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[不定期連載・能楽堂のクラシック者]その五 能「巴」@豊田市能楽堂(5/11)~はじめてのしゅら~

豊田市は雨だった。豊田参合館の、コンサートホールの隣のあのスペースに、僕が足を踏み入れる日が来ようとは。。

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c0060659_1023311.jpg【2013年5月11日(土) 14:00~ 豊田市能楽堂】
<豊田市能楽堂主催公演「ふじ能」>
●狂言「金岡」(和泉流)
→野村万蔵(シテ/金岡)
 野村万禄(アド/妻)
●能「巴」(喜多流)
→狩野了一(前シテ/里の女|後シテ/巴御前の霊)
 飯富雅介(ワキ/旅の僧)
 椙元正樹、橋本宰(ワキツレ/従僧)
 野村太一郎(アイ/粟津の里人)
→大野誠(笛)
 後藤嘉津幸(小鼓)
 河村眞之介(大鼓)ほか


能にはいくつかの種類がある。オペラがセリアやブッファ、グランドオペラ、ヴェリズモなどに分かれているのと同じように。

 初番目物:脇能とも。だいたい「神さま目出度い!」という内容。
 二番目物:修羅物とも。
 三番目物:鬘物とも。女性の亡霊の恋する思いを描くことが多い。
 四番目物:狂い物、雑能物とも。その他もろもろ。
 五番目物:切能物とも。鬼や天狗が出てくるスペクタクル。

「修羅物」は現世で戦闘に明け暮れた武者や武将、悪人が死霊の姿で現れ、現世で果たせなかったことへの執着や修羅道に堕ちた苦しみを語り、やがて消える、という形式が多いようです。「平家物語」から着想した作品が多いこの二番目物(修羅物)に分類される能、ついに初めて見たのですが、それが唯一の女性を主人公とする修羅能「巴」だったことに運命的なものを感じるのであった。

1 「巴」のおはなし
巴御前、って知っておられるかたが多いですよね。頼朝のいとこにして悲劇のライバル・源義仲(木曾義仲)の愛妾、そして古今比類なき女武者として「平家物語」に描かれた女性です。

ものがたりは義仲が戦死した粟津(びわ湖ホールのあたり)を僧が訪れるところから始まる。僧は神前に参拝に来ていたひとりの女性を目にとめてしばし会話するが、女性はすっ…と消えてしまう。ここまでが前半。
後半、僧の前に、薙刀を持ち甲冑をまとった女武者の死霊が姿を現す。死霊は自ら巴と名乗り、義仲の死に立ち会えなかったことを悔やんで、感情の激するままに薙刀を掲げて舞う。そして消える。こんなおはなし。

2 執心の凄惨な美
神様や帝を寿ぐ脇能がビクトリアやパレストリーナのミサ曲だとすれば、修羅の怨霊が現れる能は、ヴォルフのリートやブリテンのある種のオペラのように救い難く凄惨で、静かに物悲しい
「巴」の身体的な見どころは、やはり終盤の、シテによる「薙刀のヴァリアシオン」なのだよね。普通は扇で心情を語るところを、長い薙刀で義仲への執心を表現し、能面で涙を流し、やがてクライマックスでその薙刀をがらりと取り落として、このものがたりは終わる。
シテの狩野氏は総身に力を漲らせ、必要十分に女武者の死霊を演じきったと思う。シテの技巧に関する専門的な見方がまだわからない今だけ味わうことができる、執心の本質的な部分を観測した。これは自信がある。

3 焼き切れる執心
で、「巴」の観念的な見どころがどこにあるのかといえば、やっぱりこれも「薙刀のヴァリアシオン」なのだよね。
「平家物語」の記述によれば、巴が義仲と別れて落ちていったのは義仲の最後の一戦の前であり、しかも義仲が討ち取られるのを目撃したのは彼の乳母子・今井四郎兼平。兼平もすぐに後を追って自害したので、したがって巴は、義仲の最期の様子など知る由もない。

