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on the air:小澤/水戸室内管 第83回定期演奏会@水戸芸術館(1/19)

c0060659_2130192.jpg【2012年1月19日(木) コンサートホールATM】
●モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K136
●ハイドン:Vc協奏曲第1番ハ長調
→宮田大(Vc)
●モーツァルト:交響曲第35番ニ長調 K385《ハフナー》
⇒小澤征爾/水戸室内管弦楽団
(2012年6月17日/NHK-Eテレ)


らららクラシックの枠で放送。N響アワーではできなかったことが実現されていて、これはたいへんありがたい。

《ハフナー》は、進みたくない、留まりたい、という音楽。
進めないのではなく、進まない。
小澤はそれを淡泊な白身魚のような響きでやる。カラヤン/BPOのモーツァルトは、それを肉汁のしたたる響きでやった(そのようにミキシングしただけなのかもしれない)。あるのはその違いでしかない。そんなわけで第2楽章の美しさは比類がない。なんと書いていいのか。
第3楽章と第4楽章は巨大なモティーフを選んだ静物画のように感じられる。円環が完全に閉じている。進まないことに価値を見いだして、しかもそれを完璧に成功している演奏の真価を、僕は初めて知ったような気持ちだ。クレンペラーのモーツァルトをキングスウェイホールの最前列で聴いたらこんなふうに聴こえたのかもしれない。いや、わからないな。どうだろう。

ハイドンも、緩徐楽章の「留まりたいエネルギー」が厖大すぎて、思わず呻いてしまう。この辺り一面に照射されているものの正体は何だ。バーンスタインのスタンドが発動しているのか。
2012年ごろの小澤がこういう音楽をやっていたことを、僕はこの先も忘れられないと思う。あるいは、今そのことに気がついただけなのだとしても、今気がついた、ということを覚えていたい。何が小澤にそうさせる?20世紀が?

+ + +

ところで宮田君は、はち切れそうなパワーを小澤の閉じた円環のなかに押し込めている。彼のチェロはついに縁がなくてこの夜の放送まで聴いたことがなかったけれど、ううん。巧いんだなあ。留まらない音楽ではどんなふうに演奏するんだろうか。
彼のチェロは齋藤秀雄の使っていた楽器だそうである。

ところでこの公演、7月にソフト化されて発売されるっぽいです。芸術館や室内管のサイト、twitter等では情報が発見できませんでしたが、Amazonに情報が登録されてました。今回の放送を見逃した方はぜひ。
by Sonnenfleck | 2012-06-21 21:34 | on the air