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on the air:ブロムシュテット/パリ管のブル8|ブルックナー・ダッシュターボ(9/27)

【2012年9月27日 パリ・サルプレイエル】
●ブルックナー:交響曲第8番ハ短調
 ○同:交響曲第2番ハ短調~第3楽章
→ヘルベルト・ブロムシュテット/パリ管弦楽団
(2012年9月27日/France musiqueオンデマンド)


パリ管の副コンマス・千々岩英一氏が万感の思いを込めていろんなことをツイートしておられたコンサートです。

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やはり想定どおり、フレーズのひとつひとつは主や副に分かれておらず、野の草木や花と同じようにおのおの勝手気ままな非等速直線運動を行ないつつ、しかし全体としては緩やかにブルックナーを形成している。大蛇のように渾然一体となってのたくるブルックナーとは、あるいは一度分解され精密に組み上げられた上で機能を付加された義体化ブルックナーとは、まったく異なる。

ブロムシュテットのフレージング感とパリ管の魅力的な音色は、第2楽章を豊かな霧で包み、他のどのような演奏でも耳にしたことのない幻想的な総体としての山岳を生み出した。楽章が終わり霧を抜けると、狐に化かされたような感覚だけが残る。いいですか皆さん、第3楽章じゃなく、野人のスケルツォで、ですよ!

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霧を抜けた第3楽章は一転して、晴朗で快活でポジティヴな音楽が展開されている。アーティキュレーションの曖昧さは微塵もなく、フレージングは山中で出会う奇勝や高地の植物のように独特の自意識を湛えている。楽章の幕切れですら酸素が濃く、実体感を喪わない。第2・第3楽章のこのポジション逆転が澄明な心地よさを残すんだなあ。ああ。すげえ好いなあ。

聴き手の立場で表現するなら、ブル8のように登山道の姿形が有名な山であっても、目的地まで一気に駈けてしまわず、路傍の植物や鉱物の混沌にしばしば目を取られつつ、それでいて快速と快活を守る不思議な演奏であると言える。登山道に自分以外の人間は誰もいない。快活にして寂寞。

第4楽章のコーダは終わりではなく、続いていくものの途中である。

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アンコールのブル2スケルツォがまた開放的で、健康的で、すこぶる気持ちのいい演奏。あのブル8なら、登山が終わったあとにさっぱりしたデザートがあっても全然おかしくないよね!
by Sonnenfleck | 2012-10-10 06:18 | on the air