でも、この「巴」の名無しの作者は、巴の怨霊に義仲の最期を演じさせるという思い切ったドラマトゥルギーを用いるんである。
ヴァリアシオンの強靱な舞いは、白熱電球のフィラメントが焼き切れる瞬間の強い輝きのように見えた。能の前半、舞台に巴の死霊が降りていたのは疑いないが、最後に作者は、巴の死霊に義仲の死霊を二重に降ろすことによって、巴の執心を焼き尽くさせたのかもしれない。それは彼女のための、弔いの炎である。

+ + +

五月晴れの翌日、滋賀の粟津に行った。
粟津(膳所駅から徒歩10分くらい)に「義仲寺」というお寺がある。義仲の墓所とされる場所であり、義仲死後に巴が結んだ庵がこのお寺の始まりともされている。

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立派な義仲の墓と寄り添うようにして、小さな「巴塚」が境内の緑に埋もれていた。巴の墓とも言われるし、そうでないとも言われる。しかしどちらでもよい。
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実はこの寺を愛したのが、松尾芭蕉なのだ。義仲の墓の奥に、松尾芭蕉の墓がある。時代の不思議な断層を感じますよね。
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正午前の木洩れ日を浴びてしばし境内に佇む。池では亀が甲羅干し祭り。
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執心が焼き切れてのちの世の、穏やかな昼。初夏に向けて陽射しは心持ち強い。今から900年前に、そんな男女がいたのであった。
by Sonnenfleck | 2013-06-30 10:35 | 演奏会聴き語り

檜原村詣記

今年の夏休み旅行その2。日帰りだけどね。

+ + +

◆9月7日(金)
07:00 起床。東京地方は天気予報どおりの快晴。きっと奥多摩も登山日和である。

09:57 JR拝島駅から五日市線に乗り、終点のJR武蔵五日市駅へ到着。
      ・五日市線は合理的な手動ドア方式。都心でも導入すべきだよなあ。
      ・武蔵五日市駅に接近するにつれ、どんどん山あいに。
      ・駅前もどこかの高原駅のような趣き。神戸屋もある。

10:05 JR武蔵五日市駅から西東京バスで檜原村中心部(本宿役場前)へ。
      ・村中心部へはバスで20分ほどだが、車窓がどんどん深山幽谷に。
      ・村のメインストリートは予想を大きく上回る村っぷり。
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10:30 檜原村役場でガイドマップを入手。
      ・本当は観光案内所に行こうとしたのだが、どうしても見つからず。
      ・役場のお兄さんがとても優しい。

11:00 まずは役場から徒歩圏内にある「払沢(ほっさわ)の滝」へ。
      ・夫婦に家族。驚くべきことにDQN集団も。風流系DQN。
      ・滝は小体ながら姿が美しい。古典派の交響曲みたいだ。
      ・日本の滝百選、東京都からの唯一の選出。
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11:30 さて払沢の滝駐車場奥から、いよいよ登山道が始まる。
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↑今回の登山ルート。ちょっと見づらいが、全長10キロくらい?
↑ていうか村のサイトに「軽くハイキング人気の浅間尾根」って書いたひと、許しませんからね!信じてエラい目に遭ったわいな!
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↑ガイドマップの登山道の形状を見て気づくべきだったかもしれないが、踏み出してすぐ、急峻な九十九折の登り道が連続する。日なたはムッとするし、草いきれもすごいので汗はダラダラ。。そのまま15分くらいでこの眺望。

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↑フシグロセンノウ(というのを帰ってから調べた)。

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↑そうこうするうちに突然、大山祇神社が現れる。うーんやっぱり旧い山道なんだなあ。うちの会社の屋上にはなぜか大山祇神社があるのだが、なんとなしにご縁を感じて参拝。しかし息も絶え絶え。

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↑神社を過ぎると一旦、沢に下りるような格好になるのだが、このあたりのじめじめは熊野古道そっくりである。苔むした石畳の歩き難さまで一緒だ。

↑しかしアブやブヨ、ヤブ蚊のような陰気な昆虫たちの襲撃が多いのにはかなり閉口した。座って休んでいるとすぐに耳元にアブが飛んでくる、立って休んでいるとヤブ蚊、これでは休憩できない!仕方なく最初のパンは歩きながらもぐもぐ。

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↑やがて浅間嶺てっぺんの休憩所へ。おにぎり食す。このへんから雰囲気が暗くて面白い。雲が出て日が陰ったからからなあ。

