んー、、ひさびさのコンサート3連荘でした。きつい。てか最近演奏会ネタばっかでごめんなさい。そして今日も長くなりそう(-_-;)
【2005年5月27日(金)18:30〜 学内演奏会/東京藝術大学奏楽堂】 ●ベートーヴェン:Pf協奏曲第1番ハ長調 op. 15 →佐藤卓史(Pf/学部4年) ●ブラームス:交響曲第1番ハ短調 op. 68 藝大の学生オケによる無料の学内演奏会。学外の人間も自由に聴くことができます。 先月聴きにいけなかったシュナイトのブラ1(神奈川フィル定期@4月16日)のリベンジ、という意味もあったのですが、それ以上に理由として大きかったのは、佐藤卓史が協奏曲のソロを弾くからということでありました。 佐藤卓史とは、長いつきあいになります。僕がクラシックと幸福なかたちで出会えたのは、彼が手ほどきしてくれたからなんです。彼とあのとき出会わなければ、いまの僕はありません。それにしても偉いなと思うのは、2001年に日本音楽コンクールで優勝してからも派手な演奏活動は控えて(きっと魅力的な誘いはいくつもあったんだろうと思いますが)、地道に藝大で研鑽を積んでいるっていうことなんですよ。極端に若いうちのほうが市場的には売り出しやすいんでしょうけど、彼はそうはしなかった。 佐藤卓史の持ち味は、その完璧な技巧と包容力ある暖かい音色、そして表現のパレットの広さにあります。テクニックに優れたピアニストは往々にして冷たい透き通った音色の持ち主であることが多いような気がしますが、彼の音はとにかく豊かで滑らか。そのうえで曲全体を大きな目で俯瞰し構築する能力にも長けている。ちょっと20代前半とは思えない雰囲気があります。 今回のベートーヴェンは、僕が聴いてきた佐藤卓史の演奏のなかでも三指に入る抜群の出来だったと思います。オケは全体的に緊張しているのかレスポンスが悪かったのですが(シュナイトがさかんに煽ってましたが、テンション低め>特に木管の反応が著しく鈍い)、第1楽章序奏が終わって輝かしくソロが登場、いつも以上に粒立ちがよく、濁りのない美音…。カデンツァで若々しく見得を切るところなど胸がすく。楽章間、シュナイトがピアノのほうを見て、満面の笑みで小さく拍手のそぶり。第2楽章の弱音の耽美的な表現はちょっとこれ以上望み得ない。アタッカで突入の第3楽章では再びリズムの跳ねを聴かせます。装飾音への軽やかなロココ的打鍵。ここのカデンツァで一瞬ジャズのようなスウィングを見せたのが印象的です。相変わらずセンスいいなあ。。指揮者も大満足の様子でソロを讃えます。 そんなわけで後半のブラ1は非常に心配していたのです。藝大といってもやはり学生オケ、、シュナイトの要求にどこまで応えられるのか。 ところが、あれ??一音目からオケの音が前半とは段違い…。確かにプロと比べれば固さは残るし、傷もありましたが、いわゆる「100ある人が90の演奏をしたとき/普段70の人が90を目指して到達したとき」という比喩がここでは思い出される。全曲通じて、自信溢れる遅めのテンポで悠々と流れていきます(前にも書きましたけど、ブラ1は「こうじゃなきゃ!」という指揮者の自信を聴かせる作品だと思う)。そのなかで懸命にシュナイトの要求(彼に備わる天賦の才、瞬間瞬間の音のヒエラルヒーを整理するセンス)に応えようとするオケの皆さん。第2楽章、よかったですよ! ブラ1で胸が熱くなることがまだ自分にもあるんだ…。行ってよかった。
by Sonnenfleck
| 2005-05-28 11:25
| 演奏会聴き語り
|
Comments(4)
Commented
by
iustitia
at 2005-05-28 20:46
x
佐藤卓史さんは、来月4日からウィーンで開催される、ベートーヴェン国際ピアノ・コンクールの本選に出場しますね。
http://www.beethoven-comp.at/newse.php 9月23日から開催される第15回ショパン国際ピアノコンクールにも参加するようです。 http://www.konkurs.chopin.pl/uczestnicy15.php 彼は、昨年5月には第30回日本ショパン協会賞(2003年度)を史上最年少で受賞してますしね。健闘を期待しています。
0
Commented
by
Sonnenfleck at 2005-05-28 21:55
そうなんですよね。贔屓の引き倒しにはならないようにしたいですが(^_^;;)、彼の音楽は世界でも絶対に通用するし、なにより内側に「表現するもの」を持ち合わせているというのが大きい。活躍を祈るばかりです。
Commented
by
yurikamome122 at 2005-05-28 23:29
シュナイトさんのブラ1は神奈川フィルでも聴いていい演奏でした。彼の情熱には脱帽です。神奈川フィルとの田園も1日に発売になるそうでちょっと期待しています。
Commented
