![]() ●芥川也寸志:弦楽のための三楽章 ●同:Vcと管弦楽のためのコンチェルト・オスティナート →山崎伸子(Vc) ●プロコフィエフ:交響曲第6番変ホ短調 Op. 111 あんまり表明してませんが、ショスタコと同じくらいプロコフィエフも大好きなんですよ。でもショスタコと違ってプロコには熱狂的なファン層が存在しないのか、CDは少ないし(《古典》とピーターはもうたくさん)、実演もまばら。しかもソ連の「公的な」著作の邦訳がいまだに日本語で読める唯一の伝記なのでさすがに泣けてきます。(こちら。←ジダーノフ批判に関して一文字も書かれてないんですよ!信じられない!/*上に画像を挙げたRobinson Harlowによる伝記Sergei Prokofiev: A Biographyは非常にオススメ。英文も平易でとっつきやすいです。こちら。) そんなプロコ。 めったにお目にかかれない第6が演奏されるということでホイホイと出かけてきました。第6は個人的には萌え曲ですが、プロコらしい不良っぽさ満点なので演奏会では取り上げにくいんでしょうね。僕も生で聴くのはこれが初めてです。 第6が初演されたのは第二次大戦直後の1947年。プロコフィエフはこのころ第5交響曲や《イヴァン雷帝》でスターリン賞を獲得しまくっており(亀山郁夫は検閲当局による意図的なゴマスリだとしているけれど)、久々にザラリとした苦味を新しい交響曲に仕込んでもOKだと予測したんじゃないでしょうか。3楽章構成で「伝統的な形式」から逸脱し、曲の最後に鳴り響くけたたましい不協和音で「戦勝・社会主義の明るい未来」から遠ざかって、結局この交響曲は翌年のジダーノフシチナの標的になった。 第1楽章。湯浅氏は遅めのテンポで金管に下行音型を吹かせ、ひたっひたっと不安げな第1主題に突入。その第1主題の引きずるようなリズムがこの楽章を支配していますが、打点を鋭く示す指揮ぶりでオケは揺るぎなく(しかし丁寧に上品に!)推進する。Tbとテューバの発音が常に遅かったのは非常に残念でしたが、都響はやっぱり弦が巧い! 予想通り、第2楽章冒頭の強烈な不協和音の爆発はかなり控えめ。しかしそれに続く牧歌的な息の長い旋律線を丁寧に繊細に紡いでいく様子には感心しました。美しい。オケの響きが転調とともにどんどん変化していくさまは今日の白眉だったと思う。 第3楽章は頭がキュルキュルと回るようないかにもプロコらしいかわいらしさがありますが、ここではちょっと木管が息切れしたか…細かい音符がかなり潰れていたような気がします。しかも全体的に音色が単調になってつまらなかった。それでも全否定コーダは不協和音でフェルマータを長めに取って緊張感たっぷり、えがったです。 前半の芥川作品についても少し。 《三楽章》はしっとりとした美しさにびっくり。繰り返しますが、都響の弦はすごい。 くすぶるような緊張感が特徴の《コンチェルト・オスティナート》では、なんとモダンチェンバロがオケとともにオスティナート動機を弾きます(初めてモダンが鳴ってるのを聴きました。すっげえほんとにペダルついてるよ!)。目まぐるしい超絶技巧の独奏Vc(山崎女史の音色、太くて暖かくて好きです)には、なんだかプロコの《シンフォニア・コンチェルタンテ》の残響が聴こえてくる。別宮貞雄プロデュース、面白いです。 (*芥川の思い出話をしたがる別宮氏と、それをなんとか思いとどまらせて選曲理由を聞き出したい相手役の奥田佳道氏…プレトークもなかなか面白かったですよ。)
by Sonnenfleck
| 2006-01-25 00:14
| 演奏会聴き語り
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