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on the air:名曲のたのしみっ。吉田秀和。(2009年盛夏バッハ)

c0060659_6315275.jpg【2009年7月25日(土) 21:00~22:00(NHK-FM)】
<私の試聴室:バッハ>
●平均律クラヴィーア曲集第1巻*
 ~第1番ハ長調、第3番嬰ハ長調、第4番嬰ハ短調
●同第2巻*
 ~第14番嬰ヘ短調、第16番ト短調
●無伴奏Vnパルティータ第3番 ホ長調 BWV1006**
●平均律クラヴィーア曲集第1巻*
 ~第8番変ホ短調 前奏曲

⇒アンジェラ・ヒューイット(Pf*)/ヴィクトリア・ムローヴァ(Vn**)

95歳と10ヶ月の吉田先生。今宵は口調がおじいさんおじいさんしていない。
「私の試聴室」コーナーが好きで、ハイドン音痴のために最近は聴いていなかった「名曲のたのしみ」を受信する夜。冒頭、グールドについて触れる老先生ですが、グールドの短い生涯は、この人の長い人生にすっぽりと収まっているんだなあ。
そのグールドから自由に飛び立つヒューイットの平均律。
僕はこれまで、なんとなくヒューイットを聴かず嫌いで来たのだけれど、どうもそれは間違いどころか損失であるような気がしてきました。この放送で取り上げられた平均律は、真夏の正午の麦茶のように爽快で、、その透き通った音でもって空気を冷ややかにしているような、そのような感じです。ファツィオーリの特性なのか、ヒューイットのタッチに秘密があるのか。。

一方、吉田秀和をして「この演奏を聴くとバッハがわざわざ面倒くさいポリフォニーを使った理由というのを納得させられる」と言わしめる、ムローヴァの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番。
なるほどアタックも音質も素直かつ植物的で、時に鋭く鳴り過ぎていて集中して聴くのが辛い局面も確かにあるけど、幾層を重ねてもずっとクールビューティなこの音響体に、確かに惹かれるところ大。〈ガヴォット〉への軽いあしらいなんか、薄荷のような甘みを感じさせて実に素敵な印象を受けます。他の曲をどのように実現しているか、確かめなくては。

グールド聴いときゃいいシェリング聴いときゃいい、というレコ芸ヒョーロンカ先生方の醜さから、先駆者自身がすっきりと飛び出してしまっているよい例でありましょう。自分がもしこの先、95歳を超える年齢まで生き続けると仮定して、このように新鮮な演奏に相対する澄明な感性を持ち続けていることができるだろうか?
by Sonnenfleck | 2009-07-29 06:37 | on the air
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