月4日のエントリですね。そして新橋キムラヤのCDコーナーは本年を持って消滅。。

8位■ヤーコプス/フライブルクの《プラハ》&《ジュピター》(HMF)
5月15日のエントリ。《ドン・ジョヴァンニ》は未聴です。

7位■コンドラシン/シュターツカペレ・ドレスデンのタコ15(Profil)
9月21日のエントリ。ショスタコ系はやや小粒なものが多かったかも。

6位■ロジェヴェン/フィルハーモニアのタコ4(BBC)
10月26日のエントリ。仕事帰りにクルマで聴くタコ4のエグさは格別。

5位■ガッティ&Ensアウローラのヴィヴァルディ(GLOSSA)
2月1日のエントリ。'07ガッティ大ブレイクの発端となった1枚ですね。

4位■ストラヴィンスキー大全集(SONY)
マラソン中。20世紀音楽を聴いていく上で使用する目盛りができつつある気がする。

3位■the GULDA MOZART tapes(DG)
12月14日のエントリ。去年のうちに出会っていたかったアルバム。

2位■ボストリッジ THE GREAT HANDEL(EMI)
9月8日のエントリ。なんだかんだで実によく聴いたです。第2弾出ないかなあ。

1位■プルーデルマッハーのラヴェル選集(TRANSART)
10月31日のエントリ。僕のiPodを長く占領するラヴェル。

+ + +

自分の中で、でかい編成を拒否する気分が高まってきているのが感じられる一年でした。
今年の後半になって当ブログを占拠したストラヴィンスキーも、よくよく聴いていくとでかい編成を局所的に重ねているだけで、あれは絵の具の種類が多いだけなんだなあと思われる。
ただそのいっぽうで、ドホナーニ先生の素晴らしさに開眼したり、シューマンを改めて見つめ直したりと、方向は定まらないながらも音楽的には面白い一年だったです。

さーて実家さ帰るス。
by Sonnenfleck | 2007-12-29 08:52 | 精神と時のお買い物

ふたりはさとう。

第11回シューベルト国際ピアノ・コンクール優勝!

祝!平成19年度(第62回)文化庁芸術祭・レコード部門大賞受賞!

当ブログにて勝手に応援中のピアニスト・佐藤卓史、日本のメディアではほとんど報道されなくて悔しかったんですが、9月にドルトムントで開催された第11回シューベルト国際ピアノ・コンクールで優勝しました。ここで取り上げるのもかなり遅れてしまったけど、おめでとう!

c0060659_6592285.jpg【ライヴノーツ/WWCC7561】
●グリーグ:Vnソナタ集
→佐藤俊介(Vn)、佐藤卓史(Pf)

そんな中で。10月末にリリースしたグリーグのVnソナタ集が、今度は平成19年度(第62回)文化庁芸術祭のレコード部門で大賞を獲得しました。オペラシティ財団の「武満徹の宇宙」とか伊藤恵の「シューマニアーナ」とか、並み居る強豪を抑えての受賞です。

このエントリでも書きましたが、彼とはリアルの世界で長い付き合いになるので、あまり贔屓ぶった書き方をしたくない。贔屓はしたくないけど、このCDの演奏は確かに万人が納得するような内容であると断言したいのです。
デュオ佐藤、佐藤俊介と佐藤卓史は(よく「兄弟か?」と訊かれるらしい)、前作のPreludes: Favorite Miniaturesを聴いたときにも感じたんだけど、ノリがラテンというか、ここまで自然に「洒脱」を記録してしまうのか、、というナチュラルな歌謡性に溢れた音楽をやるんですよね。ちょっと塩辛い音で自在に飛び跳ねるヴァイオリンと、それを優しくサポートする柔らかいピアノ…アンサンブル聴いてるなあという満足感が強い。二人とも強い個性の持ち主同士なのに、この自然な会話!

自分が北欧ロマン派音楽シーンを苦手にするのはどうしてかなあ…と考えて思いつくのは、ドイツロマン派の影響から抜け出そうとして抜け出せない、木肌にしっとりと雨露が浸み込んでなかなか乾ききらない、あの灰色の重みが小節の隙間から透けて聴こえてしまうからではないかということです。
ところが彼らは!グリーグはフォーレのご先祖ではなかったのかと疑われるような不思議な明るさと軽さと浮遊感で3曲を弾ききってしまった!ピアノで言えば第1番第1楽章冒頭のつぶやきが信じられないくらいこちらの不安を掻き立てるし、第3番第2楽章の清潔な浪漫は「美しい」というほかない。あちこちが美しい。またヴァイオリンで言えば、第2番第3楽章の悪戯っぽいはねっかえりと明るい重音が、ロマン派を積極的に聴かない聴き手にとっては重荷過ぎる楽句を中和して一気に持っていってしまう。ブラヴォ。
by Sonnenfleck | 2007-12-28 07:00 | パンケーキ(19)

