【2009年6月19日(金) ザ・シンフォニーホール】
<ドイツ・ロマン派の秘密> ●S. ワーグナー:歌劇《異教徒の王》~間奏曲〈信仰〉 ●同:交響詩《幸福》 ●ブルッフ:交響曲第3番ホ長調 op.51 ⇒児玉宏/大阪シンフォニカー交響楽団 (2009年8月23日/NHK-FM) はあ。そうなのです。大阪シンフォニカー交響楽団もプログラミングが凄いのです。冴えまくっているのです。もうちょっと名古屋にいる期間が長かったら(あと、定期が平日じゃなかったら…)、きっといつかシンフォニカーの定期は聴きに行っていたはずなのです。この定期演奏会もマニアックな章立てで、ぶらあぼの裏表紙裏に載っているキレイな広告を見て、ムズムズと行きたくなっていたのでした。FMシンフォニーコンサート様様だ。 実にジークフリート・ワーグナーの音楽を聴くのは本当にこれが生まれて初めてでして、確かにオヤジさんに酷似してはいるものの、オヤジさんにはない肯定的な素直さがスコアに漲っているみたいで、これはこれでいいなあと思う。無条件でキレイだもんなあ。児玉氏の指揮を聴くのは初めてのような気がしますが、ここではシンフォニカーの音色は明るく色彩的で、何よりそこからノリの良さみたいなものを感じるんですよね。ノリのよさは演奏者側の強い理解と深い共感によってのみ生まれるものと思いますが、未知の作品を聴かせてくれるのにこれほど大事な要素はない。こないだのヴィラ=ロボスのときも強く感じたこと。 オペラの超絶ハッピーエンドの予感を漂わせる間奏曲〈信仰〉の美しさ。豊かな旋律美に基づく音楽が、素直に幸福を物語る交響詩《幸福》。確かに第一次大戦から戦間期にかけてこんなに素直なロマン派ぶりを示していたら、「勝者」たちが書いた音楽史の中では一章も与えられないだろうし、オペラでもし何時間もずっとこの調子だったら、脳ミソに花が咲きそうで辛い。それでもグラズノフやラフマニノフがオケのレパートリーとして定着しているのなら、このジークフリート・ワーグナーだって普通に聴かれていいよなあ。簡単に忘れられるには惜しい才能のように思いました。「勝者」たちが「ネタ」化した今だからこそ。 さてブルッフ。クラシック好きの(たぶんクラヲタではないと思う)友人の中に随分なブルッフ好きがいまして、一体ブルッフの何が彼を駆り立てるのか謎でしたが、この放送でその一端が窺えたような気がします。ああこれはカッコイイ。 結局さっきの話に戻ってしまうけど、ブラームスはシェーンベルクにジョイントされたために「勝者」の音楽史にも名前が残ったのに対し、ブルッフがウェーベルンに華々しく評価されたというエピソードがない以上、半ばは意図的に埋められていったというところなのでしょうか。音楽史がドラスティックに変わっていくのが許せない人たちだって、きっといたはずなのです。児玉氏からのメッセージにもあるとおり、自分はここにメンデルスゾーンを感じる。溌剌と躍動する親しみやすい旋律、全然深刻ぶらない第2楽章の優しさ、これも忘れられるのは惜しい。。
by Sonnenfleck
| 2009-08-26 06:31
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