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池袋西口公園城への神々の入城

さて、新装なった芸劇へのデビュー戦は、9月9日のコバケン/日フィル。

最後に芸劇に行ったのは震災直前の2011年1月、新交響楽団の第212回演奏会であった。そのときの感想文には、
さて、これが休館前の最後になるかなあ。
現・芸劇、、色づかいは寒色系で寒々しいし、トイレは暗いし狭いし、椅子は安くてギシギシいうし、音は遠くてスカスカだし、いい演奏でも7掛けされちゃうようなひどい空間でしたね(ショスタコーヴィチとかシベリウスを聴くにはよかった)。いくつかのいい思い出もありますが、個人的にはここに行くと頭痛がしたり寒気がしたりで、あんまり積極的には近寄りたくない場所だったな。大改装を望むものです
と書いてあるが、解決されたもの、されないもの、それぞれだ。
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↑虹の橋ならぬ空中エレキ階段は、噂どおりL字型に設置し直し。それでも高いところが怖い人間的にはお尻のあたりがヒュンヒュンする。

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↑ホールの内装はかなり現代的に、言い換えれば、温かい気持ちで演奏を見守れるように進化した。座席の色は青から赤に、壁は木目が強調され、金管が反射して安っぽかったステージ脇には照明と反響用構造物が新設。

↑ホールの響きは肉厚になったような気がした。コバケン/日フィルだったからかと思ったが、その後にインバル/都響を聴いても似たような雰囲気を感じた。最終的な判断はアルミンク/新日フィルのベートーヴェンなどを聴いてから考えたい。

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↑以前、3階ホワイエからは池袋北部の混沌とした街並みが見えていたが、窓全面にスモークが貼られて、刺激がマイルドになった(豊島清掃工場の煙突もぼやけた)。白いスモークなので雰囲気も明るい。テーブルも増えた。

+ + +

それから、写真はないけれども、池袋駅とつながっている地下ホール。以前は変な噴水や自動販売機、硬いベンチなどが配されて池袋らしいオーラを出していたが、改装で全部撤去され、やわらかベンチのある暖色系の明るい空間になった。平成初期の様式はこうして消滅していくのね。。

残念なのは、あの暗くて狭いトイレが改装されたようには見えず、目に入るだけでおなかが痛くなるような寒々しい紺色の衛生陶器がそのままだった点。トイレ内装は各ホールごとに個性があるけど、芸劇はリフォームしても都内最低ランクを堅持する。ファーゾルトもファフナーもそこには気づかなかったようだ。ごーん。

※ちなみに僕が知るかぎりもっとも美しいトイレを持つのは、名古屋・栄にある宗次ホール。豪奢にして陰翳を礼賛してゐる。さすがカレー屋さんのホールである。
by Sonnenfleck | 2012-09-29 08:04 | 演奏会聴き語り

室内の聖なるメガネのために

c0060659_551209.jpg【DECCA/4669642】
<ヴィヴァルディ>
●ニシ・ドミヌス RV608
●弦楽のための協奏曲へ長調 RV141
●モテット「明るい星々よ、煌きたまえ」RV625
●弦楽のための協奏曲ハ長調 RV109
●モテット「あなた方の聖なる君主のために」RV633
●サルヴェ・レジナ RV616
⇒アンドレアス・ショル(C-T)
→ポール・ダイアー/オーストラリア・ブランデンブルク管弦楽団

たまにこう、むらむらっとヴィヴァルディが聴きたくなるじゃないですか。今やわれわれにはたくさんの選択肢があるけれど、今日はショルの美声に耳を傾けよう。

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ヴィヴァルディのこまごましたソロ用モテットを集積したこのディスク、iPodに入れて外で聴いているときには全然いいと思わなかったんだよねえ。線が細くて。

しかしたとえば休日の夜に灯りを落として聴いていると、歌い手とオーケストラが静かに堅く結合して、まるで蝋燭の火に照らされる宋代青磁のように透き通った碧を示していたのがわかる。ダメだねえ外でばっかり聴いてると。外は濃口がよく映えるものだから、薄口の旨みがわからなくなってしまう。

ショルはたとえばヘンデルのアリアで彼が聴かせるものより、もう少し観念的な作り込みを心がけているようである。それは人間の声のえぐみや臭みを蒸留して、つるりとした無生物的嫋やかさを保つような歌い方。ヴィヴァルディの明るい旋律線と化学反応を起こしていて面白い。

