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リュリスト番付・東の横綱

今日は東京文化会館でスローン/都響によるベルティーニ追悼の〈アダージェット〉が演奏されたことと思います。うーん行きたかったー。

c0060659_18364692.jpg僕は電車の中で音楽を聴くことが多いのですが、その日の朝CDウォークマンにどのCDをセットするかで、10分くらい棚の前で悩む。ヴォツェックは万一音漏れでもしてるとかなりやばい人だし、ブルックナーみたいにpとfの差が激しい作品だと、ついpに合わせて音量を最大にして聴いてて金管のfffで飛び上がる。結局ダイナミックレンジの狭いバロック、特に強弱変化が起こりえないチェンバロに落ち着くことが多いのですが、このCDはそんな朝の選別に勝ち残ってきた猛者です。Diapason d'or 受賞の名盤。

ヨハン・カスパル・フェルディナンド・フィッシャー Johann Kaspar Ferdinand Fischer (1656-1746) は、バーデン辺境伯の宮廷楽長を務めた、中後期ドイツバロックの作曲家です。彼は17世紀の大スターであったリュリからもう取り返しのつかないくらい影響を受けてしまい、「レンブラント・ファン・レイン」と「レンブラント工房」くらいの近似性を保ちつつ生涯にわたってリュリっぽい作品を量産しました。
このCDに納められているのは Musicalischer Parnassus というチェンバロソロのための組曲集。全部で9つの組曲にはそれぞれカリオペ、エラート、テレプシコーレなど、ゼウスの娘である9人の詩歌学芸の女神の名前が冠されています。

フィッシャーの美点はパッサカリアに表れる。9番目の組曲〈ウラニエ〉は13の舞曲からなる長大な作品ですが、その末尾に配されたパッサカリアの、なんと気高いこと。あくまで節度を持って、陰翳の濃いホモフォニーが縷々と流れてゆきます。
チェンバロのメイヤーソンはシカゴ生まれの実力派女流(公式ホームページで件の〈ウラニエ〉のパッサカリアが試聴可能)。隈取りのはっきりした非常にハイレベルな演奏です。この人はトリオ・ソネリーの創設メンバーでしたので、ラモーの《コンセールによるクラヴサン曲集》でも見事な腕前を聴くことができます。
by Sonnenfleck | 2005-03-24 19:57 | パンケーキ(17)
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