人気ブログランキング |

どっちの★ンペSHOW(三宅厨房)

c0060659_22462113.jpgどっちの★ンペSHOW(関口厨房)より続く。

ジークベルト・ランペの名前を初めて見たのは山尾さんがお書きになったエントリでのことでしたが、その後、吉田翁の「名曲のたのしみ」(8月第4週)で流れたモーツァルトのPfソナタを偶々聴くに及び、いよいよ捨て置けない鍵盤奏者であるということが了解された次第。

現在ランペは3種類の楽器―フォルテピアノ・クラヴィコード・ハープシコード―を弾き分けながらモーツァルトの鍵盤作品全集を録音中なんですが、とりあえずその最新作であるVol.4を買ってみたんです。
それがなんとも…うーむ…素晴らしい。言葉にならない。
まず、フォルテピアノで演奏されたPfソナタ第13番と第6番。楽器の特性を十二分に生かしたダイナミックな組み立て方についてはシュタイアーと甲乙つけがたいのですけど(第6番の第1楽章とか)、一方でシュタイアーにない茶目っ気があちこちに潜んでいて実に楽しいのです。たとえば第13番の第3楽章、ロンド主題が回帰するたびに豊満な装飾がぶら下がってくるんですが、最初それが装飾だとは気がつかなかったくらいなんですよ。なんという自然体。カッチリしすぎない自在な伸縮とともにこのへんはセンペと同じ気負いのなさを感じます。

逆にハープシコードで弾かれた《前奏曲とフーガ》ハ長調 K.394バレエ音楽《アルバのアスカニオ》K.111なんかは、一枚のアルバムの中で鮮やかなギャップを生み出さんがためなのか、チェンバロの機構をものすごく明確に感じさせる、潔癖で毅然とした枠組みとなっています。前者なんかはまるでバッハみたいな御堅いご様子。
そして掛け値なく楽しいのが、クラヴィコードが割り当てられた《クラヴィーア小品集》(ロンドンのスケッチブック)K.15からの5曲と、クラヴィーア小品ヘ長調《ピンピネッラ》K.33b
実は昔、チェンバリストの友人が自室に隠し持っていたクラヴィコードを触らせてもらったことがあるんですが、予想以上に「幽き」その音量と、その一方で打鍵がストレートに音に伝わる機構の面白さに驚いた記憶があります(まさに「弦を叩いている」ので、鍵盤のハンマーが当たって弦が震える感触まで伝わってくる>それとこの楽器、ヴィブラートがかかります)。
ここでのランペは、そうした楽器の特性を完璧に汲み取って、少年モーツァルトの書いた他愛ない音符から途方もないニュアンスを引き出すことに成功しているんですね。ハープシコードには難しいほんのちょっとした音量の落差が、インティメイトな愉悦感を引き立てる。

将来にわたって参照されるべき資料性を兼ね備えるのみならず、その鮮烈なタッチと抜群の装飾センスについて広く語られるべき録音じゃないですかねえ。全集完結まで到底待てないので、バラで買い集めようと思ってます。

+ + +

センペとランペ。今夜のご注文は、どっち?
by Sonnenfleck | 2006-10-09 22:56 | パンケーキ(18)
<< ボロディン四重奏団 瀬戸公演 ANTWERP CENTRAL >>