【2008年6月3日(火) サントリーホール】
●ベートーヴェン:Pf協奏曲第5番変ホ長調 op.73 《皇帝》 ○同:Pfソナタ第30番ホ長調 op.109~第1楽章 →エレーヌ・グリモー(Pf) ●ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 ○ステンハンマル:カンタータ《歌》~間奏曲 ⇒パーヴォ・ヤルヴィ/フランクフルト放送交響楽団 (2009年5月24日/NHK-FM) 雨の日曜FM鑑賞会。なんとお金の掛からない趣味だろう。 パーヴォ・ヤルヴィの騒がれ方に、正直言ってついていけてません。 一度でもガツンと来る体験をすれば違うんだろうなあとは思うんだけど、何年か前にN響で聴いた《ライン》はシューマンの趣味を細かく焙り出すやり方が功を奏してなかなかだったものの、逆にショスタコーヴィチの第5は呼吸が浅く寸詰まり、かつむやみに露悪的で、耳を覆いたくなるようなひどい演奏でした。自分の中ではいまだに評価の定まらないお方です。 で、昨年の来日公演ライヴを聴きましたが。 前半の《皇帝》は、グリモーと喧嘩でもしたんではないかという「噛み合わなさ」が非常に気になります。特に第1楽章にそれが顕著で、グリモーがさあっ!と挑もうとするパッセージにパーヴォが全然興味を示さず、梯子を下から外して立ち去ってしまう局面が多く感じられました。これはパーヴォからしたら「何をつまらない景色に見とれてるのか」といった感じだろうし、グリモーからしたら面子を潰されたような感じでしょう。この指揮者とこのピアニスト、互いに好みややりたいことに堅い芯がありそうだし、どっちも悪者にはならないけど、互いにストレスフルな共演だったんじゃないかと思う。聴衆はドキドキだぜ。 ねっとりとした第2楽章と、あっけないほど快速の第3楽章は、指揮者とオケのやや強引なテンポ設定にグリモーが大人の対応を見せたような雰囲気。特に協奏曲の場合、アインザッツからそのパッセージにどれくらいの思いがあるのか何となく判断がつきますけど、思い入れありそーぅに始めた楽句をもったいなさそうに放棄していくグリモーを聴いているのはあまりいい気持ちではありませんでした。 アンコールの第30番のソナタは水を得た魚のようで。。ブラヴァ。 後半のブル7。かなり恣意的に風呂敷を広げまくった演奏だったように思います。 僕はブルックナーへの思い入れが薄いから許せるのかもしれない。ブルックナーを挟んでワーグナーとマーラーが立ち、何も気づかないブルックナーの後ろで二人が握手をしているような、そういう光景が目に浮かびました(でも、ショスタコーヴィチの後ろでグラズノフとデニーソフがニヤニヤ笑いで握手してるのが、まさにN響とやった第5ではなかったか)。 あの激しい起伏は面白くなかったのかと尋ねられたら、面白いと答えざるを得ない。ただ、波を割り船体を空に飛ばす機雷をあちこちに沈めて、パーヴォさん何がしたいの?と。そういうことです。「恣意的な演奏」ごっこだろうか?そうじゃないといいなあと思う。 いつかこの指揮者のグッとくる演奏に出会いたいです。
by Sonnenfleck
| 2009-05-26 06:37
| on the air
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Comments(2)
パーヴォが現在進行中のベートーヴェン全集はいかがでしょうか。生で聴いて「ガツン」と来て以来、集めています。同じく生で聴いたマーラー(9番)は「う~ん…?」と思ってしまいましたが、、、
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Commented
by
Sonnenfleck at 2009-05-31 00:18
>preludeさん
そうですよね。。聴いたものの絶対数が少ないままで評価することはできません。ベートーヴェンなら指揮者が何を求めているのかがよくわかりますし、買ってみようかなあ。しかし、目下気になっているのは、ショスタコーヴィチ第10の新譜だったり(汗) 案外、得意と不得意の差が激しい方なんではないかという気もしています。私も《ライン》はいい演奏だと思ったんですよね。
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