また、オーストラリア・ブランデンブルク管の品格のあるアンサンブルが「宋代青磁」の出現に深く寄与していることも書き落とせない。
この古楽オケの名前から漂ってくる辺境感は凄まじいが、それに反して音楽の作り方は洗練の極みといえる(昔NHK-FMでライヴを聴いたことがあるような気がしているものの、詳細は思い出せぬ)。通奏低音なんか硬く薄く引き伸ばされていて、この系統のヴィヴァルディは流行のものと違う。BCJのヘンデルといい、メインストリームからの距離は独自の進化を生み出すのか?
by Sonnenfleck | 2012-09-26 05:53 | パンケーキ(18)

檜原村詣記

今年の夏休み旅行その2。日帰りだけどね。

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◆9月7日(金)
07:00 起床。東京地方は天気予報どおりの快晴。きっと奥多摩も登山日和である。

09:57 JR拝島駅から五日市線に乗り、終点のJR武蔵五日市駅へ到着。
      ・五日市線は合理的な手動ドア方式。都心でも導入すべきだよなあ。
      ・武蔵五日市駅に接近するにつれ、どんどん山あいに。
      ・駅前もどこかの高原駅のような趣き。神戸屋もある。

10:05 JR武蔵五日市駅から西東京バスで檜原村中心部(本宿役場前)へ。
      ・村中心部へはバスで20分ほどだが、車窓がどんどん深山幽谷に。
      ・村のメインストリートは予想を大きく上回る村っぷり。
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10:30 檜原村役場でガイドマップを入手。
      ・本当は観光案内所に行こうとしたのだが、どうしても見つからず。
      ・役場のお兄さんがとても優しい。

11:00 まずは役場から徒歩圏内にある「払沢(ほっさわ)の滝」へ。
      ・夫婦に家族。驚くべきことにDQN集団も。風流系DQN。
      ・滝は小体ながら姿が美しい。古典派の交響曲みたいだ。
      ・日本の滝百選、東京都からの唯一の選出。
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11:30 さて払沢の滝駐車場奥から、いよいよ登山道が始まる。
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↑今回の登山ルート。ちょっと見づらいが、全長10キロくらい?
↑ていうか村のサイトに「軽くハイキング人気の浅間尾根」って書いたひと、許しませんからね!信じてエラい目に遭ったわいな!
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↑ガイドマップの登山道の形状を見て気づくべきだったかもしれないが、踏み出してすぐ、急峻な九十九折の登り道が連続する。日なたはムッとするし、草いきれもすごいので汗はダラダラ。。そのまま15分くらいでこの眺望。

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↑フシグロセンノウ(というのを帰ってから調べた)。

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↑そうこうするうちに突然、大山祇神社が現れる。うーんやっぱり旧い山道なんだなあ。うちの会社の屋上にはなぜか大山祇神社があるのだが、なんとなしにご縁を感じて参拝。しかし息も絶え絶え。

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↑神社を過ぎると一旦、沢に下りるような格好になるのだが、このあたりのじめじめは熊野古道そっくりである。苔むした石畳の歩き難さまで一緒だ。

↑しかしアブやブヨ、ヤブ蚊のような陰気な昆虫たちの襲撃が多いのにはかなり閉口した。座って休んでいるとすぐに耳元にアブが飛んでくる、立って休んでいるとヤブ蚊、これでは休憩できない!仕方なく最初のパンは歩きながらもぐもぐ。

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↑やがて浅間嶺てっぺんの休憩所へ。おにぎり食す。このへんから雰囲気が暗くて面白い。雲が出て日が陰ったからからなあ。

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↑人里と書いてあるが、辿っていっても恐らく深山である。これで「へんぼり」と読むんですね。何か由来があるのでしょう。

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↑路傍のお地蔵さんは旧い道の証。背中の汗がじっとり冷たい。

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↑道中の案内板にはさかんに「ここは甲州街道の裏道、昭和初期まで牛を牽いて往来があった」なんて書いてあるけど、どうだろうかねえ。今ではこうやって道が崩れている箇所もあり、なかなかスリリング。

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↑「一本杉」を過ぎるとやがてだらだらした下り坂に。足下は砕けた石畳で、これがいちばん膝に来るのは熊野で経験済み。

14:45 「浅間尾根登山口」バス停へゴール!
      ・最後にきわめてしつこいブヨに付きまとわれる。
      ・昆虫が多いのはこりごり。今度は晩秋とかに挑戦したい。

