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ライオネル・ファイニンガー展@愛知県美術館

c0060659_6342682.jpg素晴らしく良好な印象を受ける。
あんまり好きでなかったこの美術館を著しく見直しました。

青騎士のひとり、ライオネル・ファイニンガー Lyonel Feininger (1871-1956)の回顧展はこれまで日本では開かれたことがなかったのですが、ファイニンガー研究の第一人者であるHamburger KunsthalleのUlrich Luckhardt氏の監修によって大規模な展覧会が企画された由。
ここにLuckhardt氏のコラムが書かれてますが、確かにファイニンガーへの言及がちゃんとあるです。)

風刺漫画家から出発したファイニンガーは、キュビスムの大波を頭からかぶった後、透明な光線が支配する独特の透明な空間を作り出すに至ります。斜めにカットされたガラスが何枚も重ねられたような、あの静謐な美しさはjpgファイルではまったく再現されておらず、今いくつかの画像を見て少なからず失望しているところではありますが。。

c0060659_6345950.jpgキュビスムの洗礼を受ける前のファイニンガーは漫画のコマ割りを(常識に囚われて全体のバランスがよすぎるコマ割りを)強くイメージさせる人物画を多く描いているんだけど、そのままでいったらきっと歴史には名前を残さなかっただろう。

でも、キュビスムを自分なりに消化した後の世界観には心を奪われてしまう。それ以降のファイニンガーが選ぶモチーフはほとんど一貫していて、教会の尖塔、村々、幾何学的構造物、北の海、ヨット、、どれももともと強い形をしているものをさらに厳しく刈り込んで、禁欲的な世界を構築するわけ。

[右上:《ゲルメローダXIII》(1936)、ニューヨーク・メトロポリタン美術館]
[左中:《夜の聖マリア教会、ハレ》(1931)、ヴッパータール・フォン・デア・ハイト美術館]

c0060659_6352024.jpgバウハウスの教授をやっていたころの分析的な版画たちも面白いんだけど、1937年にナチスの魔手を逃れて生まれ故郷のアメリカに戻った後の作品にも惹かれます。

[右:《マンハッタンII》(1940)、フォート・ワース現代美術館]

ニューヨークの摩天楼を描いた一枚ですけど、これなんかドイツの寒村の教会と何も違わないですよね。本物はもうちょっと青っぽくて、分割された光線がはっきり見える。

ハンブルクのキュレーター氏が明確に関わっているので、クンストハレに寄託されている個人蔵の作品がたくさん出品されているのも本展の特徴。
その中に、ファイニンガーが最晩年に描いた《フェンリル狼》(1954)という作品がありまして、その画面に電撃的なショックを受けたのです。画像がついに見つけられなかったのですが、深い蒼一色による地平線と月と分割された光線、あれはすでに具象を超越してもっと上位の世界に入りかけているのだと思う。もう一度視たい。12月23日までか。
by Sonnenfleck | 2008-11-15 06:38 | 展覧会探検隊
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