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on the air:パーヴォ・ヤルヴィ/N響

先週一週間、イレギュラーなイベントが続いたせいで、ちょっと体調が悪い。今日は自宅で休養。NHKFMでN響定期が中継されているのを聴きました。

c0060659_17135593.jpg【2005年6月12日(日)15:00〜 第1543回定期公演/NHKホール】
●トゥール:《アディトゥス》
●プロコフィエフ:Pf協奏曲第3番ハ長調 op. 26
 ○アンコール プロコフィエフ:Pfソナタ第7番変ロ長調 op. 83 《戦争ソナタ》〜第3楽章
アレクサンドル・トラーゼ(Pf)
●シューマン:交響曲第3番変ホ長調 op. 97 《ライン》

えー…指揮は、先日ぼろっぼろに貶したパーヴォ・ヤルヴィ氏であります。
一曲目のトゥールは、ちょっとなんともコメントできない作品ですね。10分弱、激しい動きをする大音量の動機がいくつも重なり合うサディスティックな曲ですが、何度も聴きたいかというと全然そんなことはない。どうしてこの作品を?という感じです。
続いてはプロコ。
なんといっても讃えたいのはソロのトラーゼですねー!何年か前に彼がソロを弾くショスタコのPf協奏曲第1番(バックはサロネン/N響)を聴いたんですが、そのときはあまりにもフォルムを崩しすぎてて、悪趣味な人…という印象しか持たなかったのです。でも今回は見違えるようにセンスよく、ソロパートの各要素間の順位づけをはっきりと打ち出して、明快かつ起伏のある良質の演奏に仕立て上げていました。第1楽章の終結部で見せた心地よい揺らめき、さらに第2楽章の静謐な部分での清潔な抒情性は(ゲストの白石美雪も言ってましたが)特筆ものだと思います。オケも、ハーンのときに見せたようなズレ、呼吸の浅さはほとんどなくなり、実によく練られていたように感じました。
さらにトラーゼのアンコールの戦争ソナタには本当に驚いた。十全のテクニックで、辛口の美しさをいとも容易く紡ぎだします。スピーカの前で固まってしまうような力感。

さて後半の《ライン》で、パーヴォにはその実力のほどをまざまざと見せつけられました。うむむ。
第1楽章はのっけから畳みかけるような弾むリズムでもって聴き手を引き込み、さらに金管を浮かび上がらせて旋律線をしっかりと確保。先日感じたようなあざとさはなくなり、明晰で軽快でとにかく輝かしい。楽器間バランスの取り方が非常に巧いです。第2楽章でのレントラー+メヌエットの上品さ、第3楽章の繊細な音の運び、、これがあの下品なショスタコをやったのと同じ人か?…という感じです(^_^;) 第4楽章の金管コラールだけちょっと無用な力みが目立ちましたが(しかもスタミナ切れ●)、フィナーレになると軽快さを取り戻し、この難曲を最後まで飽きさせずに料理していました。シューマン独特のリズムの異様さが前面に出て、ほんとに楽しかった。ブラヴォー。《ライン》ってこんなに面白い曲なんですね。

とにかく、今日この放送を聴いてよかった。あのショスタコは、よほど調子が悪かったか、ただの練習不足か、そんなところなんでしょう。シューマンでこういう指揮のできる人が、逸材でないはずがないと思います。
by Sonnenfleck | 2005-06-12 18:46 | on the air
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