15:00 近くの「和馬の湯」へ驀進。ぐったり入浴さっぱり休息。
      ・ビール!
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16:16 武蔵五日市駅に向かうバスに乗り込み、帰宅。

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帰宅してから、自分の生活圏との近さにあらためて驚く。自宅からはみなとみらいホールと檜原村がほぼ同じ行程時間を要求するというショッキングな事実。関東の皆さん、檜原村は(案外)近いですよ!
by Sonnenfleck | 2012-09-24 05:57 | 日記

コバケン・ザ・ワールド vol.2@東京芸術劇場(9/9)そして時は動き出す…

c0060659_5381035.jpg【2012年9月9日(日) 14:00~ 東京芸術劇場】
●チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 イ長調 op.33
 ○新井満/編曲者不詳:《千の風になって》*
→遠藤真理(Vc)
●ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調 op.47
⇒小林研一郎(Pf*)/日本フィルハーモニー交響楽団


予想どおり、誠実で真っ当な第5の演奏だった。
第2楽章ですら、下品なフレージングやアーティキュレーションが注意深く避けられているのが興味深い。第3楽章の歌い込みは予想に反して抑制的だったし(それゆえに等身大の真実味のようなものが漂っていた)、第4楽章の躊躇しない快速テンポは小気味よい。これ、誠実で真っ当と表現して何がいけないだろうか。

味つけの局所的なコバケン化は、現在、本家以外の指揮者やオケでむしろ如実に進んでいて(これはなかなかショッキングな事実ではありませんか皆さん?)、本家はいつのまにか安心して聴けるような存在になったようだ。僕たちはこの事実にしっかりと気がつくべき。べきですか?

改めてどこかで書くかもしれないが、ショスタコーヴィチの5番や12番に疑わしげな表情をたくさんぶら下げるのは、かえって無粋な行為じゃないかという気がしてきている。あるいは、そうした懐疑精神には自分は疲労感を覚えるようになったと言えばいいかな。パーヴォ何とかのチャラチャラしたショスタコより、この日のコバケンのほうがより今の僕の好みに近い。

ところで残念なことに、日フィルはラザレフ親分が振るときのような注意深さを忘れて、何年か前の「奔放な」合奏に戻っていたが、これはいただけない。コバケンがアンサンブルの練磨にそれほど興味を持たないことをいちばんよく知るのは日フィル自身なのでは。彼の監督下から離れた今、オケが取り組むべきは「彼と一緒になったときでも昔に戻らない」アンサンブルの自己陶冶かもしれない。

前半のチャイコフスキーについてはあんまり語るべき言葉を持たない。ロココ的気分以外の何かを乗せられるくらい、懐の広い作品とは思われないのです。
アンコールはVcソナタ版《千の風になって》。見渡すホールのオチコチで、おっちゃんおばちゃんが泣いてたよ。みんな洟すすってたのよ。10年前の自分ならこの選曲は許せなかったが、今はこれもありだなあと感じる。

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時が動き出した新しい芸劇については、また別のエントリで。
by Sonnenfleck | 2012-09-21 05:43 | 演奏会聴き語り

シナイスキー/東響 第603回定期演奏会<大衆系タコ4の勝利>@サントリーホール(9/15)

c0060659_5471721.jpg【2012年9月15日(土) 18:00~ サントリーホール】
●モーツァルト:Pf協奏曲第27番変ロ長調 K595
 ○同:Pfソナタ第16番ハ長調 K545~第3楽章
→デジュー・ラーンキ(Pf)
●ショスタコーヴィチ:交響曲第4番ハ長調 op.43
⇒ヴァシリー・シナイスキー/東京交響楽団


インバル/都響からのタブルヘッダで、シナイスキー/東響を聴くため池袋から溜池山王へ。土曜の18時開演ってもっと増えないかなあといつも思ってます(都響の感想文は後ほど)。

シナイスキーは少し前に読響?でタコ5を振ったときの評判が微妙だったのが印象に残っているくらいで、これまであまり意識したことがない指揮者だったんだけど、この日はまさしくもその認識が改まることになった。

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まず先にショスタコーヴィチから。
僕はこの日、シロフォン・グロッケン・銅鑼の後方1メートルという、P席の変な場所で聴いていたので、シナイスキーの姿をよく観察することができたのは大きい。
彼は指揮棒を持たないスタイルで、一見するとかなり大雑把なオーラが出てるのだが、それは世を忍ぶ仮の姿。本当のシナイスキーはバランス感覚に優れた、非常に身軽な指揮者ではないかというのが今回の印象である(ラザレフと似ているようで正反対、という指摘をTwitterで見かけたが、まさにそのとおりと思う)

