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on the air:ケラス兄+ベルリン古楽アカデミーのヴィヴァルディ

on the air:ケラス兄+ベルリン古楽アカデミーのヴィヴァルディ_c0060659_8483381.gif【2010年10月27日 ハンブルク・ライスハレ】
●ヴィヴァルディ:シンフォニア ハ長調 RV709
  (《ジュスティーノ》序曲)
●ヴィヴァルディ:Vc、弦楽と通奏低音のための協奏曲ト短調 RV416
●カルダーラ:シンフォニア第6番 《San Elena al Calvario》
●ヴィヴァルディ:Vc、弦楽と通奏低音のための協奏曲ハ長調 RV114
●ヴィヴァルディ:Vc、Fg、弦楽と通奏低音のための協奏曲ホ短調 RV409
●ヴィヴァルディ:2Vn、弦楽と通奏低音のための協奏曲ホ長調 RV265
  (《調和の霊感》op.3-12)
●ヴィヴァルディ:シンフォニア ハ長調 RV709
  (《テンペーのドリッラ》序曲)
●ヴィヴァルディ:Vc、弦楽と通奏低音のための協奏曲ヘ長調 RV412
●カルダーラ:オラトリオ《イエス・キリストの受難》より
●ヴィヴァルディ:Vc、弦楽と通奏低音のための協奏曲イ短調 RV419
→ジャン=ギアン・ケラス(Vc)+ベルリン古楽アカデミー
(2010年12月19日/NDR Kultur)

かっこいいなあ。
AAMBはいつものとおりの硬い響き。この響きでヴィヴァルディをやると、イタリアの団体とはまったく違うダンディズムがもあもあと発生して、たいへんなクールビューティ状態である。最後までデレない常時ツンというかさ。

そこへケラス兄さん。古楽専業の凄腕チェリストがうじゃうじゃいるので、モダンのチェリストがヴィヴァルディのコンチェルトをやることはもうなかろうと思っていたのだが、ケラス兄さんがやった。現代のクレバーなチェリスト層の中でも、特にケラス兄は音に艶やかな華があって好きでして、そのためにこのひとはすこぶるヴィヴァルディが似合う。

ヘ長調 RV412は特に佳かったのじゃないかな。氷のように冷ややかなAAMBのリピエーノの上を、さも気持ち良さげに滑走するソロ。注目の右手は、もちろん雁字搦めのピリオドスタイルではないので、音には豊かな太さと滑らかさが与えられる。第2楽章の高級感。
2009年に所沢で聴いた彼のバッハも、ボウイングに独特の艶と、どうやら今どきピリオド由来ではないようである軽やかさ(←たぶんこれ凄いことだと思うよ)を感じて素晴らしかったが、そのときのことを思い起こさせる。当該のエントリはこちらのミスで消失してしまいましたが。。

+ + +

もちろんケラスが登場しないナンバーも佳いのよ。
3-12などほんとうにゴツゴツトゲトゲ、疾風怒濤していて、2010年の今でもちゃんと彼らは彼ららしいヴィヴァルディを維持しているのだ、ということがわかって嬉しい。あの有名な旋律が転用されている《テンペーのドリッラ》序曲からも、いかにも生真面目なAAMBの《春》が窺われる。古楽のネオザッハリヒカイト。
by Sonnenfleck | 2011-01-16 08:54 | on the air | Comments(0)
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