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春初めての西風を感じて

年度末年度始。

c0060659_2231224.jpg【DHM/88697630232】<ヘンデル>
●カンタータ《ヴィーナスとアドニス》、《心が躍る》
●トリオ・ソナタ op.2-3、2-5他
→ゲンマ・ベルタニョーリ(S)
⇒アンサンブル・ゼフィロ
  アルフレード・ベルナルディーニ(Ob)、
  パオロ・グラッツィ(Ob)、
  アルベルト・グラッツィ(Fg)、パオロ・ズッケリ(Vl)他

ヘンデルやテレマンを聴いて恐ろしく安心している自分を客観的に見ると、もしかしてバロックのストライクゾーンが途轍もなく狭いんではないかと不安になってくるがそんなの気にしないのよ。

このディスクは、ベルタニョーリというソプラノを迎えたカンタータがメインディッシュのようだけど、僕はむしろ副菜のトリオ・ソナタにめろめろになってしまう。
ここに収録されているトリオ・ソナタは全4曲で、op.2-32-5のほかに、ト短調 HWV393ヘ長調 HWV392/401。学生時代へのノスタルジーから、作品2と作品5のほうを贔屓しがちなのはどうかご理解いただきたし。

新鮮な驚きをもって聴くことになったのは、通奏低音に至るまで管楽器メインで演奏されたop.2-3。ご丁寧にチェンバロもいない。
変ロ長調のさりげない幸福感が、通常よりもずっと多く満ちているこの空気。第2楽章は「これぞヘンデルのトリオ」というような爽快なアレグロですが、上の二声が両方ともオーボエだとこんなに柔らかな音響になるんだね。拍感を維持しつつカチャつかないのは偉大。
唯一のごしごし楽器であるヴィオローネも、ファゴット・テオルボ・オルガンの中にあってはいたずらに威を示すこともなく、全編を通じてひっそりと行間に溶け込んでいるのみ。おっとり編成BC隊の中ではファゴットが活発すぎるという気もするけど(第4楽章とかね)。

一方op.2-5は、ト短調の硬質な響きが、オルガンの代わりに登場したチェンバロによって強調される。同じように爽快なアレグロである第2楽章も、op2-3に比べると幾分エッジが鋭いんだよね。チェンバロの輪郭線ドローイング機能に改めて感心するところだし、ゼフィロの老獪な技巧に感心するところでもある。

+ + +

ベルタニョーリが加わると、響きはもう少し複雑になる(当たり前か)。
もしかしたら以前にどこかで聴いているかもしれないが、このソプラノの声は吐息成分が多くて、ざらざらとした麻のような肌触りです。ロハス。子音が細かく音を区切るドイツ語のカンタータより、母音がすらりと伸びるイタリア語のカンタータの方が強みが出ると思った。
by Sonnenfleck | 2010-04-02 22:33 | パンケーキ(18)
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