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↑人里と書いてあるが、辿っていっても恐らく深山である。これで「へんぼり」と読むんですね。何か由来があるのでしょう。

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↑路傍のお地蔵さんは旧い道の証。背中の汗がじっとり冷たい。

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↑道中の案内板にはさかんに「ここは甲州街道の裏道、昭和初期まで牛を牽いて往来があった」なんて書いてあるけど、どうだろうかねえ。今ではこうやって道が崩れている箇所もあり、なかなかスリリング。

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↑「一本杉」を過ぎるとやがてだらだらした下り坂に。足下は砕けた石畳で、これがいちばん膝に来るのは熊野で経験済み。

14:45 「浅間尾根登山口」バス停へゴール!
      ・最後にきわめてしつこいブヨに付きまとわれる。
      ・昆虫が多いのはこりごり。今度は晩秋とかに挑戦したい。

15:00 近くの「和馬の湯」へ驀進。ぐったり入浴さっぱり休息。
      ・ビール!
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16:16 武蔵五日市駅に向かうバスに乗り込み、帰宅。

+ + +

帰宅してから、自分の生活圏との近さにあらためて驚く。自宅からはみなとみらいホールと檜原村がほぼ同じ行程時間を要求するというショッキングな事実。関東の皆さん、檜原村は(案外)近いですよ!
by Sonnenfleck | 2012-09-24 05:57 | 日記

ペトルンカムイ43度(後編)

承前(前編中編)。

◆9月3日(月)続き
14:00 900草原から再び北上し、アトサヌプリ(硫黄山)へ。
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↑訪れるのは3度目か4度目だが、晴れ状態は初めてである。地獄感が増してる。

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↑空の蒼と硫黄の対比が著しいうえに、これまでより噴煙がきつい。加えて岩石からの照り返しが激しく、涙と洟が止まらない。足下には温泉がぐつぐつ湧く。

↑そして初めて、有名な「露天の卵売り爺」と出会うことができて感慨深い。噴煙口のすぐ脇にゴザを敷いて温泉卵をひさぐ爺の、「た~まーごぉー」という哀れっぽい声が青空に響き渡るのである。ああ硫黄が目に染みらあ。

15:00 いよいよマシューの湖へ。
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↑道東総決算にしてついに、摩周湖の不気味さに気がついてしまう。摩周湖第3展望台は、土産物屋がやかましい第1展望台と異なりたいへん静かな峠の上にあるのだが、それにしても刺すような静寂と、湖面を渡ってから吹き上げてくる冷ややかな風に、これまでにない恐怖を感じる。

↑展望台から降りて屈斜路湖とアトサヌプリを望む駐車場に戻ると、急に夏風と陽光と鳥と蝉の声が戻る。ああ。なんだろうこの感じ。神威だ。

16:00 這々のていで摩周湖から逃げ出し、養老牛温泉「湯宿だいいち」へ爆走。
      ・FMのさもないおしゃべりやのろのろトラックが温かい。
      ・養老牛温泉の周りはのどかな牧草地帯が続く。
      ・「湯宿だいいち」はこれまで泊まった他2軒に比べ、格段に大きい。
      ・大きくてモダンだ。よりはっきり言えば、人為の極みだ。
      ・宿の人びとのホスピタリティが高い。不思議なくらい。
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↑部屋はなんとメゾネット。人為人為。

      ・食事も美味しいし、温泉もよく設計されていて満足するしかない。
      ・ここに感じる一抹の不満はなにか。
      ・それが、僕が道東に求めているものの正体である。
      ・夜半の露天に浸かって恋しく思う、自然からの併呑感。
      ・摩周湖の神威と、それはほとんど同義なんである。
      ・お湯は身体の延長のような気がするが、錯覚だ。
      ・養老牛の真っ暗な夜の森。
      ・今年はシマフクロウの豊かなバスが聴こえない。

