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on the air:イアン・ボストリッジ リサイタル@王子ホール

c0060659_0265021.jpg【2008年11月13日 王子ホール】
●ブリテン:歌曲集《この子らは誰?》 op.84~
 〈悪夢〉〈殺戮〉〈この子らは誰?〉〈子どもたち〉
●同:《冬の言葉》 op.52~
 〈十一月のたそがれ〉〈アップウェイの停車場にて〉
 〈生まれる前とそのあと〉
●カワード:《ひとりだけの旅》《パリの道化》
●ワイル:《ウォルト・ホイットマンの4つの歌曲》~
 〈叩け!叩け!太鼓を!〉〈おお船長!我が船長!〉〈畑からこっちに来てお父さん〉〈古参兵二人の哀歌〉
●ポーター:《夜も昼も》《いつもさよならを》
⇒イアン・ボストリッジ(T)+ジュリアス・ドレイク(Pf)
(2009年4月17日/NHK教育)

いつものようにタモリ倶楽部を見て寝ようと思い、テレビをつけたらボストリッジが映っていた。気楽な週末の入口としては、これは運の尽きであった(終末)。

まずブリテンを歌うボストリッジが悪鬼のようで本当に恐ろしいのです。落ち窪んだ眼窩が照明に照らされて、表情を歪めながら、しかもブリテンの救いのない歌曲を歌っているわけですから、、会場で聴いていたらどれほどの緊張を強いられたかわからない。しかしあまりうまく言えないのですが、ブリテンの湿った冷たさは他のどの作曲家とも違っているので、そこへアクセスできる歌手はかなり限られているのに、ボストリッジは易々と入ってしまうだけでなく、その場所の冷気や湿気を汲み取って何倍にも増幅させることができる天賦の才がある。改めてそのように感じた次第。
ボストリッジ+ラトルのブリテン歌曲集はいつか取り上げようと思っているのだけど、この日取り上げられていた《この子らは誰?》の晦渋さに比べれば、あそこに収録されている《イリュミナシオン》と《セレナード》は甘ちゃんでありましょう(《ノクターン》は伍すと思うけどさ)

《冬の言葉》は抜粋の放映で、おそらくクリスタルのような美しさであったはずの〈真夜中のグレートウェスタン鉄道〉がカットされてしまったのはとても残念。

一方このコンサートでは、ノエル・カワードやコール・ポーターの「芸術的なまでに反芸術的な<うた>」が、ブリテンと並列的に取り上げられていました。ブリテンの虚無とカワードの享楽って、こんなに似ているのだね。最後のポーターもとてもお洒落であって、ああ、生で聴いてみたかったなあ。
by Sonnenfleck | 2009-04-18 09:03 | on the air
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