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平明の何が悪か。

c0060659_15423060.jpg安部幸明が亡くなったのは、今から数えて僅か65日前、2006年12月28日のこと。享年95歳。
あにはからんや、この日本作曲家選輯の最新作が追悼盤になってしまったわけですが、もっと早くにこの作曲家のことを知っていれば…という悔しさがあります。

このCD、帯に「もし交響曲第1番をCD店で偶然耳にしたら、あなたは店員に曲名を尋ねずにはいられないアルヨ」という煽り文句が踊っているんですけど、昨夜、弊店間際のHMV栄のクラシックブースでこのとおりの体験をしました(笑) 店員氏は狙ってたんだなきっと。
いや、とにかくカッコイイの一言なのですよ。吃驚した。
燦燦と日光を浴びて健康に育ったヒンデミットがソ連に帰化、という感じ。

件の交響曲第1番(1957年)は急緩急3楽章構成の新古典的な明解フォルムで、第1楽章の豪快な音の流れがまず面白い(機関車のように執拗なリズムが根底にあるのだけど、切迫感よりは「今日も安定稼動」みたいな心強さがある。まさにアレグロ・コン・ブリオ)。
第2楽章アダージェットの素直な抒情を経て、第3楽章ヴィヴァーチェ・アッサイの陽気なオスティナートは前期プロコフィエフ(一瞬《アラとロリー》のような...)を激しく想起させます。これ系が好きな人には堪らない魅力がある。面白い。。

加えて今回は、ロシア・フィルの野蛮な音色がかなりプラスに働いているんですね。込み入ったパッセージを勢い任せに乗り切るのはいつものこととして、汚く炸裂する金管を聴いてるとどうも遠くソ連の香りが。
そのへんはいつもながら分厚い片山氏の解説にもあるとおり、芥川也寸志との共通性もあるけど、安部の場合、まったく巧まずしてそっちに近づいてしまった側面が強いんじゃないですかねえ。1964年に作曲された《シンフォニエッタ》はさらにハチャトゥリャーンのように平明でありながら強烈で…ロシア系クラヲタに限らず皆さまぜひご一聴されたし。
by Sonnenfleck | 2007-03-03 07:35 | パンケーキ(20)
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