◆9月4日(火)
06:30 起床→ちょっと雨→朝風呂→朝食→食べ過ぎ。
09:30 最後の目的地「標津サーモン科学館」へ。
      ・ここも毎年来てるなあ。
      ・標津川の断面をそのまま見られる面白水槽がある。
      ・公開9月~なので毎年見られなかったが、今年は見られた。
      ・気の早いサケやマスがガンガン遡上している。
      ・やつらは飼われていない自然のサカナたちで、顔が恐い。
      ・ドクターフィッシュやベスカルに、今年も(嫌々)触りました。
      ・ベスカルの様子に興味があれば、こちらのブログが詳しいです。
      ・そして急に氷雨になり、気温急降下。これこそ道東クオリティ。

11:30 併設のレストランで早めの昼食。
12:45 中標津空港着。
13:55 中標津発 ANA840便 羽田行きに搭乗。
      ・エアバスのすんごい小さな機体に変更になってて焦る。
      ・揺動激烈。軋む機体。
      ・「翼の王国」の定期購読方法を教えてください誰か。

+ + +

2009年コタンクルカムイ、2011年カムイヌプリ、そして2012年ペトルンカムイで、ひとまずカムイ三部作は幕を下ろします。神威の土地・道東。新カムイ三部作は道北の島嶼部や原野なども視野に入れつつ、いずれまた。
by Sonnenfleck | 2012-09-16 00:14 | 日記

ペトルンカムイ43度(中編)

承前

◆9月3日(月)
07:00 起床。湿原の濃霧が木々の枝に触り、雨粒となって屋根を叩く。
      ・「とうろの宿」にテレビはない。
      ・そのかわり優しいロックやジャズを小さな音で流してくれる。
      ・近在のニワトリが鳴く。
      ・ベッドでぼんやりする。
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↑室内。ドームハウスなので天井は円く、高い。

08:00 食堂で朝食。われわれのほか3組のお客あり。
      ・奥さん手作りのとうもろこしパン、オムレツ、サラダ。
      ・コーヒーもさりげなく美味しい。なんという幸福だろう。
      ・ほかのお客たちも静かで、なんとなく友だちになれそうな雰囲気。
      ・わざわざここに泊まるわけだからね。
      ・霧の湿原を見渡しながらのんびり食事。

10:00 ゆっくり準備して出発。霧が晴れていく。
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↑釧路湿原から一時間くらい交替で運転しつつ、まず屈斜路湖。北上するにつれ空は蒼みを増す。道東歴を重ねてきたが、こんなにカラリと晴れ渡ったのは今回が初めてである。屈斜路湖も人がいない側は好いね。相方さんと水切りで遊ぶ。


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↑それから少し南に戻って900草原へ。前回の900草原はたしか最悪の寒曇天だったが、今回は相変わらずの晴れだ。上は雌阿寒岳・雄阿寒岳方面、下は昨年登った西別岳・摩周岳。遠くから満足して眺める(英雄の隠遁と完成)。

↑昼食にレストハウスのえぞしかバーガー。給仕の兄ちゃんが羽海野チカのマンガに出てきそうな中性的メガネ美青年で、密かに驚きながらじろじろ見てしまう。

後編に続く。
by Sonnenfleck | 2012-09-12 22:43 | 日記

ペトルンカムイ43度(前編)

◆9月2日(日)
08:55 羽田発 ANA741便 釧路行きに搭乗。
      ・空港に着くまでにゲリラ豪雨に遭い、ずぶ濡れ。
      ・しかし予想に反し飛行機はあんまり揺れず。
      ・近くの席に声の大きい笑い上戸オバハンがいて困る。

10:45 釧路空港着。オリックスレンタカーでクルマを借りる。
      ・フィットハイブリッド。プリウスほどクォーツ感がなく嬉しい。
      ・釧路市街を抜け、塘路湖畔のキャンプ場へ向かう。
      ・途中で昼食の調達に失敗。仕方なく塘路駅前でいもだんご。
      ・いもだんごumeeeee.
      ・駅舎カフェのおっさんは相変わらず商売っ気がなくて可笑しい。
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13:00 この日宿泊する「とうろの宿」主催のカヌーツアーへ。
      ・「とうろの宿」は2005年夏以来2回目。小さくて素敵な宿。
      ・宿のオーナーさんがカヌーツアーも運営されていらっしゃる。
      ・僕らは「基本コース:塘路湖~細岡カヌーポート」を選択。

