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ずいぶん長い間、この作品の価値がわからなかった。長くて退屈で全曲聴き通すなんて到底ムリだし、マーラーがどうしてこの交響曲第8番を自分の最高傑作に位置づけたのか、まるで見当がつかなかったんです。

ところが今回、新幹線の中で。
第2部中間、冒頭でも二度繰り返される古っぽい終止音型の再々登場からBrソロにかけてなんですけど、このあたりを聴いているうちに、手にしていた本の活字は目を素通り、コーヒーを買おうと思って待ち構えていたワゴンのお姉さんも横を素通り。最後の数分間、マリア崇拝の博士の登場からは本当に魅了されてしまいました。久しぶりに全身が弛緩するほどの衝撃的な「発見」。哀れなコロンブスです。

マーラーの第8は、初めて聴いたときからテンションを上げるためのBGMとしか思われなかったんですよ。ソナタ形式で何度も繰り返される主題に気を取られ(これが都合のいいことに無闇と格好いい)、静謐な箇所に耳を傾けることもない。華やかな和音を轟かせて第1部が終わってしまえば、陰鬱な第2部の開始を待たずにSTOPボタンに手が伸びる。
しかしこんな聴き方じゃあ…第2部に点在する美しい瞬間には絶対に気づかんですよね。このまま一生気づかずに死ぬところだった。ありがとうベルティーニ&帰省&iPod。
by Sonnenfleck | 2006-08-20 23:23 | パンケーキ(20)
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