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まことの春に

まことの春に_c0060659_9333122.jpg【DECCA/UCCD3629】
<ブリテン>
●《春の交響曲》 op.44 *
→ジェニファー・ヴィヴィアン(S)、ノーマ・プロクター(A)
  ピーター・ピアーズ(T)
  ワンズワース・エマニュエル・スクール合唱団
  コヴェントガーデン王立歌劇場合唱団

●カンタータ・ミゼリコルディウム **
→ピーター・ピアーズ(T)、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
  ロンドン交響合唱団

⇒ベンジャミン・ブリテン/
  コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団 *、ロンドン交響楽団 **

今年は4月1日の嘘エントリがなんとなく書けなくて、当ブログの恒例行事も途絶えた。

これはただ、ぼんやり駘蕩とした春の音楽だろうか。そうではなかろうよ。
春は烈しさと暴力的な喜びを帯び、そして何より、確実性を我々に与える。少なくともこの音楽の中ではそうだ。第3部までのおずおずとした不確実性から(わが五月はいつくるのか?)、第4部フィナーレの、どこか破れかぶれで憎めない寿ぎワルツまで、春の諸相はことごとくこの音楽の中に封じ込められている。味の薄い豆腐のようなピアーズの声も、春の中立的語り部としては好ましいように思う。

地震の後、僕の住む世界は不確実の霧に覆われている(覆われていた、と書くことができないのは辛い)。しかしながら、それでも桜は咲くし、木蓮も咲いている。確実な季節の遷移に、今はささやかでもいいから、希望を見出したい。
by Sonnenfleck | 2011-04-02 10:37 | パンケーキ(20) | Comments(0)
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