この交響曲はたぶん、現代のたいていのオケならスコアどおりにニュートラルに構築することができ、事実その方向でひとつの到達点を示す演奏も出ている(サロネン/LAPh)。
でも、そうしたとき、シナイスキーのやり方が示唆に富んでいることに僕たちは気づくべきだ。

シナイスキーは、同じように中立性を放棄する故ロストロポーヴィチ氏的な立場とは逆から、中立的な構築を止めている。それはすなわち、この交響曲を軽快で直截で混乱した組曲として捉えるということで、実はコンドラシンの第4演奏ととてもよく似たやり口なんである。

例えば第1楽章の巨大な音量やエグいパッセージを、シナイスキーは身軽で鋭角的な表現で塗り固める。音価を短く取って凝縮させた冒頭の下行音型や、再現部の軽薄で喜遊的な表現などその最たるものだし、カッコー動機の潰れて掠れたような描写も面白い。この交響曲は「デジタルでハイパーでスマートな、ディストピア的超絶技巧フルオーケストラ」によるのでなければ、このようにまったく逆の、大衆演芸的可笑しさと濡れた刃物のような鋭さでもって表現されるのが好みだ。

第2楽章こそ、マーラーを基礎に置いた最近の若い指揮者がやりがちな毒々しい装飾から自由だったものの、第3楽章では再び、この作曲家の映画音楽と《鼻》をブレンドしたような、グロテスクの一大マーケットが開かれていく。お師匠コンドラシンが初演した交響曲をこうして東京で振る、弟子シナイスキーの胸中やいかに。

第3楽章以外にも、全曲にわたって東響のプチ重厚な音色が活きる場面のほうがずっと多かったが、シナイスキーの「もっと!もっとやれёёёёё!」みたいな指示に対しては、大谷コンミス以下、ちょっと行儀が良すぎるナアというところもごく僅かながら見受けられたのはちょい心残りなポイント。東響の小体な魅力は全能ではない。17日のみなとみらい公演ではどうなっていただろうか。

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さてさてこの日は、前半のモーツァルトもたいへん素敵であった。

録音で聴くバルシャイやソンデツキスのモーツァルトとまさしくも同様の、ちょいとオフホワイトめの可憐な音楽づくりに、しぶとく生き残っているソヴィエト楽派の鉱脈を聴き当てる思いがする。編成はショスタコの4分の1以下だけど、ピリオド風のアプローチは一顧だにしない潔さ。ラーンキの澄んだ詩趣と最高度に合致して、呆然とするような名演に。
こういうモーツァルトもきっと、あと20年くらいしたらライヴでは聴けなくなってしまうのだろう。
by Sonnenfleck | 2012-09-18 05:55 | 演奏会聴き語り

ペトルンカムイ43度(後編)

承前(前編中編)。

◆9月3日(月)続き
14:00 900草原から再び北上し、アトサヌプリ(硫黄山)へ。
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↑訪れるのは3度目か4度目だが、晴れ状態は初めてである。地獄感が増してる。

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↑空の蒼と硫黄の対比が著しいうえに、これまでより噴煙がきつい。加えて岩石からの照り返しが激しく、涙と洟が止まらない。足下には温泉がぐつぐつ湧く。

↑そして初めて、有名な「露天の卵売り爺」と出会うことができて感慨深い。噴煙口のすぐ脇にゴザを敷いて温泉卵をひさぐ爺の、「た~まーごぉー」という哀れっぽい声が青空に響き渡るのである。ああ硫黄が目に染みらあ。

15:00 いよいよマシューの湖へ。
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↑道東総決算にしてついに、摩周湖の不気味さに気がついてしまう。摩周湖第3展望台は、土産物屋がやかましい第1展望台と異なりたいへん静かな峠の上にあるのだが、それにしても刺すような静寂と、湖面を渡ってから吹き上げてくる冷ややかな風に、これまでにない恐怖を感じる。