      ・集合場所に着くとすでにオーナーさんご夫妻の姿が。
      ・ライフジャケットを貸してもらい、装備。
      ・オーナーさんがクルマの屋根からカヌーをぐっと持ち上げ、着水。
      ・格好いい。
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↑この日のルート。塘路湖に漕ぎ出したわれわれは、アレキナイ川を経由して釧路川と合流、JR釧網本線・細岡駅近くのカヌーポート目指して3時間の舟旅―。

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↑舟上から望む塘路湖。僕が先頭、相方さんが真ん中、オーナーさんが後尾で舵取りというスタイルで漕いでゆく。パドルは一人一本。

↑最初は水深など気にして落ち着かないものの、案外軽やかに進むのでそのうち楽しくなってくる(オーナーさんの力かもしれないが…)。湖にはアイヌの貴重な食料だったベカンベ(菱の実)が群生している。

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↑釧網本線の下をくぐり、アレキナイ川へ。川幅は狭く、岸辺にはヤナギにハンノキ。ときおりカモが日向ぼっこしている(ご覧のとおりこの日は快晴)。日差しはきついが風が吹けば涼しい。

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↑アレキナイ川はやがて釧路川と合流。釧路川は川幅が広いのがわかりますか?岸辺の風景もちょっと変わる。ホバリングするトンボたち。

↑疲れてパドルを漕ぐのをやめると、人間の音は本当に何も聴こえない。必要十分なガイドをしてくれるオーナーさんも、そんなときはこちらの様子を見ながら同じようにパドルを引き上げ、沈黙の時間を作ってくれる。

風の音、川の流れ、鳥の声。この小さな舟に乗るために僕は北海道を訪れ続けてきたのかもしれない。ふと涙が出てくるが、後ろの二人には気づかれない。

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↑浅瀬で舟上のティータイム。オーナーさんが魔法瓶から熱い紅茶を注ぎ、奥さんお手製のバナナマフィンとともに振る舞ってくれる。至福の時間。

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↑美しい時間。

16:00 ゴール!そのまま「とうろの宿」へチェックイン。
      ・感覚と身体の運動にくたびれてしまい、しばしゴロ寝。
      ・マンガみたいな日焼けをしてしまった。

18:00 宿近くのイタリアン「Prezzemolo」へ。
      ・夏季は夕ごはんのない「とうろの宿」。近くにレストランあり。
      ・牡蠣のオイルパスタが猛烈に美味。サッポロクラシックが進む。
      ・ごちそうさまでした。
中編に続く。
by Sonnenfleck | 2012-09-08 14:44 | 日記

なつやすみのとも2012―2

【旅程】
◆07日(金) 拝島→武蔵五日市→檜原村→山歩き→数馬温泉センター

【大きな楽しみ】
・東京都檜原村の大自然っぷり。
・峠越えのあとの温泉。

【旅のお供】
・串田孫一『山のパンセ』(岩波文庫)続き
・RICOH CX2

夏休み旅行その2。行ってきます!
by Sonnenfleck | 2012-09-07 09:20 | 日記

なつやすみのとも2012

【旅程】
◆02日(日) 羽田空港→釧路空港→釧路湿原カヌー→塘路湖畔
◆03日(月) 塘路湖畔→アトサヌプリ~摩周湖~神の子池→養老牛温泉
◆04日(火) 養老牛温泉→(標津サーモン科学館)→中標津空港→羽田空港

明日から遅い夏休みなのだ。
2005年 釧路湿原チャリンコの旅+東端北端制覇
2008年 「寝台特急まりも」お別れの旅+川湯温泉
2009年 野付半島最果ての旅+養老牛温泉(旅館 藤や)
2010年 伊勢神宮+熊野詣
2011年 知床+摩周岳登山+養老牛温泉(ホテル養老牛)
2012年 釧路湿原カヌーの旅+養老牛温泉(湯宿だいいち)
北海道を周遊した2005年を皮切りに、特にこの5年間では4回道東に行ってるのだが、今年の旅はその総決算にしたいと思ってます。

