黒田ご夫妻、末永くお幸せに。
(*先日のNHKアーカイブスで、1984年の皇居に潜入取材を試みた番組が放送されていました。侍従たちは昭和天皇を「お上」と呼び、彼らは慣例として御所の廊下の端を歩かねばならず、各地から集まった「勤労奉仕団」に与えられるのは「御下賜の煙草と落雁」である。明治天皇が作らせた純金の御璽が燦然と輝くのを見るにつけ、この国が立憲君主国だとされていることを久しぶりに意識させられます。) さて同時に今日は、この一年でもっとも多くパッヘルベルやモーツァルトがテレビの電波に乗った日でもありました。こういうとき日テレやフジは率先してクラシックをBGMに用いるのですが(NHKは頑なに無音)、どれもこれもすべて落ち着いたテンポかつ上品なレガートと素朴なヴィブラートに埋め尽くされた演奏なんですよね。たぶんパイヤールとかカラヤンのCDを使ってるんじゃないかと予想できますが、どこか一瞬でもアーノンクールとかゲーベルとかミンコフスキとかを使ってるんじゃないかとソワソワしつつ耳を傾ける僕はどうみてもクラヲタです。本当にありがとうございました。 モダンの室内オケが(自信を持って)バロックの名曲アルバムを出すという行為には、今日とんでもないプレッシャーがかかるかと思います。そんななかでオルフェウス室内管弦楽団が録音したこのアルバムは間違いなく一聴に値する。 あえて古楽的なアプローチ(つまりその多くは装飾とか大胆なアゴーギクとか...「遊び」の要素なんですよね)を排しつつ、もちろんピッチはA=440/442Hzで、どの曲もアングロサクソンぽい真面目さの中にすっきりとまとめあげていて感心します。このアルバムに入っている《水上の音楽》組曲とか《主よ、人の望みの喜びよ》、コレッリの《クリスマス協奏曲》、またパッヘルベルの《3声のカノン》は、20世紀後半の「室内管弦楽団の伝統」が辿り着いた最後にして最高のパフォーマンスだと思われます。すばらしい。これをたとえばイル・ジャルディーノ・アルモニコと比べて優劣を云々するのは筋違いでしょうね。
by Sonnenfleck
| 2005-11-15 21:48
| パンケーキ(18)
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Comments(10)
こんばんは。
今日は一日中、軽やかなモーツァルトがお茶の間を席巻したようですね。 この日ほど、「クラシック=高級、高尚」の妙な図式が当てはまることはありません。 >アーノンクールとかゲーベルとかミンコフスキ ないでしょうね。(笑) ところで、ミンコフスキのモーツァルトは一度聞いてみたいなと思うのですが、 何か録音はありましたでしょうか。思い当たりません。
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ミンコフスキのモーツァルト、ちょっと調べてみました。「後宮からの誘拐」のDVDが出てるんですね。ちなみにオケはミュジシャン・デュ・ルーヴルではないようです。そういえば、EMIからフランス・オペラがいくつか出ていたような気がします。欧州の演奏会では、レクィエムなんかも取り上げていたような記憶があるのですが・・・
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Sonnenfleck at 2005-11-15 23:07
>はろるどさん
また狙い澄ましたように「高級、高尚」な演奏ばかりかかるんですよね。いったいどういう基準で選ばれてるんでしょうか…。「皇室関係のときはアーノンクールという人のCDはかけちゃダメだ」みたいな裏マニュアルがあったりするのかもしれません(笑) ミンコフスキのモーツァルトは 《ドン・ジョヴァンニ》の管楽合奏版組曲(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000068RJT/) と SfHさんがお書きになっている 《後宮からの誘拐》DVD(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00006L7BF/→amazonでは在庫なし) くらいですねえ。残念です。
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pfaelzerwein
at 2005-11-15 23:12
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「電波に乗った日」-何方かがご病気ですか?悪い冗談は止めて、バロックを流すならリュリとかシャルパンティエーとかラモーにしてもらいたいですな。あ、これも宮内庁にとっては縁起が悪いのか、式次第では禁止?!ゲーベルなどが出てくると、明治の雰囲気が壊される。するとプロシア風のバロックが推薦でしょうが、最近はあの硬い通奏低音の演奏は流行らないね。宮内庁の苦しいところですよ。
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Sonnenfleck at 2005-11-15 23:15
>SfHさん
向こうでのミンコフスキの活躍を見聞きするたびに、日本では彼があまりにも知られていないので歯がゆく感じます。彼の機敏でアグレッシヴなラモーなど本当に大好きなもので…。(フランスものはミンコフスキとクリスティの二大巨頭時代でしょうか) モーツァルトはレクイエムも取り上げているのですか。最近はパリでよく魔笛を振っているそうなので、一度は映像を見てみたいものです。
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Sonnenfleck at 2005-11-15 23:26
>pfaelzerweinさん
宮内庁楽部のオーケストラに古楽器導入、、1200年前の笙・篳篥とのバランスを考慮して。有識者の懇談会によって、指揮はドイツ・バロック音楽演奏の第一人者、グスタフ・レオンハルト氏に決定。などと冗談が浮かびます(笑) 本文中に書いた1984年の番組では、楽部のオケが御所の畳敷きの部屋で演奏させられていて非常に驚きました。
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yurikamome122 at 2005-11-16 10:39
そう、日本は立憲君主制なんですよね。昨日の慶事は異例づくめだそうで、でもみなでお祝いムードになったのがよかったと思います。
ところで、私はどうも古楽は苦手でやはりモダン楽器で演奏する方が好きです。古楽は何となくわが家のリビングに水墨画を掛けたような、お寺にハリウッド女優が来たような違和感を感じます。その点このアルバムは、興味あります。良さそうですね。 ちなみに、テレビのバックはわかりませんが、式場で流れていた演奏は宮内庁楽部かも知れませんね。
Sonnenfleckさん、SfH さん、ご教授ありがとうございました。
「後宮」のDVDは興味あります。今度探してみます! ミンコフスキのラモーなどは愉しいですよね。 聴いていてワクワクするような快感があって、 たまに思いっきりハマります。 ルーブルと来日したら是非聴いてみたいなあと思いますね。
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Sonnenfleck at 2005-11-16 23:47
>yurikamome122さん
件の番組では、天皇が外交以外に普段どんな「仕事」をしているかについてちゃんと触れられていて感心しました。社会科の教科書で読んだとおり、法律は天皇のサインと判子がないと成立しないもののようです。 古楽/モダン双方に、少数ではありますが聴き手を納得させ感動させる演奏というものがあると思います。少なくともそう信じたい(^_^;) 上に書いたオルフェウス室内管のCDはそんな演奏のひとつです〜。
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Sonnenfleck at 2005-11-16 23:51
>はろるどさん
ネットで調べてみると、この《後宮》はイスラム色を前面に押し出したアクの強い演出が施されているそうで、私も大いに気になるところです。 ミンコフスキの得意にするレパートリーは、一般のクラシック愛好家に幅広く人気がある作品ばかりとは言い難いですし…来日公演も呼び屋さんが二の足を踏んでいそうです。こうなると来年のモーツァルトイヤーで何か面白いものを録音してくれることを期待しますね。
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