12月26日、車中、バイロイト

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昨夜も遅くなってヘロヘロしながらクルマに乗り込み、ラジオをつけると…バイロイトじゃん。

演目はちょうど《ワルキューレ》、しかも第1幕のおしまい10分から第2幕にかけてということで、リングの中でもいちばん美味しい部分のひとつを存分に大音量で楽しんだわけです。ティーレマンのワーグナーって本当に強引で放埓な鳴り方をするんだなあ。あれを生で聴いたら物凄いシンパになってしまいそうだなあ。

赤信号で止まったところで、ノーぉトゥーン!ノーぉぉぉトゥ~ン!って歌ってたら、隣に止まったヤンキーっぽいクルマのヤンキーっぽい乗り手に見られました。行く年。
by Sonnenfleck | 2007-12-27 07:11 | 日記

15時半のアミン

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メリークリスマス!

日曜日に、初めて東京復活大聖堂(ニコライ堂)の中に入ってみました。
暗い中に蝋燭が灯って、慣れない香の匂いが微かにして、正教でない教会に入るときよりもいささか緊張する。日本正教会は「宣教への配慮」から、降誕祭の聖体礼儀をグレゴリオ暦に従って12月25日にやるんだそうな。ユリウス暦じゃないんですね。

昨夜はマラソンを完遂するためにストラヴィンスキーの《カンティクム・サクルム》を繰り返し聴いていたのだけど、十二音の美しさとクリスマスイヴの気分とがどうも結びつかなくて、結局例年どおり、いつものカラヤンのクリスマス・アルバムを取り出したのでありました。1年に1回この日にしか聴かないアルバム。
by Sonnenfleck | 2007-12-25 07:12 | 絵日記

今日は朝からストラヴィンスキー(19)

c0060659_915539.jpg【DISC20…SACRED WORKS VOL.1】
●JSバッハ《高き天よりわれは来れり》によるコラール変奏曲(1956) ※
●カンタータ《星の王》(1912/1939) ※
●《アヴェ・マリア》(1934)
→エルマー・アイスラー/トロント祝祭合唱団
●《クレド》(1932/49/64)
→グレッグ・スミス/グレッグ・スミス・シンガーズ
●《パーテル・ノステル》(1926/49)
→エルマー・アイスラー/トロント祝祭合唱団
●《古いイギリスの歌詞によるカンタータ》(1952) +
→アドリエンヌ・アルベール(MS)
  アレクサンダー・ヤング(T)
  グレッグ・スミス/グレッグ・スミス・シンガーズ
●《ミサ曲》(1948) #
→グレッグ・スミス/グレッグ・スミス・シンガーズ
●カンタータ《バベル》(1944) ※
→ジョン・カリコス(語り手)
  エルマー・アイスラー/トロント祝祭合唱団
⇒イーゴリ・ストラヴィンスキー/
  CBC交響楽団(※)、コロンビア室内Ens(+)、
  コロンビア・シンフォニー・ウィンズ&ブラス(#)

ラストスパート?

まずバッハの編曲であるコラール変奏曲
たぶん元になってるのはクリスマスにちなんだコラールなので、季節的にはぴったりですね。管楽器偏重のつぶつぶした響きはシェーンベルクのバッハ編曲よりずっと軽いテクスチュアで、これがストラヴィンスキーの最良の特徴のひとつだよなあと改めて思う。そこへ何の前触れもなく合唱が乱入しちゃうのがいかにも節操レスで融通無碍でして(笑) CBC響はコロンビア響よりもっとサバサバした音なので素敵です。

続いて初期のごく短いカンタータ《星の王》
これはバリモントのロシア語詩に基づいているようですが、歌詞なしにつき内容はまったく不明です。順番的には《春の祭典》の直前の作曲かと思われ、そのように意識すれば、確かにここから声を抜いたらハルサイの静かな部分に似ているかなあというところ。 ただしハルサイよりはふくよか、静謐で不穏。

またもロシア語訳による、今度は無伴奏合唱の《アヴェ・マリア》《クレド》《パーテル・ノステル》がそこへ続く。どれもせいぜい3分ほどで終わってしまうんだけど、ストラヴィンスキーがうっかり素を出してしまったかのような素朴な甘さが充満していて…ギャップ萌えと言えますでしょうか。おなじみトロント祝祭、及びグレッグ・スミスの皆さんも決して超絶技巧ではないので、その方向に拍車がかかるようです。

