昨日夕刻、雨がそぼ降る渋谷へ。
元祖ニート、デ・ゼッサントも推薦のモロー展に行ってきました。 ギュスターヴ・モロー(1826-1898) は不思議な画家ですよね。彼ほど「××主義」というカテゴライズから自由な人はいないと思います。よく象徴主義の先駆とか言われますけど、「先駆」っていうのは後代から見たときにしか意味がない言葉であって、ゼロから(ドラクロワやシャセリオに師事していたとはいえ)あの小宇宙を作り上げたモローの異常な独自性はもっと称賛されてもいいんじゃないかなあ。 (*でもシャセリオのヌードを見ると、虎の巻発見!という気はします) 本展はパリのモロー美術館の所蔵作品を、年代ではなく主題によって8セクションにわけた構成。作品数ではギリシア神話系のものがもっとも多く、ついでサロメ関係、聖書世界という陣容であります。 印象深かったものをいくつか。 《プロメテウス》(1868、油彩) プロメテウスの白い体(セクシャルなものすら感じる)。後景の岩場のそっけない質感、そして対照的に細密で邪悪な鷲の描写。 《出現》(c. 1876、油彩) モロー作品の中でももっとも有名なもの。実物は予想以上に骨っぽい印象が強く、驚きましたです。洗礼者ヨハネの首から差す光は力強く直線的で、またサロメも意外に粗っぽい描線。またこの絵を特徴づける「透明に浮き上がる装飾」もかなり太くはっきりとしたタッチです。でもよく近づいてみると、サロメの纏う金の装飾品とヨハネの首から滴るどす黒い血液が妙に生々しくてゾッとするのでした。 こうやってモロー作品だけを並べて大量に見ると、意外に波のある画家なのだなあという印象を受けます。大傑作ばかりではないのが、この人の魅力のひとつなのでしょうか。 →モロー美術館(なんと日本語ページあり)
by Sonnenfleck
| 2005-10-20 22:40
| 展覧会探検隊
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Comments(5)
こんばんは、Honeyです。
本当に、モローは『異常な独自性』って言葉がぴったり。 どんな人物だったのでしょうか、やはりかなりの変人?(笑) で、虎の巻があったのですか~(驚)
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yuka
at 2005-10-21 00:34
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先日パリに行ったときにギュスターブ・モロー美術館に行きました。一軒家がそのまま美術館になった感じで、建物の雰囲気と絵が同調して何かを醸し出しているというか。モローの絵も所狭しと展示してあって、なかなかでした。
で、日本人が多いんですよね。日本語のパンフレットもカタログもありました。 そんなわけで、Bunkamuraのモロー展も前売りを既に買っているので私は明日行くことにします(ずるずる)
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Sonnenfleck at 2005-10-21 02:22
>Honeyさん
TBありがとうございます◎ 会場の解説を読むかぎりでは、生涯独身・母親への深い愛・パリのど真ん中で引き籠もり、、となかなかアクの強いキャラクタだったみたいですねえ。でもとにかくその内面が本当に深く広くなければ、あんな作風は展開できないはずで…感服します。 シャセリオ、私も全然知らなかったんですが、作品を見るとこの人もかなり変わった個性の持ち主のようですね(^_^;) ちょっとどぎついくらいの人体へのこだわり…。
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Sonnenfleck at 2005-10-21 02:29
>yukaさん
あっ、モロー美術館行かれてたんですね!Bunkamuraのほうでもモロー美術館の内部を撮影した写真が何枚か紹介されてるんですが、彼の自室の優雅な混沌とか、華奢な螺旋階段とか、、あの環境で彼の作品に囲まれたらどんなだろうかとゾクゾクしますね。機会があったら必ず行ってみようと思います。 渋谷のほうは会期末で結構混雑してました。絵と絵の間隔があまり空いていないので少しうんざりするかもしれません。
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