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さよなら三角またきて四角

c0060659_21271719.jpgストコフスキーという指揮者についてはよく知りません。
「あたしゃ熱心なストコフスキーファンですっ!」という人を見かけることはほとんどないし、世間一般のクラヲタ的にいつまでたってもキワモノのイメージが定着したまんまなのは、豊かすぎる響きをした特定の録音が有名だからなんでしょうか(バッハのトランスクリプションとか)。

1882年生まれのストコフスキーは95歳まで生きましたが、このCDは彼の92歳を祝う演奏会がそのままライヴ収録されたもの(結局これが彼の最後の公開演奏会となった。オケはニュー・フィルハーモニア管)。プログラムは、●クレンペラー:メリー・ワルツ●RVW:タリスの主題による幻想曲●ラヴェル:スペイン狂詩曲●ブラームス:交響曲第4番、となかなか激しい。いまフルネにこれができるかといったら微妙な線でありましょう。火の玉爺さんですね。

この録音はしかし、巷間イメージされる「ストコフスキーらしさ」から非常に遠いところにあります。
同じ爺でも変爺だったクレンペラーの手になる、ストラヴィンスキー風の底意地悪そ〜ぅな小品(この曲はアンコールなんかでもっと取り上げてもらいたいなあ)。細身で爽快な(!)ラヴェルも非常によいのですが、何といってもこの録音で唖然とさせられるのはメインのブラ4なのでありました。
実演・録音問わずあらゆるブラームスの中で、僕は実はこの演奏をもっとも高く評価しています。
まず何より本当にリズムが気持ちいい。個人的にはブラームスでいかにも意味ありげなテンポ・ルバートなんて正直ご免ですわ派なんですが、ここでのストコフスキーはあくまで速めのインテンポ、ときおり軽い加速と洒落こんでこっちを翻弄したかと思うと、いつのまにか全曲を風のようにさーっと駆け抜けてしまう。なんだか狐に化かされたような気分です。縦の響きが透ける演奏はここ最近の流行りだけど、このきさくな老人はリズムの骨格を完全に捉えてる。これ以外のブラ4は停止しているようにしか聞こえなくなりますよ!

BBCの旧シリーズから発売されて現在は廃盤ですが、きっといつかBBC LEGENDSで登場すると思います。こんなにいい演奏が眠るのはもったいない!中古屋で見かけたら捕獲してあげてください。
by Sonnenfleck | 2005-11-28 22:34 | パンケーキ(19)
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