《古いイギリスの歌詞によるカンタータ》は、古雅で浮遊感のある室内アンサンブルが(あるかなきかの)土台になって、これまで聴いてきたストラヴィンスキー作品群の中でもちょっと独特の肌ざわりかなあ。ここから《シェイクスピアの3つの歌曲》へまっすぐ道が伸びている気がします。ソロのアルベールが少年みたいに恍惚とした歌い方をしていてドキドキする。

で、このディスクの白眉は次の《ミサ曲》でしょうね。
ネットで検索してもほとんど引っかからないし、並み居るス氏作品の中にあってはいかにも身も蓋もないタイトルなので見過ごされてるのかもしれないけど…作品の格というか訴求力が他とかなり違う。
ミサ通常文に添えられた音符は、心に染み入る静かな訴えと都会的なスマートさを兼ね備えていて実に素敵。伴奏は管楽器のみで、いかに弦楽器が悪魔的な響きをしているか、如実にわかってしまうシステムに戦慄。そして旋律の線はここに至っても溶け合うことのない束感を醸し出しており、しかも厳しく並列的で、ここでは特に演奏者ストラヴィンスキーと作曲者ストラヴィンスキーの幸福な一致をみているようです。名演だと思う。

最後に、ナレーション付きで《大洪水》の先駆けのような《バベル》。こちらはたった5分のために語り手と合唱とオケが必要なので実演は絶望的か。ストラヴィンスキーの宗教作品だけ集中的に集めたコンサートは、面白いだろうなあ。でも人は集まらないだろうなあ。
by Sonnenfleck | 2007-12-24 09:06 | パンケーキ(20)

今年はこんなの聴きましたランキング'07<コンサート編>

忘年会も終わったし、そろそろシメなきゃならんでありましょう。
今数えたら2007年は34回のコンサートに出かけています。ただしラフォルジュルネの公演で水増ししてるので、数自体は例年に比べてかなり減少してますねえ。。2005年はモスクワ室内歌劇場のショスタコーヴィチ《鼻》、2006年はアーノンクール/CMWの《メサイア》が1位をさらっていきましたが、果たして今年は!

10位■ブリュッヘン/新日本フィル トリフォニー・シリーズ(1月)
→結局どのように捉えたらよかったのか、今でもわからない。

9位■武本京子ロマンティック室内楽 第2回「ピアノ五重奏の魅力」(9月)
→シューマンよかったッス。

8位■【LFJ】ダニエル・ロイスのストラヴィンスキー《結婚》(5月)
→メタリック。

7位■バッハ・コレギウム・ジャパン《エジプトのイスラエル人》@初台(11月)
→カエル。

6位■名古屋フィル 第333回定演(2月)
→沼尻氏のマラ6。名フィルの底力を聴いた。

5位■ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団@豊田(11月)
→贅沢したーという印象だけが核として残っているのが徐々に判明してきました(12月)。

4位■ドホナーニ/北ドイツ放送交響楽団@名古屋(5月)
→ドホナーニ先生最高。

3位■バッハ・コレギウム・ジャパン《ヨハネ受難曲》@名古屋(4月)
→ヨハネの烈しさをまざまざと見せつけられました。および浦野さん萌え。

2位■「武満徹を聴く、武満徹をうたう」コンサート その1その2(1月)
→武満のエッセンスを煮詰めた、最高に素晴らしい2時間だったと思う。本当に。

1位■バッハ・コレギウム・ジャパン《ロ短調ミサ》@名古屋(10月)
→BCJ的にはこれでもまだ通過点にすぎないんじゃないかと思われます。

以下選外ながら印象に残ったもの。
アファナシエフ Pfリサイタル(12月)
有田正広 レクチャーコンサート@宗次ホール(7月)
名古屋フィル 第337回定演(6月)
【LFJ】アントニア・コントレラスのファリャ(5月)
【LFJ】カルテット・ヴェーネレのバルトーク公開レッスン(5月)
名古屋フィル 第335回定演(4月)
グリーン・エコー第50回演奏会 《ミサ・ソレムニス》(3月)


今年は、行けて満足な公演よりも行けなくて悔しかった公演のほうが強い印象を残していて、そういう意味ではランキングに負のオーラが漂っている気がせんでもないですが。。《モーゼとアロン》とか、目白のガッティとか、日比谷のショスタコとかね。。

さてさて来年は名フィルの大爆発元年として長い間記憶される一年となるでしょう。日本のプロオケの中では間違いなく、最も前衛的でぶっ飛んだプログラムが組まれていると思う。発表当時「未定」だった08年5月定期のトロンボーン協奏曲が、ロータとマルタンの2本立てにパワーアップしましたし。皆勤狙いますよう。
by Sonnenfleck | 2007-12-22 09:15 | 演奏会聴き語り

