音楽幻想小節として前々から気になっていた高野史緒の『ムジカ・マキーナ』を最近入手し、読了したのですが…ちょっと不満足な出来。。核になる仕掛けがいかにも「ありがち」、かつ開き直って澁澤龍彦的にけばけばしいところは好みですが、肝心要のストーリーがあんなに粗末だとなあ。もしかしてそこも狙っているのかと疑わせるくらい陳腐な爆発オチ。
1870年のヨーロッパが舞台なので、作中にはブルックナーとヨハン・シュトラウス2世が重要な脇役として登場します。ラヴェルの新譜に引き続いて、インマゼール/アニマ・エテルナのシュトラウス・アルバムを久しぶりに取り出して聴いているのはそれくらいの理由ですが…このシュトラウスはロックですよ>全国の峰ファンの皆サマ。 【Zig-Zag Territoires/ZZT 020601】 ●《トリッチ=トラッチ・ポルカ》 RV.214 ●《こうもり》序曲 RV.503-1 ●ワルツ《春の声》 RV.410 ●ワルツ《美しく青きドナウ》 RV.314 他 ⇒ジョス・ファン・インマゼール/オーケストラ・アニマ・エテルナ ウィーン流に訛った3拍子はボスコフスキー他に任せるとして、ここで「絶対にタメない」仮借ない3拍子を振っているインマゼールには脱帽するしかありません。《ボレロ》でラヴェルの自作自演を解析したのと同じく、ここではクレメンス・クラウスの1929年の演奏が分析され、そこから室内楽的アンサンブル・ノンヴィブラート・2拍目強調の排除が導き出されてきています。素晴らしい! 《春の声》ってこんなにアグレッシヴな音塊だったんですね。内部でギラリと閃くClとかFlを聴いていると、《ラ・ヴァルス》は突然変異じゃなくシュトラウスの正当な後裔であることがなんとなく掴み取れてきます。
by Sonnenfleck
| 2006-10-25 22:16
| パンケーキ(19)
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Comments(2)
Sonnenfleck さん、こんにちは。Sonnenfleck さんのこのエントリを拝見して、どうしても我慢できずに買ってしまいました。アーノンクールACO/WPO の免疫があったはずなのに、オリジナル楽器の驚くほどの多彩なニュアンスの嵐に「!!!」でありました。これはいかんとラヴェルの新譜の方も慌てて聴いたのですが、こちらはさらにさらに「!!!!!」でした。素晴らしかったです…。第二次大戦前後で楽器+奏法が激変したとのことですが、いったい何があったのでしょう。そして、フランスの奏者たちはこの変化をどう捉えていたのでしょう、この響きはなんで綺麗さっぱり消えてしまったんだろう、と謎は深まるばかりでした。
これは一度は実演で聴いてみなければ、と強く思いました(日本では無理かな?)。Sonnenfleck さんのエントリにはいつも啓発されてます。これからも楽しみにしてますね。
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Sonnenfleck at 2006-11-10 01:42
>shuさん
今回のラヴェルの新譜、ネット上でもあまり話題になってないですし、インマゼール人気もお仕舞いかな…と思っていました。賛同いただけてうれしいです◎ 気に入った音盤をiPodに入れて外を歩きながら聴くのが好きなんですが、このシュトラウスとラヴェルは外で聴くのがもったいないような気がして結局インポートしてません。たぶん地下鉄の中や車の騒音の近くではこの繊細なニュアンスは聴き取れないのでしょうし、、秋の夜長にヘッドホンでじっくりと聴きたい感じです。 クラヲタ的にはノリントンやインマゼールの主張する「戦前ノンヴィブラート」が残っているヒストリカル録音を探したい欲求に駆られますね^^;
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