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BC戦隊☆コープマンの逆襲

c0060659_0143629.jpg生意気にも先日ムーティ/聖地オケのモーツァルトに文句を垂れましたが、それじゃあいったいあんたはどんなのが好きなのよ?ということで、僕が皆さまに対して強烈に推しますのは…トン・コープマン/アムステルダム・バロック・オーケストラのような演奏なのです。

コープマンはもはや古楽好きの人々の間ですら忘れられ始めているといいますか、、新譜は出ないし、日本には来ないし、許光俊には貶されるし、バッハのカンタータ全集は頓挫しちゃうし(権利をERATOから全部買い取り、自主レーベルANTOINE MARCHANDからしぶとく発信し続けてはいますが)。

このCDに収録されているのは第25、29、33番の各交響曲で、彼が最高に乗っていた80年代後半の録音であります。彼がここでやっているのは「昔流行ったバロックの方法論にしか興味がない演奏家が、バリバリ最新鋭の現代作品に当たってみたけどどすか?」という感じの演奏なんですよね。まず聴き始めるとあまりのピッチの低さにぎょっとし、次にチェンバロ入りという不思議な状況にびっくりなのですが、よく考えるとこれら中期作品が作曲された1770年代にはCPEバッハがまだ元気で活躍しているし(こちらのエントリ参照。だいたいJSが死んでから20年しか経ってない)、即興的な和音を入れるという意味でチェンバロをオケに取り込むのは決してあり得ない話ではない。まあ彼が和音を入れてるのは譜面上オケが一瞬薄くなる箇所に限られているので、もはや「通奏」低音ではないということではありますが。

コンセプトの面白さだけでなく、ここで際だつのはオケのテクスチュアの見通しのよさ。詳細は不明ですが弦は1パート2人くらいじゃないかなあ。次から次へと喜遊的に飛び回るたくさんのモティーフ、それを支える軽快なリズムの気持ちよさ、ところどころ入る軽めの装飾。自分はこれを「軽薄な」演奏だとは思いません。とにかく薄い響きながら清新で活気ある様子には、哀しみのモオツアルトをクリアブルーの軽自動車ですかっと追い抜いていくような快感があります。
by Sonnenfleck | 2005-10-15 01:27 | パンケーキ(18)
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