英国式指揮、英国式四季

プロコフィエフ熱は、導火線が湿っていて爆発しませんでした。またの機会。

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●ディーリアス:《春はじめてのカッコウを聞いて》
●ブリッジ:《春の訪れ》
●フォールズ:《4月―イングランド》
●ブリッジ:交響詩《夏》
●グレインジャー:《収穫賛歌》
●バックス:《11月の森》
●ブリッジ:クリスマス舞曲《サー・ロジャー・ド・カヴァリー》
⇒サー・ネヴィル・マリナー/アカデミー・オブ・セントマーティン・イン・ザ・フィールズ

97年発売→廃盤。本当は今年の6月にオーストラリア・エロクァンスから再発された2枚組が手許にあって、こういうジャケットなんですが、風情がないので初出時のジャケットをUPしてみました(ちなみに2枚組のもう1枚はジュリアン・ロイド=ウェッバーの「ブリティッシュ・チェロ・アルバム」>>こっちはちゃんと聴いてないので感想省きます)。
イギリス音楽、それも僕のような初心者からするとヴォーン=ウィリアムズやエルガーほどには親しみが湧かない名前がずらりと並んでて、聴くに当たってはちょっと身構えてしまいます。四季折々の風情を元にしたプログラミングなのでイメージ化は容易ですけどね。

奇数トラックには比較的親しみやすい、英国初心者からすると「英国音楽らしい」ナンバーが並んでおり、ほっと和むわけですが、反対に偶数トラックのブリッジ→ブリッジ→バックスのコンボはいかにもエグみが強い。。
しかしブリッジって面白いんですねえ。「ブリテンの先生」だけではもったいない。
カッコよく決める技をたっぷり持っていて、しかもそれをシュトラウスみたいに全開にせず、少しずつもやもやと小出しにしながら、おまけにそこへスパイスを多めに効かせることまでやってのける。マリナー/ASMFの「出来すぎた」響きがよく似合う。ここでは誉め言葉です。

バックス《11月の森》は厳しい音楽。北国属性をくすぐる。
雨が雪になる直前の高い湿度がじわっと伝わって来、空は灰色、風邪は強いけれども濡れた落ち葉は絶対に舞い上がったりしないわけです(ここポイント)。ときどき雷が鳴る。
…やっぱトゥッティが揃いすぎてるなあ。北国のイデアという感じがする。
by Sonnenfleck | 2007-12-21 07:14 | パンケーキ(20)

機械の周りで楕円の軌道

c0060659_6305945.jpgストラヴィンスキーの《ペルセフォーヌ》を聴いていて、Vnがフラジオで裏返りながら狂ったような美しさを放つ場面があり、はてこの裏返りはどこかで聴いたなあ…と苦悶すること3日。

昨晩、帰宅途中にようやく、それがプロコフィエフの交響曲第3番ハ短調の第2楽章の中間部だということを思い出す。東京にいた最後の冬から春にかけて、プロコフィエフにはどっぷりとはまり込んでいて、あのころは特に第3番を何度も聴いた。

ソヴィエト=ロシアの作曲家星系で言うと、自分は普段ショスタコーヴィチの周りで円を描いて廻っているつもりですが(最近はストラヴィンスキーの引力が強い)、プロコフィエフについてはそうではないらしい。つまり、接近するときはぶつかりそうなくらい近くまで吸い寄せられちゃうのに、いざ離れるとどこまでも縁遠く、まったく聴かなくなってしまう。この作曲家へののめり込み期は何年かに一度しか巡ってこないみたいなんですよ。

風邪を引く前の予感みたいなものがぞわぞわっと来たので、とにかくロジェヴェン先生の全集を開けて、第3交響曲と第6交響曲が入ったディスクを取り出して聴きました。これら2曲は特にそうだけれども、高度な抒情と残忍な破壊が同時に存在してしまうのはプロコフィエフならではの「矛盾」であり、これはほかの作曲家ではあまり実感できない。破壊は抒情の反対ではない、という秘儀を遠慮なく使ってしまうのがプロコ。

というわけで、同じくロジェストヴェンスキーによるプロコフィエフ管弦楽曲集(秘曲多し)が完全復活を遂げるようなのでリンク張っときます。かつてRUSSIAN REVELATIONなんかでせっせと集めた曲たちが復活するとあっては捨て置けず。
by Sonnenfleck | 2007-12-19 06:32 | パンケーキ(20)