↑展望台から降りて屈斜路湖とアトサヌプリを望む駐車場に戻ると、急に夏風と陽光と鳥と蝉の声が戻る。ああ。なんだろうこの感じ。神威だ。

16:00 這々のていで摩周湖から逃げ出し、養老牛温泉「湯宿だいいち」へ爆走。
      ・FMのさもないおしゃべりやのろのろトラックが温かい。
      ・養老牛温泉の周りはのどかな牧草地帯が続く。
      ・「湯宿だいいち」はこれまで泊まった他2軒に比べ、格段に大きい。
      ・大きくてモダンだ。よりはっきり言えば、人為の極みだ。
      ・宿の人びとのホスピタリティが高い。不思議なくらい。
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↑部屋はなんとメゾネット。人為人為。

      ・食事も美味しいし、温泉もよく設計されていて満足するしかない。
      ・ここに感じる一抹の不満はなにか。
      ・それが、僕が道東に求めているものの正体である。
      ・夜半の露天に浸かって恋しく思う、自然からの併呑感。
      ・摩周湖の神威と、それはほとんど同義なんである。
      ・お湯は身体の延長のような気がするが、錯覚だ。
      ・養老牛の真っ暗な夜の森。
      ・今年はシマフクロウの豊かなバスが聴こえない。

◆9月4日(火)
06:30 起床→ちょっと雨→朝風呂→朝食→食べ過ぎ。
09:30 最後の目的地「標津サーモン科学館」へ。
      ・ここも毎年来てるなあ。
      ・標津川の断面をそのまま見られる面白水槽がある。
      ・公開9月~なので毎年見られなかったが、今年は見られた。
      ・気の早いサケやマスがガンガン遡上している。
      ・やつらは飼われていない自然のサカナたちで、顔が恐い。
      ・ドクターフィッシュやベスカルに、今年も(嫌々)触りました。
      ・ベスカルの様子に興味があれば、こちらのブログが詳しいです。
      ・そして急に氷雨になり、気温急降下。これこそ道東クオリティ。

11:30 併設のレストランで早めの昼食。
12:45 中標津空港着。
13:55 中標津発 ANA840便 羽田行きに搭乗。
      ・エアバスのすんごい小さな機体に変更になってて焦る。
      ・揺動激烈。軋む機体。
      ・「翼の王国」の定期購読方法を教えてください誰か。

+ + +

2009年コタンクルカムイ、2011年カムイヌプリ、そして2012年ペトルンカムイで、ひとまずカムイ三部作は幕を下ろします。神威の土地・道東。新カムイ三部作は道北の島嶼部や原野なども視野に入れつつ、いずれまた。
by Sonnenfleck | 2012-09-16 00:14 | 日記

ペトルンカムイ43度(中編)

承前

◆9月3日(月)
07:00 起床。湿原の濃霧が木々の枝に触り、雨粒となって屋根を叩く。
      ・「とうろの宿」にテレビはない。
      ・そのかわり優しいロックやジャズを小さな音で流してくれる。
      ・近在のニワトリが鳴く。
      ・ベッドでぼんやりする。
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↑室内。ドームハウスなので天井は円く、高い。

08:00 食堂で朝食。われわれのほか3組のお客あり。
      ・奥さん手作りのとうもろこしパン、オムレツ、サラダ。
      ・コーヒーもさりげなく美味しい。なんという幸福だろう。
      ・ほかのお客たちも静かで、なんとなく友だちになれそうな雰囲気。
      ・わざわざここに泊まるわけだからね。
      ・霧の湿原を見渡しながらのんびり食事。

10:00 ゆっくり準備して出発。霧が晴れていく。
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↑釧路湿原から一時間くらい交替で運転しつつ、まず屈斜路湖。北上するにつれ空は蒼みを増す。道東歴を重ねてきたが、こんなにカラリと晴れ渡ったのは今回が初めてである。屈斜路湖も人がいない側は好いね。相方さんと水切りで遊ぶ。


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↑それから少し南に戻って900草原へ。前回の900草原はたしか最悪の寒曇天だったが、今回は相変わらずの晴れだ。上は雌阿寒岳・雄阿寒岳方面、下は昨年登った西別岳・摩周岳。遠くから満足して眺める(英雄の隠遁と完成)。

↑昼食にレストハウスのえぞしかバーガー。給仕の兄ちゃんが羽海野チカのマンガに出てきそうな中性的メガネ美青年で、密かに驚きながらじろじろ見てしまう。

後編に続く。
by Sonnenfleck | 2012-09-12 22:43 | 日記

ペトルンカムイ43度(前編)

◆9月2日(日)
08:55 羽田発 ANA741便 釧路行きに搭乗。
      ・空港に着くまでにゲリラ豪雨に遭い、ずぶ濡れ。
      ・しかし予想に反し飛行機はあんまり揺れず。
      ・近くの席に声の大きい笑い上戸オバハンがいて困る。

