![]() 【2020年7月10日 愛知県芸術劇場コンサートホール】 ●ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 op.68《田園》 ⇒小泉和裕/名古屋フィルハーモニー交響楽団 (2020年7月10日/カーテンコール) 名古屋を離れてちょうど2年が経った。 新しい「おらが街」には湖水のほとりに立派なオペラハウスがあるが、肝心の座付きオーケストラがいない。お隣の京都に出れば京響がいるけれど、おらの所有にできるほど京響をまだ聴き込んでいない。 楽団員さんの顔を見分けることができて、お名前も存じ上げていて、こんなところのアンサンブルが素晴らしくて、こんなところはやっぱりヒヤッとするな、という感覚で親しく接することができるオーケストラは、自分にとってはやはり名フィルなんだよね。おらが「旧」街のオケ。復活おめでとう。 + + + さて小泉カントク/名フィルのベートーヴェンを振り返ってみると、これまでに1、6、8番を現地で、7番をNHKFM「ブラボー!オーケストラ」でそれぞれ聴いてきました。いずれもダークな低弦をがっちりと配した重厚なフォルムでもってビタミンカラーの美しい主旋律をしっかり盛り立てる、ミッドセンチュリーモダンのベートーヴェンとでも言ったらいいかなと思います。 小泉カントクはその来歴(カラヤン国際指揮者コンクール第1位)から「和製カラヤン」みたいな感じで言われることがひじょうに多いですよね。 しかしこれまでの1、6、7、8番の演奏から、発音は折り目正しいながらも、HIPをものともせずに「一様にブリリアントな」音の塊をぐんぐん前に動かして推進力で束ねていくような印象を受けたため、カラヤンというよりどちらかと言えばセルやライナーのベートーヴェンが眼前に再現されるような感興を覚えていました。 ぐんぐん前に流れていく感じは、上述のように低弦ががっちりしている(=もし何もしなければトゥッティのなかで発音が遅れるように聞こえる低弦が、発音するときの子音をちゃんと明確にしてむしろトゥッティのリズムを形成している)という名フィルの特長と、小泉カントクのセンスとの幸福なマリアージュと考えています。これは前回同様。今回もしっかり流れていく。 流れていくが、流れの上に乗っている音そのものの愛らしさ、音の造形の円やかさは、とても前回の比ではない! 第1楽章こそ複数回、Vnにアンサンブルの乱れがあってヒヤッとしたのだけど、第2楽章になると立ち直ってくる。待ちに待った楽団員さんひとりひとりのアウトプット欲が、音符の品質を段違いに引き上げているのだろうなあ。唸らされました。第2楽章の始まりの合奏の美しさ、びっくりしましたよ。特に太田首席と佐藤次席のふたりのソロVcは《ラインの黄金》最初の原始霧を聴いているみたいで、ため息が出てしまう。いま配信元のアーカイヴで何度か繰り返し聴いても、クオリティの高さにびびる。美しいです。すごく。 Fl富久田氏と、まさかの客演・都響Ob広田氏の掛け合いも充実のひと言。 トゥッティが調子づくと少し歯止めが利かなくなって豪放磊落に鳴るのが名フィルの良いところであり、また愛すべきクセと考えていますが、お客という吸音体が減ったためか第3楽章・第4楽章はちょっと「鳴りすぎ」だったかなあ。愛知県芸のコンサートホールはおそろしくワンワン鳴るホールなので、現地で聴いていたら飽和した大音響だったのではないかと勝手に予想します。 しかしClボルショス氏、Hr安土氏など、いつもの面々の渾身のソロがそこへ差し込まれて、それもまた”楽しい集い”だったかもしれないね。 「この交響曲ってパルティータですのよ?ご存じ?」という体で、コレッリ風にパストラーレを柔らかく模倣するHIP演奏が牧場の向こうに吹き飛ばされるような、第5楽章の豪快な開放感。モダンオケのビューティが極まる。HIPもいいし非HIPもいい。どちらもいい。 + + + 最後に小泉カントクがスピーチ。飾らない人柄と、オケとの良好な関係を感じる。 事務局さん、年イチなんて贅沢は言いませんから、たまに関西公演してもらえませんかねえ。待っとるでね。
by Sonnenfleck
| 2020-07-12 12:43
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