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所蔵名品展[国宝 紅白梅図屏風]@MOA美術館(1/9)

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1月初めの3連休。南関東は実に天気が良かった。
冬の南関東はどうしてこんなに天気が良いのだろうか。ネイティヴ南関東住民たちはこれが祝福された晴れであることを忘れないでほしい。そんな、僕の中でぐずぐず発酵する裏日本メンタリティを引き連れて熱海に向かうことにした。お一人サマ熱海は罰ゲームみたいね。でも気にしないね。

つまり、MOA美術館にはずいぶん昔から一度行ってみたくて、手元に招待券が舞い込んだからにはこの予定のない冬の晴れを活かさないわけにはいかなかったのです。
タクシーを降りて(新春贅沢)、噂どおりのメガロマニアックな建築に苦笑いしつつ入館する。熱海らしく喧しい家族連れも居はするものの、喧しい集団というのはスタスタ歩いていってしまうケースが多いから、ほとんどの瞬間において、そこは見物人と展示物がほぼ同数という閑かな空間に保たれていました。美術館はこれくらいがちょうどいいスよ。

1. 尾形光琳 《紅白梅図屏風》(18世紀) [国宝]

どんなに大規模な琳派の展覧会でも、この国宝が熱海から呼ばれて展示されることはないらしい。年間に浴びせてよい光量が決まっているらしいとか、そんな噂もある。
幸いお客さんもそんなに多くなかったから、これの前に置かれたソファに座って20分くらいじっと視ていた。じっと視ていると、左隻にはもちろん中央のV字の枝、右隻にも幹と河岸によるV字の構図が見えてきて、一見すると変な画面なのになぜかこの作品から湧き出てくる安定感のゆえんを感じた次第。vv。

クリムトがインスパイアされたらしい波紋は、上の画像でははっきりと見えてしまっていますが、実物の展示状態ではよほど近寄らなければ窺えない。川の色彩も想像していた濃紺ではなく、濁った黒に見える。この状態では金黒ギャップの鮮やかさが増しているのだから面白い。形のある藝術にあっては「展示」が、音楽における「演奏」に匹敵するわけですな。

2. 酒井抱一 《雪月花図》(19世紀) [重要美術品]

c0060659_1057375.jpgで、光琳のパワーを浴びた後の順路には、巧い具合に抱一の三幅が掛かっています。

何も知らない鑑賞者に襲いかかる光琳の梅モンスター…それとは一線を画す優美なミクロコスモスこそ、抱一の醍醐味なのだろうと思った。
しかし、優美の裏地に淫靡が隠れていそうだぞというのは衆目の一致するところで、、か細い桜の枝ぶりや、月の円みや、松の枝からコンデンスミルク状にたらりと落ちかかる雪に、何も思ってはいけないということもないだろう。

3. 伝 銭選 《花籠図》(13世紀)

c0060659_10575950.jpg一見すると奥行きもないし画面も小さいし、地味な作品なのだが、よぅく視ると、満杯に盛られた花に籠が食い込んでいる様子がかなり細密に、マニアックに描写されている。
13世紀ボンデージ。今日のエントリにはエロ系のスパムTBがいっぱい飛んできそうですね。(※ちなみに英雄交響曲について書くと、エロイカの「エロ」に反応して飛んでくる。彼らは敏感だ。)


4. 唐物箆目肩衝茶入 大名物(13~14世紀)

c0060659_1058133.jpgこんなにでっかい茶入があるんだ!!
高9.8cm、口径4.9cm、胴径8.9cm、底径5.0cmであるから、350mlのアルミ缶を横方向に思い切りぶくりと太らせたような存在感。あるいはその紫褐色の照りから、加茂茄子も連想しやすい。
そのユーモラスさの中に、右上から左下に走るヘラの痕がナチュラルなアクセントになって可愛らしさが増幅している(もしヘラ目がなかったらただの鈍重になってしまうところだろう)。

+ + +

展示室を出ると、冬の午後に光る相模灘が眼前にあった。
by Sonnenfleck | 2010-01-30 11:00 | 展覧会探検隊
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