10:45 釧路空港着。オリックスレンタカーでクルマを借りる。
      ・フィットハイブリッド。プリウスほどクォーツ感がなく嬉しい。
      ・釧路市街を抜け、塘路湖畔のキャンプ場へ向かう。
      ・途中で昼食の調達に失敗。仕方なく塘路駅前でいもだんご。
      ・いもだんごumeeeee.
      ・駅舎カフェのおっさんは相変わらず商売っ気がなくて可笑しい。
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13:00 この日宿泊する「とうろの宿」主催のカヌーツアーへ。
      ・「とうろの宿」は2005年夏以来2回目。小さくて素敵な宿。
      ・宿のオーナーさんがカヌーツアーも運営されていらっしゃる。
      ・僕らは「基本コース:塘路湖~細岡カヌーポート」を選択。

      ・集合場所に着くとすでにオーナーさんご夫妻の姿が。
      ・ライフジャケットを貸してもらい、装備。
      ・オーナーさんがクルマの屋根からカヌーをぐっと持ち上げ、着水。
      ・格好いい。
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↑この日のルート。塘路湖に漕ぎ出したわれわれは、アレキナイ川を経由して釧路川と合流、JR釧網本線・細岡駅近くのカヌーポート目指して3時間の舟旅―。

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↑舟上から望む塘路湖。僕が先頭、相方さんが真ん中、オーナーさんが後尾で舵取りというスタイルで漕いでゆく。パドルは一人一本。

↑最初は水深など気にして落ち着かないものの、案外軽やかに進むのでそのうち楽しくなってくる(オーナーさんの力かもしれないが…)。湖にはアイヌの貴重な食料だったベカンベ(菱の実)が群生している。

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↑釧網本線の下をくぐり、アレキナイ川へ。川幅は狭く、岸辺にはヤナギにハンノキ。ときおりカモが日向ぼっこしている(ご覧のとおりこの日は快晴)。日差しはきついが風が吹けば涼しい。

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↑アレキナイ川はやがて釧路川と合流。釧路川は川幅が広いのがわかりますか?岸辺の風景もちょっと変わる。ホバリングするトンボたち。

↑疲れてパドルを漕ぐのをやめると、人間の音は本当に何も聴こえない。必要十分なガイドをしてくれるオーナーさんも、そんなときはこちらの様子を見ながら同じようにパドルを引き上げ、沈黙の時間を作ってくれる。

風の音、川の流れ、鳥の声。この小さな舟に乗るために僕は北海道を訪れ続けてきたのかもしれない。ふと涙が出てくるが、後ろの二人には気づかれない。

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↑浅瀬で舟上のティータイム。オーナーさんが魔法瓶から熱い紅茶を注ぎ、奥さんお手製のバナナマフィンとともに振る舞ってくれる。至福の時間。

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↑美しい時間。

16:00 ゴール!そのまま「とうろの宿」へチェックイン。
      ・感覚と身体の運動にくたびれてしまい、しばしゴロ寝。
      ・マンガみたいな日焼けをしてしまった。

18:00 宿近くのイタリアン「Prezzemolo」へ。
      ・夏季は夕ごはんのない「とうろの宿」。近くにレストランあり。
      ・牡蠣のオイルパスタが猛烈に美味。サッポロクラシックが進む。
      ・ごちそうさまでした。
中編に続く。
by Sonnenfleck | 2012-09-08 14:44 | 日記

なつやすみのとも2012―2

【旅程】
◆07日(金) 拝島→武蔵五日市→檜原村→山歩き→数馬温泉センター

【大きな楽しみ】
・東京都檜原村の大自然っぷり。
・峠越えのあとの温泉。

【旅のお供】
・串田孫一『山のパンセ』(岩波文庫)続き
・RICOH CX2

夏休み旅行その2。行ってきます!
by Sonnenfleck | 2012-09-07 09:20 | 日記

תהילים脳電



Steve Reich TEHILLIMをVocaloidに歌ってもらいました(PART1&2)

これまでできるかぎり追跡してきた、ボーカロイドによるミニマルミュージック・カバーのなかで、これは最大最強の成功作かもしれない。この音源がiTunesストアで売られてたら、僕はフツーに買うだろう。こんな美的状況が生まれてくる豊饒さに、日本の電脳の底力を感じる。
by Sonnenfleck | 2012-09-04 20:38 | 広大な海