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on the air:ラトル/OAEの《トリスタンとイゾルデ》第2幕が凄かった@プロムス

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【2010年8月1日 ロイヤル・アルバート・ホール】
●ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》第2幕
→ヴィオレッタ・ウルマーナ(S、イゾルデ)
  ベン・ヘップナー(T、トリスタン)
  フランツ・ヨーゼフ・ゼーリヒ(Bs、マルケ王)
  サラ・コノリー(MS、ブランゲーネ)
  ティモシー・ロビンソン(T、メロート)
  ヘンク・ネヴェン(Br、クルヴェナール)
⇒サイモン・ラトル/エイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団
(2010年8月27日/NHK-FM)

啓蒙時代管が、野獣のような、物凄い音を出していた。

これは、ここを覗いていただけるような方は、きっと聴かれた方がいいと思います。プロムスだからウェブラジオにはたくさん流れるし、普通のコンサートのライヴよりも遭遇できる可能性が高いものね。

弦楽器が主役になる局面は、恐らく19世紀中頃の(あるいはその頃のレプリカの)楽器が使用されているだろうし、普通のモダンオケで聴くワーグナーとそう大差はない。音色の点では若干細身で薄化粧かな?という程度の違いしか感じ取れなかった。もちろん、アーティキュレーションは粘つくことなく爽快で、話し言葉のように自然な知性があるけれども、ノリントン/LCPのワーグナー演奏のように極端なストイックさを予想していると肩透かしにあう。

しかし。しかしながら。管楽のアンサンブルになると一気に雰囲気が生々しい。
美しく野生的な雑味の混じったこの響き!
この楽劇が作曲された19世紀の中頃まで、管楽器は現代と異なる様々な形を保っていたはずで、ラトルや啓蒙時代管がそのどれを選んだとしても、現代のフルモダンオケのように均質な音色になることはない。
オーボエ、クラリネットにフルート、ホルン、、ブランゲーネの夜警の歌に折り重なる木管楽器の複雑な風合い、そして冒頭の不吉な一発と、不倫バレの瞬間の禍々しい金管楽器の叫び。。このあたりはピリオド楽器の響きがまったく生きる。

ただ、マルケ王がっかり場の後半で前奏曲のテーマが再生されるけども、あの動機だけはモダンの肉厚な響きに慣れきっているためか、ちょっと物足りなさが先行した。これは一応書いておきたい。ピリオドの《トリスタンとイゾルデ》も万能とは思えず。素敵な部分はとても多いけどね。

+ + +

歌手は、奇しくも2年前の夏に聴いたセラーズ演出のパリ国立オペラと2人かぶる(ウルマーナとゼーリヒ)。ブランゲーネ役のコノリーも素敵でしたが、ヘップナーは少し調子が悪そうでした。オケとのバランスは、ちょっと声が強すぎる箇所が多かったように思うけど、これはマイクで拾われて調整されてるでしょうから、生で聴いたらどうだったろう。
by Sonnenfleck | 2010-09-16 23:04 | on the air
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