by
Sonnenfleck at 2005-05-29 12:51
こんにちは。TBありがとうございます◎
yurikamome122さんのレビューを拝見するにつけても、神奈川フィルの演奏と両方聴くことができていたらなあ…と地団駄を踏むばかりです。 あの3月の《田園》がCDとなって記録に残るというのが、楽しみなようであり、また不安でもあり、というところですね。自分が行ったライヴがCD化されるときにいつも感じることです。そして今回もたぶん誘惑に負けて買ってしまうのだろうと思いますが^^;;
|
カテゴリ
はじめに 日記 絵日記 演奏会聴き語り on the air 晴読雨読 展覧会探検隊 精神と時のお買い物 広大な海 ジャンクなんて... 華氏140度 パンケーキ(20) パンケーキ(19) パンケーキ(18) パンケーキ(17) パンケーキ(16→) タグ
日常
クラヲタ
ショスタコーヴィチ
バッハ
旅行
のだめ
散財
モーツァルト
ラ・フォル・ジュルネ
ベートーヴェン
B級グルメ
ノスタルジー
ブリュッヘン
マーラー
演奏会
名フィル
アニメ
ストラヴィンスキー
展覧会
シューベルト
Links
♯Credo
Blue lagoon Blue Moon--monolog DJK Klassik DRACの末裔による徒然の日々 dubrovnik's dream ETUDE Fantsie-Tableaux Langsamer Satz Le Concert de la Loge Olympique minamina日記 mondnacht music diary~クラシック音楽~ Nobumassa Visione preromantique Rakastava SEEDS ON WHITESNOW Signals from Heaven takの音楽 Takuya in Tokyo Valenciennes Traeumereien Vol.2 Wein, Weib und Gesang ○○| XupoakuOu yurikamomeの妄想的音楽鑑賞とお天気写真 4文字33行 アリスの音楽館 アルチーナのブログ あるYoginiの日常 アレグロ・エネルジコ マ・ノン・トロッポ アレグロ・オルディナリオ あれぐろ昆布漁 いいたい砲台 Grosse Valley Note ウェブラジオでクラシック音楽ライブ 「おかか1968」ダイアリー 音のタイル張り舗道。 オペラの夜 おやぢの部屋2 音楽のある暮らし(そして本も) 音源雑記帖 ガーター亭別館 河童メソッド ギタリスト 鈴木大介のブログ きままにARTSダイアリー ヽ['A`]ノキモメンの生活廃棄物展示場 クラシカル・ウォッチ 古楽ポリフォニックひとりごと 心の運動・胃の運動 コンサート日記 さまよえるクラヲタ人 瞬間の音楽 素敵に生活・・・したい! たんぶーらんの戯言 ディオニュソスの小部屋 ドイツ音楽紀行 弐代目・青い日記帳 爆音!!クラシック突撃隊♪ブログ。 ♪バッハ・カンタータ日記 ~カンタータのある生活~ はろるど ひだまりのお話 ひねくれ者と呼んでくれ 平井洋の音楽旅 ブラッセルの風・それから ぶらぶら、巡り歩き ベルリン中央駅 まめびとの音楽手帳 萌える葦、音楽をするヒト もぐらだってそらをとぶ やくぺん先生うわの空 ユビュ王の晩餐のための音楽 横浜逍遙亭 よし のフィルハーモニーな日々 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2010 & オペラとクラシックコンサート通いのblog リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」 りんごの気持ち.blog 六国峠@ドクター円海山の音楽診療室 私たちは20世紀に生まれた * * * CLASSICA Dmitri Dmitriyevich Shostakovich Pippo Classic Guide Public Domain classic WEBぶらあぼ クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~ クラシック・データ資料館 木曽のあばら屋 佐藤卓史公式ウェブサイト 柳の下 artscape ミュージアムカフェ 豊田市美術館 東京都現代美術館 川村記念美術館 * * * 管理人宛のメールはdsch_1906 ◆yahoo.co.jp までどうぞ(◆=@)。 以前の記事
2023年 07月 2022年 07月 2020年 07月 2019年 02月 2019年 01月 2016年 06月 2015年 09月 2015年 06月 2015年 02月 2014年 11月 more... 検索
その他のジャンル
ブログパーツ
記事ランキング
|
ファン申請 |
||