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館長 庵野秀明 特撮博物館|ミニチュアで見る昭和平成の技@東京都現代美術館(9/5)

館長 庵野秀明 特撮博物館|ミニチュアで見る昭和平成の技@東京都現代美術館(9/5)_c0060659_9285248.jpg毎夏恒例となった都現美の日テレ系展覧会ですが、今年のはちょっと雰囲気が違ってるので出かけてみた。相変わらずの残暑なれば、木場駅からの徒歩でなく、少しでも木陰のある清澄白河駅から。

いやー。会場に足を踏み入れてみて驚くのは、平日の正午過ぎというのになかなかの人出だということ。おっさんお一人様から若いカップル、ヲタ風青年グループまで客層も厚い。夏休み中はさぞ混雑していたことだろう。
(※しかし聞くところによれば、むしろ会期末のほうが、入場制限が行なわれるほどの大混雑だったとか。)

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いくつかの細かいコーナーに分かれてはいるものの、本展は前半のソフトウェア編と、後半のハードウェア編に大別されるように思われた。

ソフトウェア編は、自分の世代にとっては(って拡げて拙いんであれば、僕にとっては)正直言って退屈である。知らないメカの模型が所狭しと並んでいても、特に感慨はない。ただ、60年代から70年代に子ども時代を過ごした方たちにとっては汲めども尽きぬ懐古の泉なのだろうということは、十分理解する。周囲のおっさんたちの目の輝きはなかなかであった。
(※アイテムたちが発する独特の熱い進歩主義、そしてそのデザインは、共産趣味者の琴線に触れなくはないので、その視座から眺めればよかったかもしれない。モスクワ大学の尖塔すげーよ!という興奮とたぶんあんま変わらないもの。)

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ところがハードウェア編になるとすぐ、不思議な熱狂に誘われる。
熱狂の入り口にあるのが、本展のために制作された特撮短編映画「巨神兵東京に現わる」のハイクラスな幻想世界であることは言うまでもない。実は日本の特撮の技術はCGの隆盛によりもはや消滅寸前らしいのだが、この短編はCGを一切使用せず全編特撮でいこうという哲学の下で制作された、まさに特撮の「博物館」と(または「墓標」と…)呼ぶにふさわしい作品なんである。

ストーリーは、あってないようなもの。『風の谷のナウシカ』原作に登場する「腐ってやがらない」完全体の巨神兵が、東京を破壊し尽くす様子を描く。一人称の女性(CV:林原めぐみ)が、舞城王太郎のテキストを淡々と読み上げていく。巨神兵は東京を焼く。特撮らしいところもあり、CGにしか見えないところもあり。

そして、上映部屋のすぐ隣に配置された「メイキング」部屋が、このハードウェア編の胆である。あれはこのように動かした、爆発させた、崩壊させた、というものがたりがするするっと解体されていく様子は、まさしく上質なエンタメ。メイキング映像を見ながら観覧者がみんなで笑ったり頷いたりする一体感も新鮮だ。

最後のコーナーでは、観覧者は実際に組まれた特撮セットのなかに出入りしながら、自由にジオラマを撮影できる。これもまた上質なエンタメ。
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↑西荻窪駅のカットはわれながらなかなか上手くいった!

物販コーナーの充実ぶりにはただ驚愕。ソフトウェア編に登場した懐かし作品のソフトウェアがずらりと並んで、しかもそれが飛ぶように売れているのだな。今や財を成した子どもたち。
最後に巨神兵のミニフィギュアのガシャポンを楽しむことができるのも楽しく、僕も3種中2種をゲットして嬉。美術展というよりも体感型アトラクションに近い感興が得られるからこその、「博物館」なのである。
by Sonnenfleck | 2012-10-13 09:38 | 展覧会探検隊 | Comments(0)
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