【大きな楽しみ】
・2005年に泊まった湿原の宿を再訪し、カヌーに乗せてもらう。
・旅館が3軒しかない養老牛温泉の、3軒目を制覇する。

【旅のお供】
・相方さん
・串田孫一『山のパンセ』(岩波文庫)
・RICOH CX2

行ってきます!
by Sonnenfleck | 2012-08-31 22:39 | 日記

В магазине

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いっぽう、俺はペリメニを買った。

by Sonnenfleck | 2012-02-19 17:02 | 絵日記

カムイヌプリ43度(後編)

承前(カムイヌプリ43度(前編)カムイヌプリ43度(中編))。

◆8月19日(金)
06:00 起床。前夜の雨も上がり、曇りではあるが一応の登山日和です。
      ・前夜のうちに朝食弁当をもらっておき、身支度だけして出発。

07:30 屈斜路湖畔からぐるりと北に回り込み、西別岳登山口に到着。
      ・同行者(先達)によれば、登山口はよく整備されているとのこと。
      ・山の麓は霧雨で、冷え込んでいる。雨具の上だけ着る。
      ・登山口のテーブルで朝食。登山靴を履き、準備体操。
      ・登山者名簿を見ると、われわれが今日の一番乗りのようだ。
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↑今回の登山ルート。西別岳から摩周岳までの縦走で、往復約15キロの道のり。

08:00 出発!
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↑こんなふうに、往きの西別岳は完全に霧に閉ざされていた。あたり一面に広がるクマザサが風でサワサワと揺れている。
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↑西別岳への最初の数キロは「がまん坂」と呼ばれる直線的な登り道(普通は九十九折になってジグザグに登るところを、ずどんと道が延びている)
「がまん坂」道標の上にクワガタあり。
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↑「がまん坂」はこの日の全行程中最初にして最大の難関。虚弱な東京住まいは心臓と肺が持たなくて、軽い頭痛を起こしながらの辛い登り。このデジカメは水平センサが付いているんですが、いかに非道な角度かおわかりでしょう。
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↑ガス。
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↑第一~第三お花畑、および「ごくらく平」と表記された空中庭園を通過して、西別岳山頂に到着。ガス。ここでは登頂の達成感よりも、手持ちの水がすでにこの時点で半分になってしまった恐怖が強い(水場なんかあるわけないのだ)。
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↑西別岳山頂で10分ほど休憩し、そのまま尾根伝いに摩周岳方面へ。だんだん植生も変わって、このへんは一面に蕗が広がる光景。コロポックルいるよ。
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↑そのままだらだらとした尾根を歩いていると、前方から熊鈴の音。単独で西別岳に向かう屈強なおじさんハイカーとすれ違う。
このあたりから霧は急速に晴れてゆき、濃い緑が目に入るようになってくる。やがて、摩周湖第一展望台から延びてきた登山道と、摩周岳への分岐点。
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↑分岐点を過ぎ、摩周岳方面に近づくも、だらだらした起伏のない山道が続く。しかし目前に現れた摩周岳火口壁に、テンションは上がり始めるのだ。

しかし。山頂まで0.3キロ、という道標が出てから、そこからが摩周岳の本領発揮であった。クマザサと白樺が生い茂る岩場を、アブにつきまとわれ、ドロドロになりながらよじ登る。考えてみれば遠くから見てあの形をしていて、火口壁の裏側を登るわけなんだから、この角度は当然のことなんだけど。何度も白樺の幹に掴まって、滑落の危機から助けられる。ありがとう白樺。
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↑11:30、ついに摩周岳に登頂。山頂は八畳くらいのガレ場で、一歩足を踏み外すとカルデラに真っ逆さまなのだな。ザックを下ろして、ふうっと息を吐き出す。
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↑カルデラ。丸い。
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↑ひとしきり興奮ののち、昼食にする。山頂には羽アリの巣があり、首筋など噛まれてしまったので、人間はちょっと離れて端っこに座る。同行者(先達)がウィダーを隠し持っていて、僕に呉れる。嬉しい。あんパンも甘い。本当に。
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↑ちょっと晴れてきた。太陽が照ると摩周のブルーが深く輝く。
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↑実は上空には無数のツバメが飛んでいて、アブや羽アリやトンボを食べているようだった。ツバメ返しのひょうっ、ひょうっ、という音のほか、何の音もしない。
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↑再びここに来ることはあるのだろうか。
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↑12:30、名残惜しいがここが折り返し地点なので、下山を始める。
道すがら、美しい彩色の蝶が花にとまっていた。
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↑往きはガスが掛かって見えなかった摩周岳。降りて見返せば山頂が見える。よく登ったものだ。
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↑これもガスが晴れたおかげ。摩周岳と西別岳の中間くらいにある又牛別(マタウシベツ?)岳から振り返ると、天国的な眺望が開けていた。
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↑西別岳に戻ってくると、往きほどではないがやっぱり霧のまま。くだんの「がまん坂」は今度はだらだら下りの「逆がまん坂」となって膝に襲いかかるのであった。。
14:00、無事に西別岳登山口まで帰り着く。山道15キロを6時間だから、素人にしてはなかなかのペースじゃないかと同行者(先達)が言っていた。
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↑装備を解き、しばし達成感に浸る。そのまま養老牛温泉に直行し、この日の宿「ホテル養老牛」にチェックイン。標津川沿いの露天に入って疲れをほぐし、あとは風呂上がりにサッポロクラシックを一気に飲み干す。こんなに美味いビールもない。

