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音楽の極北

c0060659_23504320.jpg【IM TAKT DER ZEIT/BPH0611】
●ハイドン:交響曲第82番ハ長調《熊》
●ショスタコーヴィチ:交響曲第15番イ長調 op.141
⇒クルト・ザンデルリンク/ベルリン・フィル

買って、聴いて、溜め息。
なんと透明な響きだろう…。
ロジェストヴェンスキーの喧しくて押し付けがましい演奏が好きな自分のストライクゾーンからは大きく外れるんですが、この美しさを無視することは絶対にできないなあ。これまで聴いたどの15番とも異なる孤高の質感です。。うーむ。

ベルリン・フィルの自主制作盤としてリリースされた99年のライヴ。確かこれNHK-FMで聴いた覚えがあるんですけど、そのときはただ退屈な演奏だなーとしか感じなかったんですね。でも今回改めて聴き直してみると、その響きの静謐さと厳格さに言葉を失う。。

この演奏の特徴としては、以下のようなところが挙げられます。
この曲の「シニカル属性」にほとんど興味がない
→どこかのパートが突出して引用楽句を浮き立たせたり、ソロがテンポを乱して勝手に弾き飛ばしたりという動きが徹底的に排除され、整然としたバランスが保たれる
ノーブルで理性的な美音への徹底したこだわり
→もし最晩年のカラヤンが15番を録音したら、こんな感じの音を志向していただろう
もともと厚くはないテクスチュアが遅いテンポで再生されることによる「薄まり」
→必然的に、ブルックナーのようなゲネラルパウゼが生じる
各フレーズの終わりにかけて毎回かかる軽いリタルダンド+ディミヌエンド
→音がすべて緩やかに空気に溶け込んで拡散するような印象を与える

―「音楽を通してオレの芸術をアピールする」ということに対する執着心のなさ。ショスタコが最後に目指していたのは多分こういう世界だったのでしょう。極北を音化できる指揮者はそう多くはないし、それが録音されたディスクもそんなに多くはない。
by Sonnenfleck | 2006-10-23 00:03 | パンケーキ(20)
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