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on the air:アントニーニ/イル・ジャルディーノ・アルモニコのハイドン@スロヴェニア

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【2011年9月9日 スロヴェニア・マリボル ユニオン・ホール】
●ボッケリーニ:弦楽五重奏曲ニ長調 op.40-2 G341
●ハイドン:Vc協奏曲第2番ニ長調 Hob.VIIb/2
 ○ソッリマ:インプロヴィゼーション?
→ジョヴァンニ・ソッリマ(Vc)
●ロカテッリ:合奏協奏曲変ホ長調 op.7-6《アリアンナの嘆き》
●ハイドン:交響曲第63番ハ長調 Hob.I:63《ラ・ロクスラーヌ》(第2稿)
⇒ジョヴァンニ・アントニーニ/イル・ジャルディーノ・アルモニコ
(2013年7月24日/NHK-FM)


ボッケリーニ。サヴァールの洒脱な大人ボッケリーニを知っているわれわれには、イルジャル好みに統一されたヤンキーボッケリーニはかえって格好悪いように聴こえるのだよなあ。とげとげとげ。
かねてからボッケリーニの作品は(たとえばベートーヴェンほどには)演奏者に「解釈」を許さないのではないかと思っている。魚が描いてある魯山人の絵皿にサイコロステーキを載せても仕方がないように、器に正しい料理を載せることはとても大切。

ハイドンはボッケリーニに比べて劇的に器の汎用性が増すので、アントニーニがやりたいように料理をつくっても音楽は耐えうる。
イルジャルのハイドンって初めて聴いたような気がするんだけど、溌剌とした第1協奏曲ではなく、バロックの優雅の裾を引きずった第2協奏曲で意外なマッチングを見せているのが面白い。優雅の裾の下にすね毛のいっぱい生えたごつい通奏低音を利かせているけれど、足はけっして裾から出てこないのがアントニーニの巧みさなのかも。ソッリマ(この作曲家氏の演奏実践も初めて聴いたな!)のなよっとして腰高な歌い回しを上手に支えている。

ソッリマのアンコール、NHKの番組表では「オリジナルのテーマによる変奏曲」とされていたけど、インプロヴィゼーションではないだろうか?明らかに直前のハイドンを元にした主題が上手に変奏されてた。

+ + +

さて後半。ロカテツのこの作品はちゃんと聴いたことがなかったなあ。
解説の方が話していたように、グロッソの名前を持っているくせにほとんどソロコンチェルトという詐欺みたいな曲ですが、コレッリではなく完全にヴィヴァルディに変質しているこのころのロカテッリにはイルジャル流のアプローチがよく合います。空間に溶けるようにしてぼやっと終わってしまった。ソロVnはオノフリ?

最後のハイドンは、名曲の名演奏だったと思う。
本当にここ最近、ハイドン不感症が治療される糸口が見つかり始めたんですが、ハイドンの1770年代に素材を求めることができるこの交響曲には、エマヌエル・バッハの残響がたくさんこだましているのがすぐにわかる。アントニーニ/イルジャルはもっとエマヌエル・バッハやクリスティアン・バッハをやればいいと思っている僕には、ここで示されている「チャラめな高校サッカー部員」みたいな運動能力の高いハイドンが心地よい。

それから、Vc協奏曲で感じられた「バロックの優雅の裾」の処理が、ここでも適切に行なわれているのが好ましい。第2楽章のある局面では、むしろその先のベートーヴェンの緩徐楽章にすっと繋がっていく理性の光も見える。以前よく聴いていた彼らのベートーヴェン録音(第1・第2)よりもその意味ではベートーヴェンらしい。アントニーニが少しずつ変わってきているのかな。。
by Sonnenfleck | 2013-07-25 23:11 | on the air

アデオス・アントーニオ!

c0060659_2142430.jpgふと気がつくと、ヴィヴァルディ・エディションがラックの中で増殖し続けている。なんというホラーでしょう(笑)
ヴィヴァ党でない僕がkimataさん@naive番長(スイマセン)を差し置いて感想文を書くのは気が引けますが、、元不良チェロ弾きとしては大いに気になっていたクリストフ・コワンの新録、ヴィヴァルディのチェロ協奏曲集を買いました!(もちろん同時リリースのマンドリン&リュート協奏曲集もゲット。)

c0060659_2144170.jpg比較対象として文句ないのは、94年に録音された「ヴィヴァルディ ヴァイオリンとチェロのための協奏曲集」(TELDEC)。今回の新譜と同じく、コワン+オノフリ+アントニーニ/イル・ジャルディーノ・アルモニコというメンツで演奏されたこの13年前のヴィヴァルディですが、新譜とこれが劇的に異なる点を挙げるとすれば、アントニーニとイル・ジャルがその恣意的なスタイルを止めたという点に尽きるような気がします。
もちろん、同じ曲が演奏されているわけではありません。94年録音のほうは恣意的な身振りがしっくりくる元気のいい曲が選ばれ、06年録音のほうはコワンの上品な甘みが生きるしっとりした曲が集められている。しかしそれにしても、イル・ジャルの特色であった派手なアクセントや楽音以外の音への愛が薄れるいっぽう、線が細く鋭い静けさが新たに漂っているのですよ。アントニーニが変わったか、イル・ジャルのメンバーが丸くなったか、あるいはコワンの世界に引き寄せられているのか。
期待とはずいぶん違う演奏なのですが、、かつて札付きのワルだった男がその凄味を内側に残したまま年を重ねたようで、非常に魅力的な音盤になっております。緩徐楽章を聴かせるヴィヴァルディって素敵ですね。最後のRV421のラルゴが、なんとも素晴らしい泣き節。。
by Sonnenfleck | 2007-04-23 21:23 | パンケーキ(18)