+ + +

18:00 夕食。何もかも美味い。地物のじゃがいも焼酎「きよさと」を味わう。
20:30 寝てしまう前に再び露天風呂。
      ・耳を澄ましていると、シマフクロウの豊かなバスが聴こえる。
      ・2年前も聴いている。間違えようがない。
      ・ヴォーヴォウ、ヴォーヴォウ…
      ・夜の森を前に、素っ裸で湯に浸かっていると、独特の感じがする。
      ・それは、世界への所属感と言っていいかもしれない。

おしまい。
by Sonnenfleck | 2011-08-24 22:53 | 日記

カムイヌプリ43度(中編)

承前(カムイヌプリ43度(前編))。

◆8月18日(木)
11:30 知床五湖トレッキングを終えて、昼食を摂るためにウトロへ。
      ・宇登呂なのに、なんでどの看板もカタカナ表記ですか?

12:00 昼食は漁港の中にある「漁協婦人部食堂」。この感じたまらんよね!
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↑漁船に群がるカモメども。
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↑胴回りが太い。
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↑普通の観光客向けの飲食店とはずいぶん離れて存在している。観光客もいるし、地元の若い漁師さんもいた。
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↑お目当ての「鮭イクラ親子丼」。涙が出るほど美味い。イクラがこんなに美味い食べ物だとは思わなかった。しばし無言で噛みしめる。お母さんたちも優しい。

12:30 食後「オロンコ岩」60メートルを登攀。漁港に聳え立つ奇岩である。
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↑岩のてっぺんでアイヌが戦いを繰り広げたという伝説があるらしい。しかし本州のように神社なんか建ってないのが北海道の好いところよね。

14:00 再び斜里方面に戻り、今度は屈斜路湖方面へ。長いドライブ。
14:15 一昨年に続いてまた硫黄山に来てしまった。楽しいんだもん。
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↑いまだに謎なのだが、ここはどうして硫黄の噴出口のすぐそばまで立ち入れるんだろう。そしてなぜこんなにマイナーな存在に甘んじているんだろう。僕は写真を撮るために噴出口に近づいた数分で頭痛に襲われましたうひょー楽しぃー

15:00 同行者の提案により、屈斜路湖畔の「砂湯」を偵察。
      ・湖畔のある区域は、砂浜を掘るとじんわりとお湯が染み出す。
      ・ここを砂湯と呼ぶ。そしてお湯は意外に熱い。
      ・水着着用を勧める。
      ・クッシーは死んだか。

15:30 本日の宿、仁伏(にぶし)温泉「屈斜路湖ホテル」へ。
      ・宿は適度に古めかしいが、最強のレイクビュー。
      ・女将さんは西別岳登山小屋の管理もされているとのこと。
      ・ここ仁伏温泉の湯は源泉45℃。掛け流し。湯船は激烈に熱い。
      ・肩まで浸かっていると痺れるような感覚がある(茹で)。

後編へ続く。
by Sonnenfleck | 2011-08-23 13:44 | 日記